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大学授業一歩前(第107講)

はじめに

今回は書籍編集者の天野潤平様に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。是非、ご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。

A:編集者です。平成元年に岐阜で生まれ、静岡で育ちました。大学進学を機に上京(といっても2年生まで神奈川)、バンドばかりやっていました(バンドやりたくて上京したのです)。専攻は西洋中世史、ですがロシア文学と生命倫理の講義しか記憶に残っていません。ポプラ社に入社したのは2012年4月、最初は神奈川県の営業担当でした。13年11月からは一般書の編集者としてノンフィクション、もっというと文芸とコミック以外なんでも作りました。今いる柏書房に転社したのは20年4月です。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:寝るかサボるか、スタジオ入るかアニメ見るかしかしていなかった私に、コロナ禍の学生さんに何が言えるのか……。ただ、今楽しいことがある場合は、それをやってほしいとは思います。社会人5年目の頃にバンドをやめて、思いたくはなかったけど、もっと勉強しておけばよかった、と思ってしまいました。あの頃の自分に言いたい、という常套句がありますが、仮に過去に戻り、当時の自分に「どうせやめるんだからもっと勉強しろ」と言ったところで、「なんだこいつベースで殴るぞ」としか思わないだろうから、やっぱり今やりたいことをやっていいのかなと。それって案外、あとからできないことだったりするので。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだとお考えになりますか。

A:図書館には両手で足りるほどしか行っていないし、古本屋街も全く利用しなかったような学生だった私にできるアドバイスなどやはり無いのですが、図書館の使い方は覚えておいて損はないし、Word、Excel、PowerPointとかは使えたほうがいいです(私はExcelが無理すぎて1年でとるべきITの単位を4年でとりました)。スマホで大抵事足りるとはいえ、現状社会はスマホだけで回っていません。あとはメールの書き方。正確に、丁寧に伝え、お願いできる能力はどの場面でも大事です。

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学び意義を教えてください。

A:出版社に入ったのは絵本がやりたかったからですが、配属されたのは興味のない一般書。売れてる本、かろうじて興味を持てそうな本を読み、実際に作る過程で様々な人に会い、読む幅も広がり、難しい文も多少読めるようになりました。自分はなんて無知なんだ、考えていなかったことがまだこんなにもある、と新しい本を作るたびに思うし、へこみます。でも、複雑な現実を前に、過度に単純化したり、強い言葉を使いたくなったりした時、歯止めとなってくれたのはその打ちのめされ感でした。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

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A:『まとまらない言葉を生きる』をお薦めしようと思ったら、既に登場した小林えみさんに先を越された(紹介していただいた)ので、『「役に立たない」研究の未来』を挙げます。「有用性」というテーマを巡って研究者たちが交わした議論の様子をまとめた本ですが、この連載趣旨にあるところの「教室に変わる」「学びの空間」としての本とも言えるでしょう。一緒に議論する感覚で読んでください。あなたの学びのこれからを考える際の叩き台として。

👇の記事は、出版社のよはく舎による『まとまらない言葉を生きる』を紹介して頂いた記事になります。

メッセージ

Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。

A:バンドをやってるはずだった、絵本を作っているはずだった。ああだったら、こうだったら。30代前半の私が言っても説得力ないですが、それでもことごとく期待を裏切ってくるのが人生だと感じます。でも、そうならなかった(なれなかった)ことで拓けた道もあります。その場で真面目にやってみて、案外楽しめそうなら続ければいいし、やっぱ違うと思ったら離脱の道を探っていい。人生設計しすぎないほうがよいのかも? 私自身そうありたいです。

おわりに

今回は書籍編集者の天野潤平様に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中作成して頂きありがとうございました。

やっぱり今やりたいことをやっていいのかなと。それって案外、あとからできないことだったりするので。

私自身、大学三年生なので徐々に大人の世界を垣間見ています。今、大学生の内にしか出来ないことは何か、私にもそれは分かりません。ただ、その答えを探りにまた本のページめくることは出来ます。次回もお楽しみに!




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