大暴落中にSTEPNを始めてみた。(2023年2月追記あり)
1. STEPNとは?
「歩いて稼げる」と一世を風靡したSTEPN。
2021年12月にリリースされたゲームで、一時期「1日に50万稼げる」ユーザーもいました。
しかし、2022年5月上旬に仮想通貨全体が暴落したことや同年5月27日に中国でサービス提供が停止されたことをきっかけにSTEPNバブルが崩壊し、ゲーム内のNFT(スニーカーやジェムなど)やトークンの価値が大暴落しました。
特にゲーム内で歩いて稼げるGST(Green Satoshi Token)の価値はピーク時の1/100倍(1%)になってしまいました。
そんなSTEPNに未来はあるのでしょうか。STEPNの前にリリースされたWeb3ゲームAxie Infinityのように、多くのユーザーが撤退して終わるのでしょうか。
2. STEPNのビジネスモデル
STEPNのビジネスモデルは「ポンジ・スキーム」とよく言われます。
それは初期の頃から参入しているユーザーに対するゲームプレイの報酬が、新たに参入した人の初期投資費用額から回されているためです。
そのため参入が早ければ早いほどプレイヤーは有利になるのであり、STEPNのビジネスモデル継続のためには常に新規参入者が必要になります。
基本的にユーザーに「ゲーム内通貨を現金化せずに保持したい」と思わせられればゲーム内通貨の価値は高くなり、「持っていても何も得しない、現金化の価値が少ない」と思わせてしまうとゲーム内通貨の価値は低くなります。
上記のように中国の大勢のプレイヤーが撤退してゲーム内のトークンが大暴落すると新たにプレイする人口が激減し、ゲームが存続不能になってしまうのです。
3. 筆者の体験
筆者はインターン先でSTEPNについて調べる機会があり、調べていくうちに実際に自分でやってみたいと思ったのがSTEPNを始めたきっかけです。
エネルギーは1分で0.2(5分間で1消費)し、最大で2.0溜まります。
なくなると歩いてもGSTがもらえなくなってしまいます...
エネルギーは1日4回/6時間ごとに上限の25%ずつ回復し、1日経てば完全回復します。
ユーザーを無限に歩かせて無限に稼がせないための工夫が施されているようです。
1日のエネルギーがもっと欲しいユーザー向けに、STEPNはスニーカーの購入数を増やしたり、より価格の高くQualityの高いスニーカーを買うようにユーザーに推奨しています。このようにしてSTEPNは仮想通貨を消費させ、簡単に稼げないような仕組みを構築しているのです。
※Common Sneakerの場合、エネルギーの上限は2で10分しか歩けず、レベルを上げても増えません。
STEPN日記
(※時間でストライクスルーになってるものは歩き終わった後にオフにし忘れた時です。)
GSTを稼ぐために歩いた場所は以外とシンプルで、無理なく日常生活に取り入れることができました。ポンジスキームだと批判して来ましたが、例えば筆者は学生で、自宅&最寄駅間、キャンパス内の移動、その他長距離の移動など、さりげなく普段のウォーキングにSTEPNをプラスすることができたので、とても楽にプレイすることができました。
〜始めた時〜
STEPNのスニーカーは、最も一般的なCommon Sneakerである場合、歩くために必要な「エネルギー」が1日10分分しかありません。
筆者は自宅-最寄駅間が徒歩10分だったため、自宅を出る時にSTEPNを開始して、駅に着いたらストップするだけでトークンがもらえるシステムに感動しました(その時は1日700円稼げたのもあって)。
その他、自宅-最寄駅間を爆速で歩きすぎて10分も経たない時は(大体いつもそうでした、)残っているエネルギーをキャンパス内での移動で消費してトークンを稼ぎました。
新宿・渋谷など、あまりにも都心のところは位置情報が混乱するため、”moonwalking”といって歩いてもトークンをもらうことができない状態でした。
~途中~
始めたのが5/23であったため、その後GSTの価値が日々激減していきました。1日歩いても数十円しか稼げない...という日が続き、「暴落する前に現金化しておけばよかった」、「このまま永遠に原資回収ができなかったらどうしよう」という不安感に覆われました。
~現在~
STEPNには「歩いて稼ぐ」機能以外にも、ミントやジェム、レベルアップなどさまざまな機能があります。筆者はここで「原資回収をせず、いっそのことSTEPNの機能を存分に楽しみまくればどうなるのか。スニーカーを最強にしてみたら楽しくなるのではないか?」と吹っ切れ、日々レベルアップに勤しみました。しかし7月以降、GSTの価値激減が原因で、5の倍数のレベルアップに必要なグリーンメタバーストークン(GMT)の価値が急騰しました。
今まで1GMT=2-3GSTだったのが、今では1GMT=16GSTも必要になっており、筆者はレベルアップできずの状態にいます。
やってみた感想:
最初はひたすらSTEPNが「ポンジ・スキーム」だとしか思えず、大暴落後にSTEPNを始めた人をとても賢いとまで思いました。しかし、「歩きながら稼げる」という日常に溶け込んだシステムはとても馴染みやすかったものですし、STEPNの運営は今後もさまざまな機能をリリースするということで、ただ単に初期に始めたメンバーが稼ぐだけで終わらないような大復活が待っているのではないかと期待している面もあります。
4. STEPNの終焉?
下はゲーム内トークンであるグリーンサトシトークン(GST)対円の変換チャートです。
筆者は矢印のタイミングでSTEPNを開始しました。
ピーク時は1GST=¥1000超えだったGSTも、今では1GST=¥7程度にまで下がってしまいました。
STEPNは先行者が利益を得ただけで終わってしまうゲームなのでしょうか。
筆者はそうとも言えないと考えています。
なぜなら多少バブル時よりかは原資回収に時間がかかっても、歩いて稼げるゲームのシステムには変わりはないためです。
また、大暴落後に始めたプレイヤーの方が初期投資額が少なく、原資回収に時間を要しないことから、今から始めても手遅れではないと考えています。
そして何よりも、こんな危機的な状況にあるSTEPNも、秋から新サービスをリリースする予定です。
5. 秋からスニーカーレンタルサービス?
それは「Lease(スニーカーレンタル)」機能です!
現在のところ2022年9月にリリース予定です。
スニーカーを持っている貸し手側が、スニーカーを持っていない借り手側にスニーカーを貸すことにより、ゲーム内トークンを稼がせ、その報酬を両者で分担するシステムです。
噂では、貸し手側:借り手側の利益分担は7:3になると言われています。
レア度の高いスニーカーやレベルの高いスニーカーほど稼げる額が大きくなるので、STEPN大暴落中の今のうちにスニーカーを安く購入し、レベルを上げておくのも得策だといえます。
レンタル機能開始によりユーザー数が一気に増え、GSTの供給過多になるか、ユーザー数の増加によりGSTの価値が上昇するかは賛否両論です。
しかし、STEPNの前にリリースされたWeb3ゲームAxie Infinityは、一時期途上国にいる人々が「稼げる手段」として大量に参入し、ゲームの報酬だけで食べていけるだけの額を稼げた人も出てきました。
筆者はSTEPNの返り咲きは、今年秋に起こる可能性は充分にあり得ると考えています。
6. STEPN運営はどのように立て直そうと考えているのか?
暴落を受けて、他には運営はどのような策を考えているのでしょうか?
主に以下の4つの取り組みが挙げられます。
①サーバーとセキュリティの強化
②チート防止
③きちんと「歩いて稼げる」ような仕組み改革
④GST/GMT、スニーカーの焼却
①サーバーとセキュリティの強化
STEPNは6月にDDoS(分散型サービス拒否)攻撃を受け、普通に歩いて稼げるはずのユーザーが「チート扱い」されるという事件が起きました。このようなトラブル再発防止のために、STEPNはサーバーとセキュリティの強化を行っています。
②チート防止
同じく6月に、車やバス、電車などの交通手段やボットがGPSの更新を行っていないか、人間がきちんと歩いていることを確かめるためのアンチチートシステムが導入されました。
③きちんと「歩いて稼げる」ような仕組み改革
STEPNのバイナンスチェーンでは、歩いて稼ぐよりも靴のミントだけで大儲けできるような仕組みがありました。
今後は運動せずにミントだけして稼ぐユーザーへの対応を変更するようです。
④GST/GMT、スニーカーの焼却
最後に、トークンや安価なスニーカーの焼却を、ゲーム内のシステムで促進しています。例えばCommonスニーカー5個で1つ上のランクのUncommonスニーカー1つ生成できることや、開けるのに必要な値段以上が返ってこない可能性の高いミステリーボックスなどです。
このように出回りすぎているトークンやスニーカーを焼却することで、その価値を向上させようとしているようです。
このようにSTEPN運営は顧客がより安心して快適にサービスを利用し、また、プレイすることで得られる価値を上昇させることで立て直しを測っているようです。他にもどのような策・機能が導入されるのか、楽しみですね。
7. まとめ
初期投資額が高く、リスクが大きいものの、STEPNは歩くだけでトークンを稼げる手軽さを持っています。
Web3業界が盛り上がり、「〇〇 to earn」のサービスが増える中、「歩いて稼ぐ」が将来的により多くの人にとって日常になることも考えられます。
現段階では投機目的として捉えられているSTEPNのようなサービスも、ユーザー数の増加とともに日常の「当たり前」になる可能性を考えると、単にブーム的なものと捉えるのは安直ともいえます。
今後のSTEPNの動向に期待です。
〜2022年10月追記〜
先ほどSTEPNはリストラのニュースを発表し、ひと時代が終わった感じがします。
具体的には、仮想通貨の弱小市場が続き、ユーザー数が以前の最高値から減少する中、STEPNは契約社員のうち100人以上を解雇しました。また、モデレーターやアンバサダーも解雇され、STEPNへの投資も縮小される予定です。今後はSTEPNの親会社であるFind Satoshi Lab(FSL)とその新プロジェクトを推進する方向にシフトするようです。
また、ユーザー数もDune Analyticsのデータによると、同アプリの1日のアクティブユーザー数は、6月26日に10万5257人と過去最高を記録した後、9月には6000人を下回り、10月5日時点では1万1877人とわずかに回復しているくらいです。
そんなSTEPNの今後はどうなるのでしょうか。2022年10月時点でのSTEPNのアップデートについて調べてみました。
10月までのアップデートには、主に5つのものがあります。
①スニーカーバーン機能追加
2022年6月に導入されたシステムで、低品質なスニーカーを5個バーンすると、より高品質なスニーカーを1個入手可能です。
②ETHチェーンへの対応開始
今までSolanaチェーンとBinanceチェーンのみ対応していましたが、2022年7月にEthereumチェーンにも対応するようになりました!
③ヘルスポイント(HP)導入
従来のエネルギー回復にはGSTが求められていましたが、さらにHPにもコストがかかるようになりました。HPとは、動くことで消費されるエネルギーに加え、エネルギーを消費すると同時に減少するポイントのことです。HPが20以下になると歩けなくなるようになります。また、NFTスニーカーをマーケットプレイスに出品する、もしくは別なウォレットに転送するためには、HPは100に到達させておくことが条件になります。
④GMTアーニング
今まで歩いて稼げていたのはGST(1GST≒4円)。しかし、条件を満たせばGMT(1GMT≒100円)も稼げるようになりました!
⑤レインボースニーカー登場
2022年10月12日に、運営の予告なく突然実装されました。このレインボースニーカーは、クラシックスニーカーのエンハンス(靴5足バーン)によって低確率で入手可能です。ゲームシステムによって4つのPool(プール)に割り当てられたGMTを、そのプール内で歩いたプレイヤーが分け合います。このスニーカーは使い捨てですが、所有者によれば0.2エナジー消費で50.84GMTも稼ぐことができ、現在の相場(2022年10月14日段階)で1分で4533円に当たります。これは以下の表に書かれているGMTのプール(貯まっている場所)が分かれているため、稼げる仕組みになっています。また、入手確率が非常に低く(0.4%!?)、使い捨てで保有者数は限られるため、持っている人は大金を稼ぐことができます。
また、今後はアンコモン5足の合成で超低確率で出現するレインボープラススニーカーも実装する予定のようです!
★2022年10月追記まとめ
STEPN運営は新プロジェクトにシフトする方向性ではいますが、10月のアップデートで超大儲けできる仕組みを構築することによって、STEPNへ再投資するユーザーが増え、通貨の価値が再び上がる(需要が増える)ことを狙っているようです。
これは、今までのゲーム内通貨の消費をより必要とする場面を増やすことや、稼ぎにくくなる仕組みの構築、高いスニーカーを保有し重課金しているユーザーほど有利になる仕組みが機能しなくなったためだと考えられます。
〜2023年2月追記〜
前回STEPNについて書いた10月から、かなりの時間がたちました。
その後STEPNに何か変化はあったか?それを見ていこうと思います!
①STEPN運営会社が独自のNFTマーケットプレイス「MOOAR」をローンチ
Find Satoshi Lab(FSL)は、以前から予告していたように2022年11月に、有料会員制のNFTマーケットプレイス「MOOAR」をリリースしました。こちらはSTEPNのマーケットプレイスとは別物ですが、参加資格としてSTEPNガチ勢じゃなければなりません。MOOARへの参加資格が:
ジェネシススニーカー持ち(それぞれのチェーンにつき10,000足しか存在しない)
1500km以上運動した(ランナーじゃないと達成は難しい)
アクティベーションコードで50人以上を招待した
上記3つの条件を達成していない人は月額30ドル支払えば参加可能
MOOARではGMTを消費して投票権を得ることができます。複数のNFTプロジェクトの中からお気に入りのものをGMTを消費して投票し、投票数が一番多いプロジェクトが採用されます。1位のものに投票していないとNFTは獲得できず、2位以下に投票した場合はGMTが変換されるようです。また、投票した人限定のミント資格が得られたりできるようです。
②アプリ内NFTマーケットプレイスは廃止、ブラウザ型のマーケットプレイスへ移管
今までアプリ内でスニーカーやジェムなどの売買を行うことができましたが、現在はアプリ上でその操作を行うことができず、ブラウザ上でhttps://m.stepn.com/にアクセスしないといけなくなりました。この際、STEPNのアカウントにログインせずとも出品されている商品一覧を見ることができるようになりました!
③STEPNの現在のフロア価格(最低価格)は75GMT≒4000円くらい。
現在STEPNの靴市場は飽和状態で、価格が大幅に下落しています。新規参入者も日々減っているため、機能や性能がいい靴でもなかなか売れない状況が発生しています。新規参入コストは下がりましたが、ゲーム内トークンGSTの下落やゲームを始めてからの追加の投資額のことを考えると、決して参入チャンスとはいえない状況です。
④レンタルシステム、ロードマップから削除される
STEPNは今後リリースする機能を記載したロードマップを定期的に発表しています。
以前はレンタルシステムの導入を発表していましたが、最新のロードマップではその記載は一切ありません。STEPN内での実装の優先順位が下がり、いつ実装されるかは未定です。
また、新しいSTEPNロードマップは第2四半期に公開される予定です。
⑤バッジとアチーブメント(実績)を開発中
2022年9月に実装予定でしたが、2023年2月現在、2月中に実装される予定となっています。これは特定のタスクを完了することで、バッジ(NFT)を得られる仕組みです。より難しいタスクにはより高品質なバッジが与えられます。また、バッジを獲得することで、STEPNを有利に進めることができるようです!
⑥マラソンモード・バックグラウンドモード開発中
マラソンモードもバックグラウンドモードも元々2022年度内に実装予定でしたが、2023年2月現在、まだ実装されていません。
2023/2/15のTown Hallでは、バッジとアチーブメント機能が開発され次第、マラソンモードが導入されるということが発表されました!具体的にいつ実装されるか確かな情報はありませんが、開発は進んでいるようなので、この2つのモードについて解説します!
STEPNには3種類のゲームモードがあります。
ソロモード
マラソンモード(開発中)
バックグラウンドモード(開発中)
マラソンモード
ソロモードは今までユーザーがプレイしていたものと同じで、1人で走るモードです。一方で開発中のマラソンモードは、毎週・毎月開催されるマラソン大会に参加し、移動距離の目標を設定して、その距離を目指してMOVE(歩く・走る)を行うモードです。マラソンモードの特徴は、以下の通りです:
好きな大会と距離を選択することができる(ただし1回につき1つの大会にしか参加できない。)
大会上位入賞者には、商品が与えられる!
参加には事前登録と参加費の支払いが必要。
大会参加中はスニーカーの修理ができないため、靴のResilienceが重要なファクターとなる。
バックグラウンドモード
マラソンモードよりは導入の優先順位が低いバックグラウンドモードですが、マラソンモードが実装され次第追加されそうな機能です。このバックグラウンドモードでは、アプリ完全オフライン状態でもスニーカーを所有してさえいれば仮想通貨を稼ぐことができる仕組みです。しかもリペアコストも発生しないという利点も!iPhone端末で言えば「ヘルスケア」アプリとSTEPNが連携し、ヘルスケアの歩数カウンターからデータを集計し、STEPNを起動しなくとも仮想通貨が獲得可能です。
★2023年2月追記まとめ
終焉を迎え、崩壊したとされるSTEPNですが、今まで延期されてきたアップデートの優先順位を変更したり、導入を実現しようとしたり、運営側も環境に応じて対応を考え、行動しているようです。少なくとも一定人数の重課金者や、少人数ながらも参入コストの低下により新規参入者も出てきているので、今後のSTEPNの動向にも期待です。
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