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ユメと恋人

タイトル:ユメと恋人

▼登場人物
●世輪木信二(よわき しんじ):男性。20歳。大学生。不細工。心が弱い。
●加古川頼子(かこがわ よりこ):女性。20歳。信二とは高校時代からの同級生。同じ大学に通う。美女。
●佳代子(かよこ):女性。20歳。頼子の友達。同じ大学に通う。浮気性。
●虹野(にじの)ユメ:女性。20代。信二の理想と欲望から生まれた生霊。

▼場所設定
●某大学:都内にある一般的な私立大学のイメージで。
●信二の自宅:同じく都内にある一般的なアパートのイメージで。

▼アイテム
●Love Fulfillment:ユメが信二に勧める特製の栄養ドリンク。これを飲むと特定の人との恋愛が必ず成就する。でもユメとの約束を破るとデメリット的な副作用もある。

NAは世輪木信二でよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたには、ずっと夢に思い描いてきた憧れの男性・女性は居ましたか?
特に恋愛の話になりますが、学生時分はそんな事の連続で、いつかその人と結ばれたい…
そんなふうに思い続けながら学校生活を送ってきたのではないでしょうか?
でも人の心は頼りなく、ついそんな時でも別の事に心が奪われたりするもの。
今回はそんなエピソードにまつわる、或る男性の身に起きた不思議なお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈大学〉

信二「はぁ…良いなぁ。頼子ちゃんは…」

俺の名前は世輪木信二(よわき しんじ)。
今年、20歳になる大学生。

俺には今、憧れてやまない人が居る。
その人の名前は加古川頼子(かこがわ よりこ)ちゃん。
彼女とは高校の時から一緒で、この大学にも一緒に入学し、それからもずっと俺は憧れ続けてきた。

でも彼女はそんなこと全く知らない。
奥手な俺は同じ大学に入っても、彼女と接点を持つ事が1度も無かったからだ。
彼女はとても綺麗で可愛くて優しくて、
いつも周りにはいろんな男女が集まっている。

俺は見ての通り不細工で、奥手でもあり、彼女の目になんて絶対入らない。

信二「はぁ…」

ため息つきながら今日も帰宅。
帰り道、俺はついやり切れなくなって飲みに行ってしまった。

でもそうして歩いているといつも来ていた筈の飲み屋街に、
全く知らないバーがある。

俺はつい心が惹かれフラリとそこへ入り、カウンターについて1人飲んでいた。
すると後ろから…

ユメ「フフ、お1人ですか?もしよければご一緒しませんか?」

と1人の女性が声をかけてきた。
彼女の名前は虹野(にじの)ユメさんと言い、
都内で恋愛コーチやスピリチュアルヒーラーのような仕事をしてると言う。

喋っている内に俺は段々心が惹かれてしまい、
彼女に今の自分の悩みを打ち明けた。

ユメ「片想い?」

信二「え、ええ、そうなんです。彼女とは高校から一緒で、ずっと憧れてたんです。本当に夢に描くような綺麗な子で…」

俺は頼子への想いを全て打ち明けて居た。するとユメさんは…

ユメ「そうでしたか。でもそんな事ならその夢、簡単に叶えられますよ?」

と言って、俺に1本の栄養ドリンクのような物をくれた。

ユメ「それは『Love Fulfillment』と言う特製のドリンクでして、それを飲めばきっとあなたには叶えられます。特定の人との恋愛成就を秘めた特効薬で、飲んだあと少しすれば、必ずその人のほうからあなたにアプローチしてくる事でしょう」

信二「は、はぁ…?そんな事あるわけが…」

ユメ「信じることが大事ですよ?あなたの恋愛成就をあなたが信じないで、一体誰が信じると言うんです?」

信二「そ、そりゃまぁ…」

ユメ「もしその恋を本当に叶えたいなら、あなたはそれを飲むべきです。そしてそのドリンクを飲んだらその後、2度と彼女以外の人には心を奪われない事、これを絶対注意して守って下さい。まぁ本当に彼女に惚れてるんなら簡単な事でしょう?」

信二「は…はぁ…」

ユメさんには不思議な魅力のようなものがあった。
他の人に言われたって信じない事でも、彼女に言われると信じてしまう。
それにどこか「昔いちど会った事のある人?」のような気にさせられ、
心が開放的になり、その点でも彼女を信じてしまう。

俺はそのドリンクを受け取り、その場で一気に飲み干した。

ト書き〈3日後〉

頼子「あ、世輪木君!」

信二「えっ?!よ、頼子ちゃん…!」

頼子「あの、ちょっと良いかな?」

驚いた。彼女が本当にアプローチしてきて、俺に告白してくれたのだ。

信二「ほ、本当に…?」

頼子「ええ。私、世輪木君がこの大学に来てるなんて知らなかったから、今日見つけてほんとに驚いたわ♪…私もね、前から世輪木君の事が気になってて…」

信二「は、はは…wははは♪」

俺はもうホントに万々歳だった。まさかこんな事が本当に起こるとは!?
そして俺と頼子は付き合った。

ト書き〈数ヵ月後〉

それから数ヶ月間、本当に夢のような毎日だった。
俺と頼子はいろんな所にデートへ行き、お互いの愛を確かめ合って、
将来の約束まで何となく出来るような、そんな仲にまでなれたのだ。

信二「あはは♪」

頼子「ウフフ♪」

これもあのドリンクのお陰?ユメさんがくれたきっかけのお陰だと信じ、
俺はユメさんに心の底から感謝していた。

ト書き〈トラブル〉

でもいちど付き合って数ヶ月ほど過ぎてしまうと、他が見えてくる。
彼女が出来ると人脈も広がるのか、俺の周りにもいろんな人が集まるようになっていた。
まぁほとんど彼女の友達だったが、いろんなカップルや、独り身で居る男女が集まってくる。

その中の数人の女子が俺になつくようになり、
その彼女達と俺は普段から一緒に居るようになってしまった。

そして…

佳代子「…ねぇ信二君、こんなこと言って引かないでほしいんだけどさ、アタシとも付き合ってみない?」

信二「え?!」

佳代子「頼子と信二君が仲良さそうにしてるの見てると『イイなぁ』なんて思っちゃってさ、私にもその幸せ、少し分けて欲しいなんて思っちゃったのよ♪あ、でも誤解しないでね?頼子と信二君の仲を邪魔するような事だけはしないから♪アタシとは遊びでイイから、付き合ってみない?」

信二「…(ゴクリ)」

俺は結局、佳代子と関係を持ってしまった。
でも頼子には徹底的に内緒にし、その心を傷つけるような事だけはしなかった。
バレなきゃ浮気じゃない…そんな事を佳代子からも言われ、
俺もこれまでモテなかった分、そこでいろいろ発散してしまったのだ。

ト書き〈大学帰り〉

そんなある日の大学からの帰り道。
夜に頼子と約束しながら、帰りは佳代子と帰って居た。
そしてまたホテルへ行こうと人目を避けて、比較的人通りの少ない路地を歩いていた時…

ユメ「こんにちは。おやまぁ、お邪魔だったかしら?」

信二「あ!…あ、あなたは…」

ユメさんがいきなり背後から現れたのだ。

佳代子「キャッ…!」

その日は全く人通りが無く、さっきまで誰も居なかったので
いきなりそうして現れたユメに俺も佳代子も本当に驚いた。
その驚きは恐怖に近かったかもしれない。

ユメ「…いや、お邪魔なのはそこに居る女のようね?信二君、あなたと頼子の関係に、その女のほうが邪魔になってると思わない?そうでしょう」

ユメ「私はあなたと頼子の関係が上手く行くようにとあのドリンクを勧めたんですよ?だからその女は部外者。邪魔以外、何物でもないわ」

そう言ってユメが指をパチンと鳴らすと…

佳代子「あ…あれ?あ、あたし…」

佳代子は勝手に体が動き出したようで、そのまま路地裏を歩いて行き、
パッパァン!!となぜか急に入ってきたトラックに轢かれてハネ飛ばされてしまった。

信二「か、佳代子!」

ユメ「さて、今度はあなたが責任を取る番です」

そう言って次にユメが指をパチンと鳴らした瞬間、
俺の意識は飛んでしまった。

ト書き〈信二のアパート〉

そして次に目覚めたら…

頼子「もう遅かったじゃない、早く行きましょ♪」

信二「え?…あ、ああ…♪」

俺は夜の街中に居り、頼子と約束していた通り
2人で夜景の見える綺麗なスポットへ出かけた。

(ベッドで眠り続ける信二を見ながら)

ユメ「フフ、楽しそうな夢を見てるようね。私は信二の理性と欲望から生まれた生霊。その夢だけを叶える為に現れたけど、どうやら欲望に負けちゃったようね」

ユメ「信二はもう2度と起きる事は無い。今まで夢に描いて来た彼女と一緒に文字通り、その夢の中だけで生活すると良いわ」

ユメ「それにしても、心底愛した人でも簡単に裏切って別の人と関係を持つなんて。人の愛や信頼なんて、本当にアテにならないものね。ま、特定の人に限った事だと信じたいけど…」

(その日の夜、街中で)

頼子「…もう20時。約束の時間、30分も過ぎちゃってるわ…」

動画はこちら(^^♪
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