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【開発ストーリー】 uniamフレッシュフードができるまで🥣🐈

こんにちは!uniam代表の杉本です。
日々ねこを吸い、アイディアを吐きながら、現在は鍵しっぽの保護ねこ2匹(小次郎とこゆき)と暮らしています。

いつも幸せをくれるねこたちに、
いつまでも健康で長生きしてほしい。
そんな想いから私たちは、日本で初めての、ねこ専門フレッシュフードフードブランド「uniam(ユニアム)」を立ち上げました。

コンセプトやデザインにもこだわりを詰め込んでいますが、それと同等もしくはそれ以上に、ごはんの開発には情熱を注ぎ込みました

ユニアムは、ねこを愛する専門家のもと、医学的エビデンスに基づいて作られたごはんです。開発には1年以上の時間をかけ、納得いくまで幾度となく試作を繰り返し、ようやく完成しました。

今回は、こだわりのごはんが完成するまでの開発ストーリーをご紹介します。(長いですが、ねこを膝の上で愛でながらでも)

ユニアムを買おうか迷っている、一体どんなごはんなの?、と気になっている方、ぜひ読んでみてください。

レシピ開発の道のり(監修者探し)

ねこにとって本当に良いごはんは、レシピから始まります。
どんなに食材や調理方法が優れていても、設計図に穴があれば、栄養バランスは崩れてしまいます。ユニアムは、レシピ開発の協力者を探すところから始まりました。
探す上で特に重要視したのは、学術的知識と実経験の両方を併せ持つ専門家であること。

  1. 最先端の動物栄養学の知見を有する(=栄養学の知見)

  2. 栄養学の知見はもちろん、「ねこ」の食性や身体特性に深い造詣と理解がある(=生物学の知見)

  3. 新しい食のカタチである「ねこ専門フレッシュフード」のレシピ開発経験がある(=実経験としての開発・製造知識)

上記3点を意識しながら探していきました。

日本ではまだまだ新しく感じるフレッシュフードも、ペット大国の米国では17年も前から存在するペットフードです。
日本でいう、"イオン"のような大型食料品店でも日常的に目にすることができます。

人間の食料品と一緒に並ぶフレッシュフード

ユニアムは、米国で20年以上にわたりペットフード企業や獣医へ栄養指導を行うスーザン博士にレシピ監修を依頼しました。
ねこ専門フレッシュフード開発の第一人者でもある、米国動物栄養学博士です。

ユニアムレシピ監修のスーザン博士

レシピは、「一度作って、はい終わり」ではなく、出来上がってきたものに改良を施していきます。
例えば、AAFCOの総合栄養食基準を満たす場合、
・オールステージ対象なのか / 成猫のみか / 子猫や妊娠授乳中の猫だけを対象にするのか
・サプリを入れるか / 全て自然の食材のみで作るか
・動物性タンパク源 / 脂質源は何にするか
・ねこが好むテクスチャーにするため、水分比率はどのくらいにするのか
(水分で希釈するとねこは嫌うため、この水分比率の調整にはかなりの時間を費やしました)
・栄養バランスを整えるためのサプリはどれを使うのか
など、考慮すべき点が多岐に渡ります。

フレッシュフード大国米国で数々のフレッシュフードを監修するスーザン

また、専門家にすべて丸投げにならないよう、そして最先端の知見を有するスーザンと目線がずれないよう、わたし自身も獣医師の資格に加えペット栄養管理士の資格を取得。
栄養学の論文を読み漁ったり、さまざまな専門家(獣医にはじまり、時に人間の栄養士まで)へアドバイスを求めたり。
想定していたよりも多くの時間をかけ、丁寧に議論を積み重ねていきました。

レシピ開発の道のり(AAFCOの総合栄養食基準)

AAFCOとは米国で定められた、世界的に使われている栄養基準の一つです。
AFFCOに関する具体的な解説は今後別のタイミングでしていこうと思いますが、日本の総合栄養食基準も、AAFCOの基準値を参考に作られています。

ユニアムは、AAFCOの基準値に準拠しながら、栄養バランスを組み立てています。その項目数なんと40。これら基準値にならって、どの食材を使用するのか、食材の配合バランスをどうするのかを決めていきます。

AAFCOの栄養基準項目とその値

ユニアムは、スーザンの他に日本人の獣医師(長尾獣医師)にもレシピサポートをしてもらっています。
これは、アメリカと日本の食材とで、栄養成分に微差があるためです。例えば、「チキン」ひとつとっても、アメリカと日本で育った鶏では、タンパク質量や脂質量など栄養成分に違いがあります。スーザンが開発したレシピに対し、日本人獣医師が日本の食材だとどうなるかを検証の上、微調整を加えていきました。

米国の食品成分データベース
鶏肉だけでも200件を超えるデータベース登録があります


レシピ開発の道のり(サプリか自然食材か)

フレッシュフードを作るにあたり、最初に頭を悩ませたのは、サプリを使うかどうかでした。フレッシュフード=オールナチュラル、と考えたときに、サプリを使わず自然の食材のみでAAFCOの総合栄養食基準に準拠するのは至難の業です。
それでも、最初はスーザンと話し合いを進めながら、自然の食材のみでレシピを完成させてみようということに(ちなみに世の中のほとんどのフレッシュフードはサプリを使用していますし、悪いことではありません)。

犬向けですが栄養学本の執筆もしているスーザン

そして上がってきたレシピたち。
サプリが一切入っていないのは本当にすごいことなのですが、日本では確実に採れないであろう食材が多数入っており、その代替食材を探すのに苦戦。

その時のレシピをぜひお見せしたいのですが、「いや、これどこで調達できる食材?」と頭にクエスチョンマークが並ぶ食材もちらほら入っていました。世界的にはスーパーフードと言われているようなものです。

ようやく日本でも調達できそうな代替品を見つけても、希少価値が高くとっても高価!
こんなことでは1パック1,000円を超えてしまう…
私たちが目指すのは、ねこの健康を第一に考えたごはんを、なるべく手の届きやすい形で(もちろんそれでも通常のドライやウェットよりも高価ですが)お届けすること。

ユニアムの主な使用食材

ここでようやく、サプリを入れる方向に切り替えることに。
普通に考えると、最初からサプリを入れてレシピを完遂することが多いと思いますが、一度このプロセスを経たことにより学ぶこともありました。イソガバマワレです。

レシピ開発の道のり(タンパク質源)

ここにもユニアムのこだわりが詰まっています。
まずタンパク質源。
アレルギー持ちの子には単一タンパクのレシピが推奨されることもありますが、なるべくサプリは最小限に抑え、自然な食材でレシピを完成させるために、私たちは2種類のタンパク源を使用しています。

ユニアムのメニュー

・チキン&サーモン
・ビーフ&まぐろ
・カツオ&たら
のそれぞれ3種類展開です。

日本では、「お魚くわえたドラ猫〜♪」の影響か、島国という地理特性の影響か、ねこ=魚のイメージもあるかと思いますが、ねこは本来ねずみなどの齧歯類を食べて進化してきた動物。

飼い主の「ねこ=魚」のイメージもあり、日本のキャットフードではお魚の味わいを展開する会社が多いです。もちろん、お魚が大好きなねこもたくさんいます。
ねこは小さい頃に食べた味を記憶しており、大人になるにつれ新しい味に警戒する生き物なので、お魚レシピが主流の日本では、企業側もお魚以外のレパートリーを出したがらないのでしょう。

それでもお魚以外のメニュー展開を作ったのは、
選択肢に幅を広げたい
そもそも魚嫌いの子もいる
・魚はカロリーが低く、カロリーバランスの選択肢が作れない
ビーフやチキンはねこにとって必要な栄養素の宝庫!
だからです。

日本のキャットフードでは、あまりビーフレシピは見かけないかもしれませんが、ねこにとっては良いことづくめ。

人間と一緒で、毎日鮭の塩焼きだけ食べるよりも、チキンステーキを食べたり、焼き肉を食べたり、色々な味わいを試せた方がねこにとっても楽しそうです(ねこに聞いてみないとわかりませんが)。

レシピ開発の道のり(脂質源)

次に脂質源です。
ねこにとって、主要なエネルギー源はタンパク質と脂質です。
人間からすると、脂質は太るもの、という悪いイメージがあるかもしれませんが、ねこにとっては身体を健康に保つための大事な栄養素。

・アラキドン酸(必須脂肪酸であり、お肉・お魚・卵・肝油などに含まれる)
・EPA(イコサペンタエン酸・エイコサペンタエン酸)
・DHA(ドコサヘキサエン酸)
・α-リノレン酸(シソ油、エゴマ油、キャノーラ油、大豆油などの主要成分)

上記は全てAAFCOに必要量が明記されていますし、お肉などに含まれるアラキドン酸が必須栄養素になっているのはねこだけです。ここにも、ねこが肉食動物である所以が見てとれます。

だからこそ、ユニアムは脂質源にもこだわり、レシピごとにその内容を変えています。

・チキン&サーモンでは、チキンオイル
・ビーフ&まぐろでは、亜麻仁油
・カツオ&たらでは、タラの肝油やサーモンオイル
をそれぞれ使用しています。もちろんオイルも全て、人間と同じ品質のものを使っています。

それぞれの栄養素がどのような働きをするのかについては、また次の機会にお話ししたいと思います。

長くなってきましたが、こうしてようやく完成したレシピ。
スーザンが、理論上や計算上の根拠のみならず、実際の経験を元にしたアドバイスや知見を惜しむことなく提供してくれたおかげで、納得のいくものとなり、アメリカ人らしく自信たっぷりの名言も残してくれました。

「日本のねこたちのためにわたしが作ったレシピは最高のものよ。自信を持ちなさい。」スーザン

その言葉に安堵し、よしあとは作るだけだと思っていましたが、ここからが更なる困難の始まりです。

製造までの道のり(パートナー探し)

まだまだ続く開発ストーリー。
もう少しお付き合いください。

スーザン自信作のレシピができたあとは、実際にそれを製造する工程です。
キッチンにもこだわり、ニンゲンの食事を提供するほど衛生基準の厳しいキッチンで、ユニアムは製造されています。

キッチンを探す工程もなかなかハード。人間の食事を作るのと同じ衛生基準でユニアムのごはんも作りたい
そんな想いに共感し、わたしたちのような無名の小さな会社に、大事な製造ラインを渡してくれる・・・
そんな所は日本中探してもなかなか見つかりません。

50以上のキッチンに断られる中、「どうしてもここと作りたい!」と感じたキッチンに、一度は断られながらも想いをぶつけました。

「ねこへの愛情はとても良く伝わったし、その愛を持って絶対にやり遂げてくれるだろうと信じます。」キッチンの社長

こうしてユニアムの、長く困難な開発期間が始まります。

国内のユニアム製造キッチン

製造までの道のり(試作開始)

いきなり大量製造するのではなく、まずは少量ずつ試作していきます。
小さい分量で試作を繰り返しては、ねこに試食してもらい反応を見る。
反応に応じてレシピを改良し、製造量を増やしながら試作を繰り返しては・・・、という作業を約半年ほど、20回以上に渡り繰り返しました。

わたしたちニンゲンと同じ品質の食材を使用

ユニアムは、最大限サプリを使わず食材から栄養素を摂れるようなレシピになっており(一部サプリも使っていますが)、栄養素の宝庫と言われる牛レバーや牛ハツの調達先を探すのに苦労したりもしました。

調達先を探すのが難しい場合、食材ではなくサプリから栄養を補う、という考え方もありますが、なるべく食材から自然な形で栄養が摂れるようにこだわっています。

特に時間をかけて検証したのが、水分比率
「ねこは希釈された食事を嫌う」という論文データもありますが、何よりスーザンも、「水で薄めるようなことはしてはいけない」と念押ししていました。

「こんなに開発に時間をかけているの、ユニアムさんが初めてです」工場長

水分比率を1%単位で検証し続けていた頃、工場長からこんな言葉が飛び出すほど、しつこく何度も何度も、心の底から納得がいくまでごはんを作り続けました。

また、何度くらいの温度帯で作るか塩分濃度はどれくらいなのか、逐一チェックしながら試作を進めていくことも大切です(おやつや味の濃いウェットフードと比較すると、ユニアムは1/5〜1/6の塩分濃度)。

他にも重要なのは、食感です。
水分比率と同じくらい、この食感には検証に時間をかけていきました。

ねこは、おいしさを感じるプロセスが独特です。
まずは香り、そして舌で触って感触を確かめます。味わいは最後と言ってもいいでしょう。

食感の他にも、ねこの嗜好性にプラスの影響を与える要因が多数あります。
以下がその一例です。

・水分比率
・タンパク質の量と質(動物性>植物性)
・脂質の量と質
などが該当します。

反対に、嗜好性に影響しない要因として、
・タンパク質/脂質の割合
・砂糖
・塩分
などがあります。

少し話が逸れましたが、
こういった嗜好性に影響を与える要素も十分に考慮しながら、食感の検証に時間をかけていきました。

ざく切りタイプの食感検証
スムースタイプの食感検証


製造までの道のり(グルメなねこたち)

ねこは本当に(!)食事の好き嫌いが多く、人工的な味付けをせずにねこの舌を満足させるのは至難の業。

始めのうちは、食材が良くても全く食べてくれない日々が続きました。作れど作れど、見向きもされず、その度に自分で試食しては「美味しいのになぁ」とつぶやく日々。

あまりにも食べない時期が続いた頃、
「こんなにいい食材を使っているのになぜ・・・」と心が折れそうになり白髪が生えまくるハプニングもありましたが、ねこの健康を願い、「ねことその飼い主を幸せにしたい!」その一心で、日々ひたすらに改良を重ねていきました。

初めてねこたちが食べ始めた時、あまりの嬉しさに食事中のねこを見ながら涙したのを覚えています。ねこは戸惑っていました。

クリエイティブへのこだわり

色々な困難を経て出来上がったユニアムのごはん。
ですが、ごはんがよければそれでいいのでしょうか。

ユニアムは、ごはんをただ作るだけのメーカーではありません。医療エビデンスに基づきながらも、クリエイティブにこだわったサービス作りをしています。

websiteのデザインや診断サービスはもちろん、お届け時のパッケージや、同梱のユニアムブックにも想像を絶する時間をかけました。(というかこだわりが強すぎて、時間がかかってしまいました)

UIやデザインが、ただ可愛いというだけではなく、「ねこを愛する方々に、楽しみながらねこのことをもっと知ってもらうにはどうしたら良いか」という視点で創り込んでいます。
ねこの健康は、飼い主にかかっています。ねこをもっとよく知れば、自然とねこは幸せに暮らせるはずです。

医療エビデンスや学識だけでは小難しくとっつきにくい、でも芯のないクリエイティブでは信頼に欠け、想いは伝わらない。
わたしたちは、ねことその飼い主の幸せを願い、医療エビデンスに基づいた信頼できる商品やサービスを、遊びゴコロあふれる表現にのせて、お届けしたいと思っています。

終わりに

長くなりましたが、ここがようやくスタート地点。
まだまだ未熟で小さなチームです。

それでも、ねこを愛する方々からたくさんのご意見ご感想をいただきながら、常に改良を重ね、進化していくごはん作りをし続けたいと本気で思っています。

まずはぜひ一度ごはんを手に取って、ねこに好みのヒアリングをしてみていただけると幸いです。

uniam代表 杉本

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夢はねこ博士。ユニアムを支える獣医師の想いもぜひ!👩‍⚕️


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