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本当の「多様性」という実験:2020年代のチームのあり方を考える


●はじめに

Unicul Laboratory共同代表理事の永野です。
2020年となりました。この記事をお読みのみなさんは、どんな気持ちでいらっしゃるのでしょうか?「2020年代」というワードや、はたまた「2030年」なんてワードもよく目にするようになり、普段とは少し違った気分の新年を迎えられた方もいらっしゃるかもしれません。

そんな2020年代(!)注目の、そして2030年に向けた社会をつくっていくためのキーワードの一つとして、「多様性」が挙げられるのではないでしょうか。少子高齢化の進行と労働力の減少に伴い、2010年代を通じ、とくに高齢者や女性の就労機会の拡大が進められてきました。それに伴い、育児や介護など、様々な事情を抱えながら働く人が増えたことが、「多様性」が叫ばれている一つの背景でしょう。

もう一つは、「多様性」がイノベーションの鍵だとされている
こと。様々な興味関心・知識・経験を持った人々が集い、価値を共創していくことの重要性が、これまた2010年代からスポットライトを浴びるようになりました。副業・兼業・パラレルキャリアの流れは、その一つの証左ともいえるのかもしれません。

そのようなトレンドをひしひしと感じる中、Uniculでの活動を通し「多様性」についてよく考えるようになりました。「多様性」はUniculの団体としてのユニークさの一つだと思いますが、同時に「多様性」に関する壮大な(?)実験を行っているともいえます。

以下、Uniculの「多様性」について改めてご紹介しつつ、「多様性」から価値を生み出すことの難しさと楽しさについて、お話をしてみたいと思います。


●Uniculの3つの多様性


私たちUnicul Laboratoryの多様性は、以下の3つの観点でまとめられます。

1.年齢の多様性

所属メンバーの年齢は、10代~30代まで幅広いです。
(これは、そこまで胸を張って言える感じではないかもしれませんが…)

私(28歳)からすると、現役大学生メンバーは普通に10歳年下だったりします。ときどき不安になりますが笑、いまのところ何の違和感もなく、和気あいあいと活動しています。本当です。
ちなみに、「年功序列」的な考え方は一切ないので、常にフラットな立場でディスカッションをしていますし、リーダーが大学生・メンバーが社会人というチームも、とくに違和感なく存在します。

2.職業やバックグラウンドの多様性

年齢が多様なため、職業やバックグラウンドも幅広いです。大学生と社会人の違いはもちろんですが、たとえば以下のような多様性があります。

・大学生や社会人の出身学部は教育系の学部に限らない(というか教育系の学部の人が少ない):文学部・法学部・経済学部・工学部・農学部、等々…
・社会人の職業も様々(コンサル、金融、公務員、IT、ベンチャー、等々…)
・高卒で就職したメンバーや転職を経験したメンバーもいる
・出身地域も幅広い(北は北海道(ってわたしですが)、南はいまは関西圏ですが、かつては沖縄のメンバーもいました)
・それぞれがいろんなヒストリーを持つ(ぜひスタッフ志望として笑、話を聴きに来てください!)

3. 時間的・地理的な多様性

1.2.のような事情から、メンバーが活動にコミットする時間的な多様性もかなり幅広いです。

時間帯でいえば、終日動きやすい大学生から、朝夜の仕事の合間や土日を中心に動く社会人まで、活動時間がまず多様。また、それぞれがそれぞれの事情を抱えているので、常に活動している人もいれば、ある程度時間を決めて活動する人もいます。さらに、最近は地理的な多様性も加わりました。長野や福岡からリモートで活躍しているメンバーもいます。


●「多様性」から価値を生み出すことの難しさと楽しさ


そんなUniculは、「多様性から新たな価値を生み出す」をバリューの一つとして掲げています。が…これがまた、悪戦苦闘(!)の日々です。正直に言って大変です。笑

1.多様性の中で、価値を生み出していくこと

もっとも大変なのは、個々人のスキルや経験のレベルが多様で、かつ稼働時間も多様なことです。

年齢が多様とはいえ、比較的若い世代が多いチームです。ですので、プロジェクトの運営が未経験というのはおろか、slackやdriveの使い方が分からない、簡単なメールすら書いたことがない、なんて普通です。当たり前です。

その上、先ほどもお話したような事情で、稼働時間(時間帯も、時間量も)も多様です。そんな中では、たとえば普通の会社なら、2時間研修をしたり、1週間OJTをすればある程度こなせるようになるようなことも、ものになるまで、その数倍の時間がかかります。

アウトプットの量と質は
スキルや経験と稼働時間に左右されると思います。

すごく単純な掛け算と考えると、
10のアウトプットが必要なとき、2のスキルや経験しかないのであれば、5の稼働時間が必要です。若い世代ほど、この傾向があります。

10(アウトプット)= 2(スキル・経験)✖︎ 5(稼働時間)

一方で、5のスキルや経験を持っていれば、2の稼働時間で十分だったりします。

10(アウトプット)= 5(スキル・経験)✖︎ 2(稼働時間)

でも、2の稼働時間を取ることすらままならない人もいます。
どちらも、大きな悩みです。悩みながら、わたしは考えています。

「多様性」の中で、アウトプットの量と質を維持していくためには
スピード感が損なわれることもやむなしなのでしょうか?


これからも社会が持続的に成長を続けていくとして、そのために「多様性」を高めていったときに、それはすなわち、これまでと同様のスピードでの成長は難しいということなのかもしれません。それでも、「多様性」から生み出される「価値」を、ジャンプの歩幅や走るスピードよりも、大切だと考えることができるのでしょうか。

本当の「多様性」とは何かーーUniculはそんな深淵な課題にチャレンジしているのではないかと、わたしは思っています。

2.鍵はビジョン・ミッションへの共感、持続的なモチベーション

そんな本当の「多様性」において、何事かを成し遂げていくためには、どうすれば良いのでしょうか。

限られたスキルや経験と稼働時間は、何らかの形で埋め合わせることが必要です。埋め合わせることができるのは、ビジョン・ミッションへの共感と、そこから育む持続的なモチベーションにほかならないと思います。

・中高生に有意義な時間を届けたい
・自分のような悔しい思いはさせたくない
・Uniculが目指す社会を実現したい

など、ビジョン・ミッションへの共感は、どんな形でもかまいません。
その上で、共感したビジョン・ミッションを、このチームで一緒に実現したい!と思い続けてもらえることが、鍵になると思います。だからこそ、長く活動に携わってくれるメンバーも増えて来た中、2020年は、ビジョン・ミッションにより深く共感してもらい、そして一緒にそこに向かっていることを、実感できるような機会をたくさんもうけられたらなあ、なんて、少し妄想しています。笑

3.そんなチャレンジだからこそ、楽しい

Uniculのような、本当の「多様性」の中での経験は、学校や職場ではなかなか得られないかもしれません。裏を返せば、Uniculのような団体だからこそ、実験ができるのかもしれません。意見が合わないこと、ときには価値観が合わないこともある。活動のペースもそれぞれ違う。メンバーは互いに、日々いろいろなことを感じていると思います。衝突することもあります。

しかし、たった一つ確実に言えるのは、多様な人がいる中で、
「その人にしか出せない価値」というものが必ずある、ということです。

だれもがハッとするアイデアを持っている人、仕事を拾うのが得意な人、段取りを組むのが上手な人、人とのコミュニケーションのハブになれる人、雰囲気をつくるのが上手な人、カウンターパートに好かれる人、中学生や高校生との交流が天才的に上手な人…

Uniculのメンバーは、あえて口には出さないけど、「その人にしか出せない価値」というものを、心のどこかで信頼しているのだと思います。そして、こんな本当の「多様性」という実験から生まれる未来志向の「価値」だからこそ、中高生に届けられるものがあると、わたしは信じています。

●おわりに

こんな感じでまとめてみましたが、まだまだ実験は緒についたばかり。
気づいたことは、どんどん一緒に話して、考えを深めていきたいし、実験に参加してくれる人は常に募集しています。


新年も、中高生に素敵な機会をたくさん届けられるよう、メンバー一同頑張っていきます。どうぞよろしくお願いいたします!

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