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【ワットプレーンウィパッサナー】タイの寺院建築様式がよく分かる!レンガがむき出しになった古い仏堂

前回に引き続き、タイのヤフー知恵袋「Pantipで地元民からおすすめしてもらった寺院シリーズ」です。

チャオプラヤー川を挟んで西側は、元々タークシン王が首都としたトンブリーのある場所なので彼にまつわる寺院が多くあります。

中心地の大きな寺院に比べ、頻繁に修復されないため、昔の姿や図像を残した小・中規模の寺院が多くあるのが見どころ。

今回はアユタヤ時代の歴史を感じられる、貴重な寺院をご紹介します。


MRTブルーラインのバーンクンノン駅から、バイタクで入り組んだ路地を入っていくと現れる【ワットプレーンウィパッサナー】(グーグルマップでは「ウィパッサナー」と書いてありますが「ヴィパッサナー」が正しいです)

ここはタークシン王治世にはたいへん栄えた寺院で、タークシン王がこの寺院の前を通る時に地域住民が集まり、忠誠を捧げるために王室歌を歌い讃えたことから寺院に「เพลง(プレーン)歌」という名前がついています。

その後、ラーマ三世の時代に、ヴィパッサナー瞑想の修練所として新しい布薩堂が作られていますが、古い仏堂が保存されています。

外壁の漆喰がほぼ剥落していて、レンガがむき出しになっています。
タイの寺院がどのように建てられたかが良く分かる貴重な遺産なので、一部を一緒に見ていきましょう。

タイ寺院の仏堂の扉部分は、だいたいアーチのように漆喰装飾が施されています。
扉上部のレンガがところどころ飛び出しているのが見えますか?

もう少し近くで見上げてみるとよく分かりますが、三角型に飛び出しています。
ここに屋根をモチーフとしたアーチがあり、漆喰を盛って飛び出した部分をつなぎながら花や葉の模様を作っていったことが分かります。

むき出しになっている木の柱たちにも注目です。

私は建築には詳しくないので正しいかは分かりませんが、多くの寺院ではここには板が敷かれていているか、金色や赤に塗装されていることが多いので、ここも元はそうだったのではないかなと思います。

この仏堂の入り口にはタークシン王とシヴァ神の像があります。

これらの像は最近祀られたものです。

ちなみにシヴァ神は、額の第三の目と三本線、首に巻かれた蛇、三日月の装飾具、絡まって束のようになった髪の毛、武器である三叉の槍をもっているのが特徴です。
ヒンドゥー教寺院で額につけてもらう赤い点・ティッカにはバリエーションがあるそうで、白い横三本線はシヴァ派・U字はヴィシュヌ派なのでインド抒情詩系の映画を見るときに、そういうところも気にしてみると面白いかもしれませんね。

さて、話を戻して仏堂の中を見てみましょう。

一番高い所に祀られている仏像を始め、瞑想座像の仏像が多くいらっしゃいます。
壁面も真っ白で、特に壁画が描かれた様子はありません。
昔ながらの仏堂という感じです。

ここは扉絵がなかなか面白くて、一般の寺院では見られない浮彫が施されています。

この一番上の模様は「パラキッ」と呼ばれる男根モチーフです。

このような性崇拝は世界中で古来から見られるものですが、特にヒンドゥー教ではシヴァリンガに代表されるように宇宙の根源として崇拝されている重要なシンボルです。

元々タイの寺院にはヒンドゥー教の神様が祀られていることが多いですが、ここまで主張が激しいのは珍しいので、前半に紹介したシヴァ神像も合わせてヒンドゥー教色の濃い興味深い寺院だなと感じました。

最近、バンコク中心部ではこのようなモチーフがあると文化が遅れているように見えるとの理由で隠れた所に移設したりしているので、このように寺院に残されているのは少なくなっています。(とある寺院が新しくパラキッの石像を置いたけど地元民からのクレームでどけたってニュースも見ました)

個人的には土着信仰なんだし、パラキッのお守り持ってる人たくさんおるやん、と思うんですけどね。

ラーマーヤナを描いた扉もありました。

最初に紹介した扉のように少しづつ修復はしているようなのですが、木造ですし、早めの修復が望まれます。

観光でこの地区に立ち寄ることは少ないかもしれませんが、アユタヤ後期の寺院の作りを間近に見ることができる珍しい寺院ですので、興味がある方はぜひ訪問してみてください。

他には、この寺院は住職ルアン・ポー・ノエンの占いがとても当たると評判で、運勢を占ってもらうために朝早くからたくさんの人が並んでいるほど人気だそうです。
タイ語ができる方や、通訳してもらえる人がいる方は行ってみてはどうでしょうか。
占いに行かれた方がいたらぜひコメントで教えてくださいね!

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