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どんな場所でもどんな作業もそつなくこなす。アメリカ発の四足歩行ロボットとその導入事例

「Spot」というロボットをご存じでしょうか?4つの脚で歩く、まるで犬のようなロボットです。筆者はこのロボットを初めて見たときに、その見た目から用途が想像できず、「一体どんな風に使用するのだろう」と思いました。そこで今回はSpotの機能と、実際にどのようなシーンで使われているのかについて調べてみました。

株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。このマガジンでは、海外の情報を中心に様々な社会課題の解決のために開発されたロボットを紹介しています。また弊社では最新ロボットの導入支援も行っております!お気軽にご相談ください。

Spotはどんなロボットなのか

Spotの開発を行うBoston Dynamics社の公式サイトによると、Spotは優れた機動性で地形を移動するモバイルロボットで、日常の検査作業やデータ収集を安全かつ正確に、安定して自動化することができるそうです。

Spotは搭載されたカメラで障害物を回避しながら、バッテリー電源で自走し、屋内・屋外の様々なシーンで稼働します。砂利道、芝生、階段などでの走行も問題ありません。

また、最大14㎏までなら物を載せることができ、不安定な足場でも自動でバランスを取りながら移動するとのことです。自律的に作業を繰り返し行うプログラムを組み込むことで、データ収集などの作業をスムーズに行うこともできます。

さらにSpotは遠隔操作も可能です。遠隔操作にはタブレット端末などを用います。操作用のアプリは直感的に使いやすく作られており、簡単にSpotを動かすことができるそうです。

▲Spot Boston Dynamics社 youtubeチャンネルより

Spotは数種類のカメラやアームなど、幅広いカスタマイズが可能です。例えばアームをつけた場合は、レバーを上下させたり、バルブを回したりするほか、アームに内蔵されたセンサーを利用した検査などができます。目的に応じてカスタマイズできるのはとても便利ですね。

このようにSpotは非常に自由度の高いロボットであり、建築、製造、電力、工業などを始めとした多くの現場で活躍しています。次は2つの導入事例をご紹介します。

▲WOODSIDE社のSpot Boston Dynamics社公式サイトより

従業員の安全を守るため。危険な場所で稼働するSpot

エネルギー会社のナショナル・グリッド社は、サンディ・ポンド高電圧直流変換所にてSpotを活用しています。Spotたちが働くのは、サイリスタバルブホールという非常に危険な場所です。

サイリスタバルブホールはサッカー場ほどの大きさの5階建ての建物です。電流を変換する機能を持ちますが、稼働中のサイリスタバルブホールの付近は電圧が高いため非常に危険で、人間が近づくことは不可能です。ナショナル・グリッド社は従業員の安全を守りつつ、サイリスタバルブホールを停止させることなく検査するために、Spotの導入を検討し始めました。

導入の前に、Spotが問題なく使えるかを確認しなければなりません。凹凸のある床を移動できるか、機器に近づきすぎずにホールを移動できるか。中でも最も懸念されていたのは、Spotが施設の電界に耐えられるかどうかです。サイリスタバルブホールは敏感なため、チームは非常に慎重にテストを行いました。

▲ナショナル・グリッド社のSpot 
Boston Dynamics社 youtubeチャンネルより

結果的にSpotはいくつものテストをクリアし、サイリスタバルブホールの検査に導入されました。Spotについて、ナショナル・グリッド社のディーン・バーリン氏はこう言います。

「Spotが人間の操作で点検を行うことで、従業員の安全性が向上し、トラブルへの対応も迅速になります」

バーリン氏は、ナショナル・グリッド社がサンディ・ポンド高電圧直流変換所や他の施設でSpotを使い、定期的な測定や長期的な測定基準の調査を行うことを期待しています。また、バーリン氏はSpotの最大の価値は、従業員の安全性の向上だと話しました。

「従業員の安全は最も重要です。従業員の安全を第一に考え、危険から守りながら、効率的かつ効果的な作業ができるようになれば、私たちは良い仕事をしていると言えるでしょう」

Spotによる自動撮影で業務の効率化を目指す

建設会社のPomerleau社は、反復的な作業に割くリソースを削減することで、従業員の生産性を高めることを重要視しています。特に制限区域や危険区域からデータを取得する場合、プロジェクトの進捗を確認するために、写真を撮影する作業が多く発生します。Pomerleau社は、Spotを使ってこれらの作業を行い、従業員がより高度な作業に集中できるようにしたいと考えました。

Pomerleau社はSpotに360°カメラを搭載し、現場での作業を撮影できるようにしました。現在、Spotの画像キャプチャ機能はHoloBuilder(360°写真を用いて建設現場を記録し、それらの写真をプロジェクト関係者間で情報共有できるツール)と連携しています。

これにより、現場管理者は毎週または毎日の写真を比較し、現場の進捗状況を把握できるようになりました。また、この写真と3Dモデルを比較することで違いを視覚的に確認できるため、現場の業者や職人との連携に役立っています。

▲Pomerleau社の導入事例 Boston Dynamics社公式サイトより

このSpotは、勤務時間外でも定期的に同じ場所から写真を撮るようにプログラムされています。従来はこの作業のために1つの現場で1週間に20時間ほどの時間が必要でしたが、Spotの導入により負担が軽減されました。

Spotが写真を撮ってくれるため、従業員は撮影データの分析に集中できるようになりました。Pomerleau社は、Spotを導入してわずか1ヶ月で、反復的な作業を自動化し、高度な作業に労働力を回せるようになったことで、プロジェクトに要する時間が短縮されたといいます。Pomerleau社は現在、現場での設置監視などの新機能を追加する作業を行っているそうです。

株式会社ユニキャストは、人とロボットによる未来の共創を目指すソフトウェア開発会社です。当社では、新規ロボット・ITシステムソフトウェアの開発や最新ロボットの導入支援を行っております! ご関心がございましたら、こちらのページからお気軽にご相談ください。

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