見出し画像

偶然の犯罪

タイトル:偶然の犯罪

イントロ〜

皆さんは、偶然何かをした、と言う記憶があるでしょうか?
偶然というのは想定外の出来事、その出来事による結果を言ったりします。
つまり予定を組めないこともその偶然の内に含まれ、
他者を交えた偶然となると、おそらく更に予測不可能な結末になるでしょう。
そんな偶然の犯罪が、街中で起きていたようです。

メインシナリオ〜

ト書き〈犯罪を追う〉

警部「密売ルートの足取りはまだ追えないか?」

部下「全く駄目です。まるで痕跡が消えたように」

ドラッグ関連で、密売ルートの足取りを警察は追っていた。
しかし犯人は一向に捕まらない。その輪郭すら分からず、
真犯人は素人ではないか?…との見解も立てられていた。
前科者リストに無いというのはそういう事である。

ト書き〈展開〉

そんな時、街中で発砲事件があった。警察はその犯人の行方を別件で追う。
長らくの追跡の末、その犯人は捕獲された。しかし…

部下「おいお前!拳銃はどうした!どこにある!?」

男「け、拳銃なんて持ってねぇよオレ!」

部下「嘘をつくな!発砲してただろうが!」

逮捕した男の懐を探しても拳銃が出てこない。
その後、所持品検査をしても全く出てこなかった。

部下「どこに隠したんだ!?」

男「本当に俺、拳銃なんて持ってねえんだって!」

妙なことを言う。発砲したその瞬間の銃声を、
街中で多くの人が聞いていた。

でも確かに発砲したその現場は見ていない。
どこかではっきり銃声がした、その程度の事。

しかし現場近くにこの男が居て、警察が駆けつけた瞬間、
逃げ回っていたその状況から見て、この男が本当に拳銃を所持していないなど、
警察の誰も信じなかった。この男はしばらく拘留される。
この男の名前は本川(もとかわ)と言った。

ト書き〈別の事件〉

そして又、別の事件が起こる。
密売組織の足取りがだんだん浮上してきて、
彼らの計画が警察にも漏れていたのだ。

警部「あのロッカーか」

部下「ええ」

密売組織の関係者が、駅前のロッカーの中にあるバッグを拾って逃走する。
この情報のもと、警察はその駅前を張っていた。

しばらく待っていると、謎の男が1人現れ、
そのロッカーからバッグを取り出し、
何食わぬ顔して人混みに消えようとしていた。

警察はもちろんその男を尾行したが、途中で気づかれ、男は一目散に逃げて行く。
その日は取り逃がしたが、執念の追跡の果て、
警察はまたその男をマークした。

しかしこの男はその手の犯罪のプロなのか、全く捕まらない。
代わりに密売組織関係の運び屋だった女が1人捕まった。

ト書き〈取調室〉

しかしこの女から、驚くべき事実が明かされた。

部下「なんだと、どう言う事だ?あの男とお前はこれまで、何の関係も無かったって、そう言う事か?」

女「そ。偶然、或る場所で知り合ってさ。彼、人生に嫌気が差してたみたいで、海に飛び込もうとしてたわけ」

女「そんで『どうせ死ぬんだったら、誰かの役に立ってからそうしてみない?せっかく命があるのに勿体ないでしょ?』って言ってやったら彼、喜んで乗ってきたわよ」

女「ま、そんな状態だったからさ、自暴自棄になってたところとあると思うけどね♪」

部下「…なんてこった」

警部「どうりでリストには載ってなかったわけだ。まるでそれまで無関係の奴に踊らされてたとは」

女から、偶然その犯罪に巻き込まれた、今度こそ正真正銘の真犯人の男の素性が割れた。

この男の名前は掛川基哉(かけがわ もとや)。
趣味はサバイバルゲーム。この手の犯罪も
シミュレーションで何度も楽しんでいたゲームの達人。

先に捕まっていた本川の発砲事件、あれも本当は掛川の仕業だったらしい。
本川は警察に追われる前に拳銃を落として無くしており、
その拳銃を偶然拾った掛川により発砲事件が起きていた。
ただ空に向けて撃ってただけで被害者は居ない。

その前に掛川はこの女から片棒を担ぐ話を持ちかけられており、
本物の拳銃があった方が何かと都合が良いとした後、
その拳銃を所持したまま逃走。そしてあのロッカーの前に現れていた。

偶然、舞い込んだこの掛川が、運び屋として仕事をしていた。
こうしたのは、もともと運び屋だった女とその仲間の足取りを消すため。そのアリバイを作るため。
つまり運び屋だけを彼に代理してもらったと言うわけである。

そして掛川は未だに逃げ果(おお)せている。

警部「こんなバカな事が」

部下「…でもこれが人生なんでしょうね」

警部「まぁな。第2の人生から、第3の人生に転じなければ良いが…」

動画はこちら(^^♪
【ホラー】【意味怖】【喫茶店で上映されてる映画の感覚☕】【YouTubeドラマ小説】【サスペンスの夕暮れ広場・心理ストーリー】偶然の犯罪 #サスペンス #事件 #偶然

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?