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空の島、憧れの国…!地上に絶望しか残されていない男が撮った理想と夢とは…?

タイトル:(仮)空の島、憧れの国…!地上に絶望しか残されていない男が撮った理想と夢とは…?

1行要約:
この世に絶望した男が空に託した夢の国

▼登場人物
●空野夢夫(そらのゆめお):男性。30歳。根っからの孝行息子。独身。在宅ワーク。過去に本当に愛した恋人・一葉(かずは)を失くしている。一葉は幼馴染。
●空野正孝(そらのまさたか):男性。60歳。中小企業の社長だが、企業が倒産し、その後自殺する。
●空野恵美子(そらのえみこ):女性。60歳。生来病弱で、夫が他界した後、跡を追うように病死する。B病院に入院中。
●ユキコ:女性。27歳。夢夫と少しだけ交際していたが、夢夫との将来に不安を覚えて別の男を愛してしまう。
●天ノ川未子(あまのがわみこ):女性。30代。夢夫の「この世の絶望から救われたい」と言う心底からの理想・夢から生まれた生霊。
●高野(たかの):男性。40代。大手銀行の社員。
●一葉(かずは):女性。享年15歳。不慮の事故で他界。ずっと夢夫と相思相愛だった。
●看護師:女性。40代。B病院で働いている。

▼場所設定
●A企業:正孝が運営している。ややボロイ感じで。
●B病院:恵美子が入院している。一般的な総合病院のイメージで。
●公園:一般的な公園のイメージで。やや大きめで。
●バー「アマテラス」:お洒落な感じのバー。未子の行き付け。

▼アイテム
●「空の旅」:未子から貰う不思議な液体薬。色は水色(又は空色)。水あめのような瓶入りの薬で、飲むと夢の中から空の島へ行ける。

NAは空野夢夫でよろしくお願いいたします。

オープニング~
 
シオンさん:ねぇプチデビルくん、プチデビルくんってその昔、仕事で失敗したぁとかって苦い経験した事ある?
プチデビルくん:何だよ藪から棒に。俺が人間みたいな仕事なんかするワケねーだろ♪
シオンさん:あゴメン、忘れてた。アンタって確か万年ニートだったわよね。
プチデビルくん:怒るぞ君…!
シオンさん:まぁまぁ。今回のお話はね、企業が倒産したあと次々悲惨な事が重なっちゃって、両親共に失くしちゃった、或る可哀想な男性にまつわるお話なのよ。
プチデビルくん:ふぅん。まぁ最近の日本じゃよく聞く話だな。
シオンさん:でもなんとか挽回しようと頑張るんだけど、そんな矢先に失恋までしちゃって、それが決め手になる形で或る日、空に不思議な「島」のようなものを見るようになるの。
シオンさん:で、そんな時にまた不思議な人に出逢ってね、結局、その人から貰ったアドバイスとアイテムみたいなので、彼、自分の空に幸せを掴むのよ。
シオンさん:でもそれが本当に幸せかどうかって言ったら、見る人によって変わっちゃうような、そんなストーリーなの。

メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=4326字)

ト書き〈A企業の事務所〉

正孝)「そこをなんとか!お願いします!あと500万…い、いえ、300万円でいいので融通して下さい!でないと不渡りを出して倒産します!」

高野)「ハハハ、それは無理ですね」

NA)
この日、父の会社は倒産した。
銀行に、定期預金を担保に取られたのが失敗だった。

ト書き〈陰から覗いている夢夫〉

夢夫)「お…お父さん…」

NA)
俺の名前は空野夢夫(30歳)。
実家暮らし。
自分で言うのも何だが、根っからの孝行息子。
父さんと母さんの事を心から愛していた。

ト書き〈正孝の自殺〉

夢夫)「お…お父さん!こ…こんな…まさか」

NA)
俺の仕事は在宅ワーク。
或る日、2階から1階へ降りた時、悍ましい光景を目の当たりにした。
リビングで、父親が首を吊って自殺していた。

夢夫)「お…お父さぁあぁぁん!」

ト書き〈復讐心を一瞬燃やす〉

NA)
俺は一瞬、後を追いたい気持ちになってしまった。
でも出来ない。
俺には残された母がいる。
母は今、都内の病院に入院中。

夢夫)「俺がしっかりしないでどーする!」

NA)
母の為にもしっかり稼がなきゃならない。
そう決めて、ハローワークで職を求めていた矢先…

ト書き〈恵美子が病死〉

看護師)「空野夢夫さんですか!」

夢夫)「あ、はい」

看護師)「恵美子さんの容体が急変しました!」

夢夫)「え…!」

NA)
母が入院しているB病院からの連絡。
俺はすぐ病院へ直行した。
だが遅かった。

夢夫)「か…母さん!」

NA)
母は最期の力を振り絞り、俺と父の名を何度も呼んだと言う。
俺は全身から泣き崩れた。

ト書き〈公園〉

NA)
数日後。
俺はフラフラと最寄りの公園へ来た。
もうこの世に絶望した俺。
最近俺は、何度も空を見上げるクセが付いていた。

夢夫)「ハハ…やっぱ空っていいなぁ。なんにも悩みが無さそうだ。子供の頃からずっと俺達を見守ってくれてたんだよなぁ…。…そう言えば、父さんとも母さんともよくこの公園へ来てたっけ…」

NA)
この公園は昔からある場所。
俺がほんの2~3歳の頃、よく父さんや母さんに連れられて来た。
ここで父さんとキャッチボールしたり、母さんと遊んだりした。
そんな日も空はずっと変わらず、俺達3人家族を見守っていた。

夢夫)「…あ、あの雲…なんだか夢の島みたいだなぁ。いいなぁ…」

NA)
そんな思い出に心を這わせていた時。
ふと見上げた空に、「夢の国」のようにぽっかり浮かんだ雲があった。
それは本当に自然が生んだ島のようである。

ト書き〈未子が登場〉

NA)
空を見ながらベンチに座っていた時、ふと女性が声を掛けて来た。

未子)「こんにちは」

夢夫)「え?」

NA)
見ると俺と同じ30代くらいの女性。
結構美人で気品ある感じ。

未子)「何かお悩み事ですか?ずっと虚ろな表情で空を眺めたりして」

夢夫)「え、いやあの…あなたは?」

未子)「済みません。私こういう者です」

NA)
女性は名刺を差し出した。

夢夫)「『夢の扉を今こそ開放!ライフコーチ』…天ノ川未子…?」

未子)「私は社会生活に疲れてしまった方々の為の、ライフサポートをメインにお仕事しております。もしかしてあなたもそのようなお悩みを抱えておられるんじゃないかと思い、お声を掛けさせて頂きました」

夢夫)「はぁ…」

NA)
こういうのにずっと無関心だった俺。
でも不思議とこの時、怪しい感じはしなかった。

未子)「いかがですか?あなたもお試しになられてみては?」

夢夫)「い…いえでも、こういうのってお金掛かるんですよね?」

未子)「ウフフ、いいえ無料でサポート差し上げます」

NA)
無料と聞いて、俺はポツポツ悩みを話し出した。

未子)「そうですか。お父様とお母様が…」

夢夫)「ええ。もうホント、僕にはこの世に残された財産なんてありませんよ。守るべきものを全て失った感じです…」

未子)「でもあなたには今、お付き合いしてらっしゃる恋人がいるのでは?」

夢夫)「え?…どうしてそれを…」

NA)
確かに俺には付き合ってまだ日が浅い恋人がいた。
でも未子がなぜ彼女の事を知っているのか怪しんだ。

未子)「あ、いえ、何となくです(微笑)あなたくらいの年代の方なら、彼女さんくらいいるかなぁって思いまして」

NA)
まぁ当てずっぽうだと思い納得した。
俺は改めて軽く自己紹介した後、今後について相談してみた。

未子)「夢夫さん。あなたはさっき『守るべきものが無い』とおっしゃってましたが、まだ十分にあなたには守るべきものがありますよ?」

夢夫)「え?」

未子)「あなたの夢と理想です。その理想はきっと大きな救いにすら成るものでしょう。それを守る事が、今のあなたにとって重要だとは思いませんか?」

夢夫)「…確かに。こんな状態になった僕の事でも、彼女は想ってくれてるんですよね。これからは彼女の為に、しっかり生きなきゃならないんですよね」

未子)「いいえ、夢夫さん。あなたが守るべきモノは彼女じゃありません」

夢夫)「は?」

未子)「あなたが守るべき理想と夢は、あなたのご両親、そしてあなたの事をこれまでずっと愛してくれた過去の人達との絆にあります」

夢夫)「過去の人達?」

未子)「きっとあなたは今の恋人にフラれます。理由は将来への不安。現実的に、借金まみれの男性と将来を誓い合える女性はこの世にいません」

NA)
会社が倒産した後、俺には借金だけが残された。
確かにこんな状態の男と好んで結婚する女はいないだろう。
でも不思議な気がした。
未子は俺の事を全て見透かしている。

夢夫)「あ…あの、あなたは一体…」

NA)
そう問い掛けた時、未子は遮るように言って来た。

未子)「夢夫さん。ここからすぐ近くの場所に、『アマテラス』というちょっとお洒落なバーがあります。私いつでもそこにいますから、もし又何かご相談事がありましたらいらして下さい」

夢夫)「あ…」

NA)
そう言って未子は公園から出て行った。

夢夫)「み…未子さん…!」

NA)
俺はすぐ追い駆けた。
でも角を曲がった所で未子は消えた。

夢夫)「な…何だったんだろう…あの人…」

ト書き〈ユキコにフラれる〉

ユキコ)「ごめんなさい。アタシ、他に好きな人、出来ちゃって…」

NA)
それから数日後。俺はユキコにフラれた。
未子の言った通りだった。でもこの時、不思議な事が起きた。

ト書き〈ユキコを見送る夢夫の背後から一葉の霊が現れる〉

NA)
颯爽と去って行くユキコの背中を見ていた俺。
そんな俺の背後から、1人の女性が声を掛けて来た。

一葉)「あなたにとって大事な人はあの人じゃないわ」

夢夫)「えッ?」

NA)
振り向くとそこに立っていたのは、うっすらぼやけた女。
でも俺はその女をよく知っている。
俺には昔、本気で愛した恋人がいた。
名前は一葉。
彼女も俺を心から愛してくれた。
でも彼女は15歳の時、事故で他界した。

夢夫)「か…一葉…?!」

一葉)「お久しぶり。あたし、あなたが来るのを待ってるわ」

夢夫)「え…?」

NA)
そう言って一葉の霊のようなものはスッと消えた。

夢夫)「ま…待ってるって…俺を…?」

NA)
「幽霊に遭った」という恐怖もあった。
でもそれ以上に、この世の絶望から逃れたい気持ちが勝っていた。

夢夫)「そうだ…もうこの世に俺を待っててくれる人なんていない。俺を待っててくれる人は思い出の中…これまで俺を愛してくれた人達なんだ…」

ト書き〈空を見上げる〉

NA)
そのとき俺は又、空を見上げた。

夢夫)「あ…凄い…あの雲…本当に何か…1つの島みたいになってる…。いや国か…国くらいの大きさになってるよ…」

NA)
見上げた空の雲はなんだか成長していた。
今まで見た事も無いくらいの大きさ。
そしてはっきりと島のような、国のような形をしていた。
その雲を眺めていた時、誰かが手招きしたように見えた。

夢夫)「か…一葉!…父さん!母さんも…!」

NA)
空の国にはもう、無数の人が住んでいるようだった。
みんな笑顔。
沢山の人達が微笑みながら俺を手招きしていた。
みんな思い出の人達だ。
俺の事を変わらず愛してくれた人達。
そう思えた。

夢夫)「い…行きたい…俺もあの国へ…行きたい…!」

NA)
それから俺はすぐ、未子が教えてくれたバーに走った。

ト書き〈バー「アマテラス」〉

NA)
あの日貰った名刺の裏にバーの住所が書かれていた。

夢夫)「あ、未子さん!」

未子)「あら夢夫さん。来られると思ってましたわ」

NA)
お洒落なバー。
未子はカウンターにいた。
俺はすぐに駆け寄り、未子にお願いをした。

夢夫)「未子さん!あの時あなたは『何か相談事があればここへ来い』とおっしゃいました!相談です!と言うかお願いなんです!僕を、あの空の島…空に浮かんだ理想の国へ連れてって下さい!お願いします!」

NA)
我ながらメチャクチャな事を言っている。
でも俺はあの日から、未子に異様な魅力を感じていた。
だからこんな願いでも未子なら叶えてくれる!
そう思った。

夢夫)「あなたは不思議な人です!きっとあなたなら出来るんでしょう!?」

NA)
変人扱いされるのは承知の上。
でも未子は思った通り、冷静に応じてくれた。

未子)「…あの空の夢の島…あなたにとっては永遠の幸福がある国、ずっとあなたは空にあの幸せを眺めていましたね」

未子)「いいでしょう。これをお飲みなさい。飲んだ瞬間、あなたは一瞬眠りに落ちて、目覚めた後はあの国にいるでしょう」

NA)
そう言って未子は瓶入りの液体薬を差し出した。
水あめのような空色の液体で、瓶には「空の旅」と書かれていた。

夢夫)「…空の旅…?」

未子)「但し夢夫さん。そのお薬を飲めばあなたは、もう2度とこの現実の世界へは戻って来れません。ずっとあの空の島…夢の国で住む事になるでしょう。その覚悟がおありならお飲みなさい」

NA)
俺は未子の言う事を最後まで聞かず、一気に飲んだ。
その瞬間、俺は眠りに落ちた。

ト書き〈空の島で皆と楽しそうに戯れている夢夫を見上げながら〉

未子)「ウフフ、楽しそうね。きっと夢夫にとってはこれが至高の幸福だった。永遠に空に浮かんだあの島で、彼を愛する隣人と共に生かされるでしょう」

未子)「私は夢夫の理想と夢から生まれた生霊。この世では破滅しか待っていなかった彼の人生に一筋の光を差し込ませる為、彼の前に現れた」

未子)「この世の物事には全て限りがある。幸福も悲しみもずっとは続かない。でも大き過ぎる悲しみについ耐え兼ねて、その後の人生を捨てる人もいる」

ト書き〈バーのカウンターにて、横で眠る夢夫を見ながら〉

未子)「私が彼に渡した『空の旅』は、眠りに就いた人に幸せを旅する実感を与える薬。人を直接死なせる薬じゃない。でも飲んだ人の心の向きによっては、永遠にその夢を覚まさない事もある。理想の国へその人をいざなう形で」

未子)「でも夢夫はもう戻って来ない。彼にとってあの空に浮かんだ理想の国は、それほど強い幸福を備えていたのでしょう」

エンディング~
 
シオンさん:ふーむ。今回のストーリーはなんだか重いって言うか、現代を生きてる人にとっちゃ何となく「理想」を描いてるような感じだったわねぇ。
プチデビルくん:「夢の国」を空に見付けて、そこに行きたいってロマンスかぁ。まぁ俺もそう言うの、何度か感じた事あるなぁ。
シオンさん:ふぅん。アンタでもそういう事思うんだ。
プチデビルくん:バ…バカにすんなよ!俺だって人知れず、そう言うロマンスはちゃんと持ってんだよ!
シオンさん:まぁまぁ♪でも誰だって社会生活に疲れちゃったら、こんな感じで「どっか理想の国へ逃れたい」って思うモンよね。
プチデビルくん:てことぁ、その理想の国ってのは天国の事か?
シオンさん:まぁそうね。そんなふうにも取れると思う。時々空に浮かんだ雲を眺めるとさ、ホントになんだか「特別な形」に見える事ってあるじゃない。
シオンさん:そんなの見た時にさ、ふと自分の理想を「空の形」に当て嵌めちゃう事ってあると思うんだ♪
プチデビルくん:へっ、幼稚なお遊びだぜ。
シオンさん:またそんな事言う!まぁ日頃からちょっと空を眺める時なんかにはさ、夢夫君が見たように、不思議な空間を見付けられないか…空想してみるのもイイかもね。

動画はこちら(^^♪
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