本のご紹介10
「キース・ジャレット 音楽のすべてを語る」JAZZ LIFE BOOKS VOL.1 編集 山下邦彦 立東社
1988年11月1日から四日間ジャレットのニュージャージーの自宅で行われたインタビューをもとに構成されている。
最後近く20頁ほどは、「フェイシングユー」「ソロ・コンサート」「ケルン・コンサート」「スピリッツ」「ラスト。ソロ」「ソロ・トリビュート」からの曲の冒頭部のトランスクライブされた楽譜となっている。
改訂版(書名 キース・ジャレット インナービューズ その内なる音楽世界を語る)では興味深く重要な章が省かれ置き換えられているようで、評判が芳しくはないようだ。ここでの記述は旧版に基づいている。
目次
1.獰猛な欲望
2.Aマイナー・コードという食物
3.透明なエネルギー、透明な感情
4.サウンドこそぼくの世界だった
5.コードの外側へ、音楽の内側へ
6.コルトレーンと生きる;4thサウンドを超えて、ピアノを超えて
7.マイルスと生きる;フォーク・ルーツを求めて
8.種族の言語とビ・バップ・スピリット;ゲイリー、ジャックと共に
9。バッハと生きる;透明な光、パルス
10.ぼくの好きな楽器、作曲家
11.ペンタトニック/クロマチック
12.初めてのピアノ・ソロ・コンサート、そして出会い
13.グルジェフとスーフィーの教え
14.ピアノ・トランスクリプション
資料編
ディスコグラフィ
往復書簡
あとがき
引用文献リスト
索引
文章部分の三分の一ほどは書籍や発言などからの引用で占められている。その引用はインタビューの進行上であった発言に関連したもので内容を解説するような又は補強する興味深く適材適所なものである。紙面のぱっと見での概算八分の一はモノクロ写真となる。
紙質はさらさら羅紗のようなさわり心地でありページをめくるごとにツイうっとりし本を読み進めていることすら忘却の彼方に飛んで行け!の有り様で口元からはよだれが・・・ちっ違った世迷い言がっ、異世界にちょっと迷いこみました。ゴホンっ、普通の紙である。
引用はマイルス・デイヴィス、ウエイン・ショーター、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ロバート・フィリップ、ジョン・マクラフリン、ジョー・ザヴィヌル、オーネット・コールマン、セシル・テイラー、ラリル・メイズ(パットメセニーグループのキーボーディスト)、ハービー・ハンコック、チック・コリア、坂本龍一、菊池雅章、ベラ・バルトーク、オリヴィエ・メシアン、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズ、高橋悠治、G.I.グルジェフ、P.D.ウスペンスキー、コリン・ウイルソン、ルドルフ・シュタイナー、井筒俊彦、マイケル・ポランニー、ヴィトゲンシュタイン、荒俣宏、スティーヴ・ライヒなどである。
書籍の内容についてだけれど、キース・ジャレットが好きな人には勿論だが、ジャズ演奏について言葉で語るのが好きな実践家にとっても滅多なことではお目にかかれないようなエンターテイメントぶりを発揮するだろう。
もっと詳しく綴りたいけれど、次の記事のためここいら辺りで。
痙攣的な美の極北はこれなのではとずっと感じており。十数年間の物置にあるパソコンにとある音楽講師の方から個人的にいただいたこのイントロ部分すべての楽譜がPDFで今でも入っていると思う。
今は何でも楽譜に出来たり(まだなのか?)どっかに楽譜映像がある時代だろう。ウチはギタリストであり二段組のヘ音記号のある譜面は演奏する必要もなく(弦楽四重奏を読むときは読むけれど)・・熱烈に興味のある方いらっしゃったら・・・暇なときに発掘します。フリー。