開幕直前!どこよりも詳しく東京六大学野球2023年秋季リーグの見どころ伝えます!
こんにちは、シュバルベです✌︎('ω'✌︎ )
今年はnoteの更新回数を減らしていますが、東京六大学野球の秋季リーグについてはしっかりと書いていきたいと思います。
春のリーグ戦、順位は次のようになりました。
明治大学が全カードで勝ち点を取る強さを見せ、2022年春季リーグから3季連続優勝。全日本大学野球選手権は準優勝となりましたが、全国の舞台でも東京六大学野球のレベルの高さを知らしめる戦いを見せてくれました。
また、夏にはアメリカにおいて日米大学野球が開催されました。
東京六大学野球連盟からは7名の選手(村田賢一、蒔田稔、上田希由翔、宗山塁、廣瀬隆太、宮崎恭輔、熊田任洋※敬称略)が選ばれ米国の地で戦い3勝2敗と勝ち越しを決め2大会連続となる優勝を果たしています。
各チーム、夏に国内で合宿や遠征を行い、多くのオープン戦をこなし、4年生にとっては最後の秋を迎えようとしています。
今回のnoteでは大学別に、①春季リーグの振り返り ②秋季リーグの展望 ③予想スタメン&予想投手起用 の3項目を記載します。
以下、本当に長いですがぜひお付き合いください。
過去の六大学野球関連の記事は以下にまとめておりますので、こちらもぜひ笑
1.明治大学
3季続けてのリーグ優勝を果たし、全国大会でも22秋の神宮大会優勝、23春の全日本準優勝。さらにはフレッシュトーナメントにおいても22秋・23春と連覇を果たし、まさに「黄金期」と言ってもいいほどの強さを持つ明治大学。
まずはその春の戦いから振り返っていきましょう。
1-1.明治大学 春季リーグの振り返り
投手の軸はエースナンバー11を背負う村田賢一投手(春日部共栄④)。
7試合45イニングを投げ3勝0敗、防御率0.80。自身初となるベストナインを獲得し、堅い内野守備をバックに多くのゴロを築き安定感抜群のピッチングを見せました。
22年春にベストナインを獲得した蒔田稔投手(九州学院④)は万全とはいかなかったものの、4年生左腕の石原勇輝投手(広陵④)が途中から先発に転向し非常にいい投球を見せたほか、多くの下級生投手が起用に応えました。
春のリーグ戦で登板した投手は実に12名。中でもインパクトを残した投手を敢えて一人挙げるのであれば浅利太門投手(興國③)でしょう。
186cmの長身から投げ下ろす150km/hを超える強いストレートは、誰が見てもそのポテンシャルの素晴らしさに思い至るはずです。リーグ戦では3試合のリリーフ登板に留まりましたが、全日本大学野球選手権でリリーフとして2度登板機会を掴むことに成功し大きな経験を積むことができました。
野手陣に関しては多士済々という言葉はこのチームのためにあるようなもので、パワーヒッター、コンタクトヒッター、俊足、などなどあらゆる選手が特徴的かつその持ち味を活かした役割を自身が認識し、高い作戦遂行能力を持ち相手チームに襲い掛かります。
主将の上田希由翔選手(愛産大三河④)はリーグでも屈指の打者に成長し打率3位、打点2位、本塁打数2位と打撃3項目でTOPランクに。その足に注目が集まる飯森太慈選手(佼成学園③)は打撃面でも進化し打率.426で首位打者に輝きました。
今井英寿選手(松商学園②)と榊原七斗選手(報徳学園①)に代表される下級生の活躍も目覚ましく、全日本大学野球選手権では5番も担った内海優太選手(広陵①)のようなスペシャルな選手も頭角を現すなど、おおよそ語り始めたらそれだけで1note分になるほどの分厚い野手陣となりました。
結果としてチーム打率.318/チーム出塁率.372/チーム長打率.450/チームOPS.822はすべてリーグトップ。指標で見ても春の明治大学は他を圧倒していたということがはっきりしています。
次の章では秋の展望を書いていきます。
1-2.明治大学 秋の展望<投手編>
まずは投手から見ていきましょう。春のリーグ戦の結果はこちら。
エースはもちろん村田賢一投手(春日部共栄④)。
春季リーグ戦では圧倒的な数字を残しましたが、全日本大学野球選手権の決勝、青山学院大学戦では3.1イニングを3失点。昨秋神宮大会決勝では完封勝ちを果たしたように大舞台での強さも発揮してきた村田投手ですが、久しぶりに相手チームに攻略された試合となりました。
リーグ戦ではこの春に奪三振率を大きく上げ(22秋まで13.1K%→23春22.6K%)、その理由として真っ直ぐの精度向上を挙げていました(明スポ46)春季リーグ戦後インタビュー 村田賢一)が、それでもバットに強く当ててくる青山学院大学の強力打者陣に捉えられた経験はプラスに働きそうです。
6月中旬に平塚で行われた日本代表候補合宿では自己最速を更新する150km/hを計測。
技巧派と目される投手ではありますが、まだまだ球速も伸びる余地があることを改めて示した形となました。
法政大学の浦和博選手がインタビューで「捉えたと思っても、村田のストレートに力があって、詰まらされたので印象に残っています。」(2023年7月1日付スポーツ法政)と話すように、すでにボールの質は高いものを持っています。秋のリーグ戦での更なるパフォーマンスに期待が寄せられます。
2戦目以降の先発の座は4年生の蒔田稔投手(九州学院④)と石原勇輝投手(広陵④)が中心にチーム内で競争となります。
蒔田投手は22年秋~23年春にかけて順調とは言えませんでしたが、全日本の舞台で仙台大学を相手に先発し7回を被安打1与四球2の完璧な投球で復活をアピール。大学日本代表選考合宿に追加招集されると選考の結果代表入りを果たし、日米野球で1試合にリリーフ登板しました。
ストレートに本来の強さが戻ってくれば、落差あるフォークと緩急を付けるチェンジアップ・カーブのブレーキボールとのコンビネーションで打者を圧倒できるでしょう。
石原投手は昨秋までリリーフでしたが、この春は3先発。リーグ戦初先発となった慶大戦では6回無失点で、長いイニングを投げてもその球威が衰えずゲームメイクできるところを示しました。打撃面でもなんと6打数4安打とセンスの高さを発揮し、投打での活躍に秋も期待がかかります。
リリーフでは先述した右の浅利太門投手(興國③)と、いまだリーグ戦無失点の左腕千葉汐凱投手(千葉黎明③)がショートイニングを担っていく形になりそうです。浅利投手については、3年秋時の入江大生投手(現・DeNA)のようなリリーフの柱としての活躍が期待されます。
4年生の主力3投手が不調またはなんらかのアクシデントを抱えていても、先発経験豊富な左腕の藤江星河投手(大阪桐蔭③)と久野悠斗投手(報徳学園②)が控えており、いずれも春はロングリリーフも経験し着実にキャリアを積んでいます。
春にリーグ戦初登板を果たした髙須大雅投手(静岡②)や毛利海大投手(福岡大大濠②)も控えているほか、オープン戦では菱川一輝投手(花巻東②)が先発経験を積んだり、リーグ戦未登板の大川慈英投手(常総学院②)も強いボールを投げているようです。
あくまで投手の核は4年生の村田・蒔田・石原の3投手ですが、この秋も下級生含む多くの投手が起用されていくことでしょう。他のチームにとっては村田投手らをいかに早くマウンドから降ろし、リリーフ投手の戦いに持ち込めるかが明大から勝ち星を奪うカギになります。
1-3.明治大学 秋の展望<野手編>
大学日本代表に選出された上田選手・宗山選手を中心に、非常に分厚い選手層を誇るのが明治大学の野手陣です。22年は春・秋とも指標上は慶應義塾大学に軍配が上がっていましたが、23年春は先述したように明治大学がチーム打率.318、出塁率.372、長打率.450でいずれもリーグTOPとなりました。
春の各打者(10打席以上)の結果はこちら。
この秋はどのような戦い方をするのか、ポジション別にその展望みていきましょう。
<捕手>
春に行われた全12試合でスタメン出場を果たしたのが小島大河選手(東海大相模②)。
慶大戦では延長10回にスリーランホームランを放つなど、下位打線に居ながら試合終盤のチャンスの場面で打点を稼ぐ頼もしい存在となりました。守備面でも経験を積むにつれて安定感が増し、全日本の舞台でも落ち着いた立ち居振る舞いを見せ敢闘賞にも輝いています。
ただ今年卒業した蓑尾海斗選手(現Honda熊本)も早くに全国含めてマスクを被ったもののその後レギュラーを中々取れずにいた期間もあったように、小島選手も決して安泰ではないと見ています。
4年生の菅原謙伸選手(花咲徳栄④)は数少ない代打の出場機会でも結果を出していますし、全日本でベンチ入りを果たしフレッシュトーナメントでは2番打者ながらマスクを被った福原聖矢選手(東海大菅生①)も控えています。オープン戦含め最後まで正捕手の見極めは続いていくでしょう。
<内野>
二遊間はショート宗山塁選手(広陵③)とセカンド堀内祐我選手(愛工大名電④)が圧倒的な守備力を見せ、2人とも上位打線を担う明治大学の野手陣の屋台骨となっています。
春は堀内選手がシーズン途中から1番打者に定着し、1番で起用されたときのOPSは.822。もともと三振が少なくバットコントロールに長けたコンタクトヒッターでしたが、今春出場した全12試合でヒットを放つという安定感を見せました。
逆に宗山選手はこれまでのシーズンで最も低調なシーズンを過ごしてしまい、この秋に打撃復調するといよいよ打線に手が付けられなくなります。
サードを守るキャプテンの上田希由翔選手(愛産大三河④)は打撃面でOPS.1.192と抜群の成績を残し、本塁打も3本はキャリアハイ。通算本塁打数は9本で、この秋に通算2桁本塁打を狙います。一方、送球面で不安定さが出てしまった点をどこまで改善できるかは、もし順位が競った時にこの秋のポイントになるかもしれません。
二・遊・三の3ポジションに圧倒的なレギュラーがいる中、春に混戦となったのはファーストです。
序盤は加藤巧也選手(大阪桐蔭③)がメインで起用されましたが、終盤~全日本にかけては杉崎成選手(東海大菅生③)と内海優太選手(広陵①)が打撃面を買われ併用。内海選手は慶大戦で代打ホームラン、立大戦で初スタメンを果たすとマルチ安打を放ちます。
杉崎選手・内海選手ともに鋭いスイングから驚くような打球速度を出してボールをたたき込むバッティングを見せており、明治大学の将来を担う主砲候補としてこの秋も期待されます。
血の明法戦で決勝点となる初本塁打、全日本では初スタメンでタイムリーを放つなど、勝負強い木本圭一選手(桐蔭学園②)もやはり打力でレギュラー争いに食い込むなど、やはり層の厚さを感じさせますね。
<外野>
春はレフトに飯森太慈選手(佼成学園③)、センターに直井宏路選手(桐光学園③)と元来守備と走塁で力を発揮してきた2選手がレギュラーを守り切りました。
飯森選手はこの春打率.426で首位打者を獲得、持ち前の足では7盗塁とこちらもリーグトップの盗塁王。意外にも三振は13個と多いのですが、バットに当てさえすれば俊足を活かし塁からもプレッシャーをかけていきます。
直井選手もこれまでは打撃面で苦しんできた選手の一人でしたが、今春は打率.300。選球眼には定評があり、出塁率は.380と下位打線でいやらしさを発揮しました。
明治大学らしい足を絡めて試合を優位に運び、外野の守備でも穴の無いこの2選手は秋のリーグ戦でも継続してメインで起用されていくでしょう。
残る1つのポジションであるライトの守備位置には、春は途中出場も含めて5人の選手が起用されました。
最も多く起用されたのは瀬千皓選手(天理②)。昨年リーグ戦初出場した試合で本塁打を放つなど右のパワーヒッターですが、確実性はまだ高くなくレギュラーを掴むまでには至りませんでした。
目立ったのはともにこの春がリーグ戦初出場となった今井英寿選手(松商学園②)と榊原七斗選手(報徳学園①)の2選手。今井選手は10打数4安打、榊原選手は8打数4安打と限られたチャンスをものにし、全日本の舞台でも出場機会を得ています。
フレッシュトーナメントでは十分な活躍を見せていた水谷公省選手(花巻東③)も今年はリーグ戦が主戦場となり、1年秋以来のリーグ戦出場を果たすと初打点も挙げました。
1-4.明治大学 予想スタメン&予想投手起用
最後に開幕戦の予想スタメンと、秋のリーグ戦での予想投手起用です。
1番(二)堀内祐我
2番(左)飯森太慈
3番(遊)宗山塁
4番(三)上田希由翔
5番(一)杉崎成
6番(右)瀬千皓
7番(中)直井宏路
8番(捕)小島大河
9番(投)蒔田稔
先発:①(村田賢一) ②蒔田稔 ③石原勇輝
中継ぎ:浅利太門、藤江星河、千葉汐凱、菱川一輝、久野悠斗、髙須大雅
春から大きくいじる必要性を全く感じない強力打線です。野手編で書いたように、ファーストとライトに関してはこの夏のOP戦での結果によって起用される選手が変わってきそうですが、センターラインは不動のレギュラーと言って良いのではないでしょうか。
打線はそのままでも十分強力ですが、強いて言うならば春不調だった宗山選手の復調が秋の鍵になりそうです。
投手もスターター/ブルペンともに枚数が左右揃っており、他の追随を許さない状態です。各大学が明治大学の優勝阻止に向けて研究してくると思いますが、勝ち筋は強力な打線を抑えた上でのロースコア勝負ぐらいではないでしょうか。
ただ、8月末の高校代表との試合に村田投手が欠場。なんらかのコンディション不良であることから、開幕戦には間に合わない+秋リーグ優勝という目標を考えればコンディションを優先させるのは必然です。蒔田投手が繰り上がりで秋の開幕投手、2戦目に石原投手と想定されます。
この秋も熾烈な部内競争を経て、出場する選手たちがベストメンバーとしてリーグ戦に臨みます。
2.法政大学
昨年は春4位秋5位と2季続けて下位に甘んじてしまった法政大学ですが、この春は2位に浮上。勝ち点4と明治大学以外の対戦校から勝ち点を奪い、8勝をあげました。
それを越える結果を秋は残し、20春以来の優勝を目指します。
まずはその春の戦いから振り返っていきましょう。
2-1.法政大学 春季リーグの振り返り
投手の柱は左右のダブルエース。3勝を挙げ防御率0.68で最優秀防御率に輝いた篠木健太郎投手(木更津総合③)と、無傷の4勝を挙げた左腕の尾﨑完太投手(滋賀学園④)の2人で全12試合中11試合を先発登板しました。
リリーフには経験豊富な左の武冨陸投手(日大藤沢④)と右の塙雄裕投手(常総学院④)の4年生コンビに加え、サウスポーながら150km/h前後のスピードボールを武器とする吉鶴翔瑛投手(木更津総合③)が先発含め様々な場面で登板を重ねました。
しかし吉鶴投手が慶大戦・明大戦でホームランを浴びてしまうなどやや安定感を欠いてしまった面は否めず、強い明治大学との接戦において投手力のわずかな差で連敗を喫してしまったことは秋に向けての改善点です。
野手に関してはチームOPS.708は明大に次ぐ2位。チーム10本塁打に代表される長打力を見せ、昨年の得点力不足からの脱却を果たしました。
新チームの顔となったのが全試合で1番サードを担った切り込み隊長、武川廉選手(滋賀学園③)です。リーグ2位の打率.396をマークし、出塁率も5割近く。思い切りのよいバッティングは観ていても気持ちよく、痛烈なライナー性の打球を引っ張り方向に連発してきました。
また、下級生時からポテンシャルを随所に発揮しリーグ戦での活躍を期待されていた内海貴斗選手(横浜④)が待望のレギュラーに成長。春に放った3本塁打の中でも、早大との4回戦の9回表に放った逆転スリーランホームランは今年の法大のハイライトと言っても良いでしょう。
今年のリーグ戦が始まる前の下馬評に対し、打の部分で想像以上の迫力を見せた法政大学。秋はどのような戦いを見せてくれるのか、以下書いていきたいと思います。
2-2.法政大学 秋の展望<投手編>
チーム防御率1.72はリーグ2位、明治大学に次ぐ好成績を残した投手陣が秋も主軸となります。春の投手成績は次の通り。
春と同じく、尾﨑完太投手(滋賀学園④)と篠木健太郎投手(木更津総合③)のダブルエースが軸となります。
尾﨑投手はドラフト会議に向けても大事なアピールが続く秋となります。持っている球はストレートもカーブもフォークも一級品なので、ゾーンでどんどん攻めて投手有利カウントを作れればおのずと勝ち星が増えていくはずです。
篠木投手は先発ながら常時150km/hを超える速球に加え、切れ味抜群のカットボールをこの春は有効に使い、従来よりも球数を減らして長いイニングを投げられるようになりました。早稲田との3回戦では加藤投手と投げ合い10回無失点。突発的な四球もずいぶん減り、1試合を投げぬくことに関してはリーグトップクラスです。
左の吉鶴翔瑛投手(木更津総合③)が春はロングリリーフも、終盤接戦時も、先発も、と複数の異なるシチュエーションで登板することになり、負担が大きいのではないかと感じました。150km/h前後を安定して投じられる馬力もあり、現在の尾﨑・篠木ダブルエース体制であれば抑え投手として秋は固定しても良いのではないかと思います。
4年生左腕の武冨陸投手(日大藤沢④)と右の塙雄裕投手(常総学院④)の二人は昨年からフル回転し経験豊富。ともにロングリリーフも対応できるため、秋も重宝することになるでしょう。
下級生で春にリーグ戦登板を果たしたのは丸山陽太投手(成東②)。1/3イニング3失点と悔しい結果になりましたが、同期で最初のリーグ戦登板であり、フォームの綺麗さも含めて期待が寄せられます。
春のリーグ戦で登板したのは上記6名で、これはリーグ最少。首位明治大学が12名の投手を起用したことを考えると、投手運用の最適化の観点からももう少し他の投手にも出番があっても良いのかもしれません。
リーグ戦では1登板にとどまっていますが一栁大地投手(星槎国際湘南④)やリーグ戦未登板の安達壮汰投手(桐光学園③)のかつてのドラフト候補の神奈川県勢が控えており、山城航太郎投手(福岡大大濠③)や帯川翔宇投手(札幌一②)もAチームの合宿に帯同し登板を重ねています。
個の投手の力では首位明治大学と十分渡り合える投手陣のため、チームとしてどれだけ接戦をものにできる工夫が出来るかが秋の順位を左右するのではないでしょうか。
2-3.法政大学 秋の展望<野手編>
チーム打率.261とチームOPS.708もリーグ2位とこちらも明治大学の次点につけた法政大学。武川選手の指標が非常に素晴らしく、内海貴選手も三振数〈四球数とこれまでの課題を克服しました。
春の各打者(10打席以上)の結果はこちら。
ポジション別に以下、詳しく見ていきましょう。
<捕手>
正捕手の座を春に掴んだのは吉安遼哉選手(大阪桐蔭③)。身長180cmの大型捕手ですが、打席に立った時の手足の長さが印象的で、早大2回戦ではリーグ戦初本塁打を放ちました。
久保田碧月選手(高川学園④)と田所宗大選手(いなべ総合③)の2人も春は途中出場ながらリーグ戦を経験しており、打力でこの夏のOP戦結果を出せば十分スタメン起用も見えてきます。
<内野手>
守備の要の二遊間に関しては、遊撃にキャプテンの今泉颯太選手(中京大中京④)がこの秋も起用されていくでしょう。
春は打率.229、OPS.644、打点は2と打撃で結果を残せませんでしたが、打撃のポテンシャルの高さはそのスイングからも十分に計り知れ、四球率もこの春上がってきました。2失策と守備面でも力を発揮できなかった分、秋は今泉選手の覚醒にチームの浮上がかかっています。
二塁手は高原侑希選手(福井工大福井④)が春の前半戦は起用され、スクイズなど小技も含めて9打点とポイントゲッターの役割も果たしましたが、後半から1年生の藤森康淳選手(天理①)が15打数5安打と打率3割を超え台頭します。
藤森選手はU18日本代表メンバーでもあり俊足を武器に小技を絡める2番打者タイプ。守備面でも大きな粗が無く大学レベルの野球にも適応し、早くもレギュラーの座を脅かす存在となりました。
ただ、法政大学は二遊間に関して有望な高校生を多くリクルーティングしており、特に大学2年生で松下歩叶選手(桐蔭学園②)、石黒和弥選手(高岡商業②)、品川侑生選手(三重②)、浜岡陸選手(花咲徳栄②)、増田凜之介選手(春日部共栄②)の5人の選手を抱えています。
いずれも高校時代は遊撃手としてドラフト候補にも名を連ねた好プレイヤーで、東大戦ではリーグ戦初本塁打を放った松下選手を筆頭に、彼らがこの秋にどこまでスタメンに食い込めるかの競争がチームの力を底上げしてくれそうです。
一・三塁のコーナーポジションには高い打力を誇る内海貴斗選手(横浜④)と武川廉選手(滋賀学園③)が春と同じく打の中心選手として活躍が期待されます。
内海貴選手は昨秋14打数6三振と確実性に難がありましたが、この春は52打数6三振と大きく三振を減らし、それでいて持ち味の鋭いスイングは貫いています。ボール球に安易に手を出さず、高低の攻めに対応できるようになった強打者は、春のOPS.855。秋も4番に座りランナーを返す役割を担うでしょう。
昨年のドラフト1位右腕荘司康誠投手から満塁弾を放った山根滉太選手(小松大谷④)でさえこの春は2打席に留まり、法政大学の内野手の層が厚くなってきたと感じています。
<外野手>
外野3ポジションのうち、レギュラーがほぼ決まっていると言えるのはセンターの中津大和選手(小松大谷③)ぐらいでしょう。
中津選手は打率.240ながら本塁打をこの春に2本放つなど長打率.460。高校時代は遊撃手としても注目されましたが、大学に入ってからレフト・センターをメインポジションにするとその広い守備範囲で投手を何度も助けています。
出場した14試合中4試合でマルチ安打以上の一方、ノーヒットの試合も7試合あり、バットコントロールは長けているので継続して安打を放つことができるコンディションに持って行ければ秋は首位打者争いにも食い込むだけのポテンシャルもある選手です。
両翼のポジションは実績ある副将の浦和博選手(鳴門④)がレギュラーの1枠を掴むかに思われましたが、春はコンディション面で苦しみ、実に6人の選手が起用されました。
立大戦でリーグ戦初出場、3回戦では猛打賞を記録しレギュラーを掴みかけたのが内海壮太選手(御殿場西③)です。
11試合に出場し打率3割越え、打順も当初7番から3番の中軸でも起用されました。183cm91kgと大柄な右打者で、近いうちに本塁打も期待されます。リーグ戦終盤にコンディション面で難しい時期もありましたが、万全であればクリーンアップを担う選手になりそうです。
最終カード東大戦で初スタメン、打った瞬間の豪快な本塁打を放ち大きなインパクトを残した姫木陸斗選手(日大藤沢③)は定着すればハイリターンを見込める選手で夏のオープン戦でもAチームで多くの打席を経験しています。
1年生から出場を重ねている西村友哉選手(中京大中京③)や、昨秋リーグ戦初スタメンも経験した伊藤勝仁選手(常葉大菊川④)、セカンドから外野へ春はコンバートになった鈴木大照選手(明徳義塾③)、パワーヒッターらしい強いスイングが持ち味の福岡大真選手(筑陽学園④)など彼らの中で誰が打力でレギュラーを掴むかに注目です。
2-4.法政大学 予想スタメン&予想投手起用
最後に予想スタメンと、リーグ戦での投手起用です。
1番(三)武川廉
2番(二)藤森康淳
3番(左)内海壮太
4番(一)内海貴斗
5番(遊)今泉颯太
6番(右)浦和博
7番(中)中津大和
8番(捕)吉安遼哉
9番(投)尾﨑完太
先発:①尾﨑完太 ②篠木健太郎 ③尾﨑完太
中継ぎ:武冨陸、塙雄裕、一栁大地、吉鶴翔瑛、安達壮汰
抑え:吉鶴翔瑛
完投能力も高い尾﨑投手・篠木投手の2人の出来がゲームを左右しますが、接戦時に焦点となるのは吉鶴投手のピッチングになるでしょう。投手編で記載したように、吉鶴投手が万全で登板できるような環境作りをチームとして作れるかに注目です。
野手では中軸を担うキャプテンの今泉選手が攻守に軸になれるかがポイント。武川選手と内海貴選手への研究とマークが春に比べて厳しくなることが想定される中、今泉選手がポイントゲッターとしての役割を担うことで相手投手へプレッシャーをかけていきたいところです。
浦選手や内海壮選手ら力ある外野手が秋こそコンディション良くシーズン回れるかも得点力に影響することは必須。野手も起用法含めて首脳陣の手腕が問われるチームになりそうです。
3.慶應義塾大学
21年に春秋連覇、22年は春2位・秋3位と常時首位争いに絡む慶應義塾大学。この春も早慶戦で勝ち点を奪取し3位でフィニッシュしました。
夏の甲子園では付属の慶應高校が優勝、世間的にも大きな話題を呼びました。大学もその波に続くことができるか。
まずはその春の戦いから振り返っていきましょう。
3-1.慶應義塾大学 春季リーグの振り返り
投手の柱は1年生からリーグ戦のマウンドに上がり続ける外丸東眞投手(前橋育英②)。リーグ最多の59イニングを投げて3勝を挙げ、防御率1.37と非常に安定した成績を残すことが出来ました。
懸念されていた2戦目の先発には今春がリーグ戦初登板にもなった谷村然投手(桐光学園④)がはまり、35イニングを投げて防御率2.55。2勝のうちの1つは東大戦での完封勝利で、充実のシーズンとなりました。
リリーフでは左の森下祐樹投手(米子東④)がフル回転。法大3回戦では3イニングのショートスターターの役割も果たし、11試合19イニングに登板。明大戦では4連投もこなし、やや投手力に苦しんでいたチームをあらゆる面で支えました。
スペシャルな投手が複数いる明大・法大に比べ枚数が少ない中、春は上記3投手がとても頑張り、チーム防御率も2.27と好成績となりました。
昨年までは打のチームで、指標上でも明大を上回るOPSを記録していましたが、春はチームOPS.687でリーグ4位。多くの打順パターンを組み、堀井監督もかなり試行錯誤をしたのではないでしょうか。
チームの軸は1年生から4番も任されてきた主将の廣瀬隆太選手(慶應④)。当初は4番サードで起用されていましたが、打率1割を下回り中軸が機能せず。シーズン途中から3番セカンドに打順変更されるとそこからは打率.231ながら5本塁打と本来の打力の片鱗を見せました。
上位打線でレギュラーを掴んだ吉川海斗選手(慶應④)と栗林泰三選手(桐蔭学園④)がともに打率3割を超え、特に栗林選手は11打点をマーク。期待された打力を見事に発揮しました。
打に光る選手はいる一方で、守備面ではチーム17失策はリーグ最多。ここは秋に向けての明確な改善ポイントでしょう。
3-2.慶應義塾大学 秋の展望<投手編>
春の投手成績はこちら。
秋もエースは外丸東眞投手(前橋育英②)でしょう。
昨年の登板では高校時代に培ってきたアウトコースへ制球良く投げ分ける技巧派的な側面が強かった投手ですが、この春は球速も常時145km/h前後を計測し、球速以上の力を感じさせる力投派にモデルチェンジ。
昨年は43イニングで23三振でしたが、この春は59イニングで40三振。それでいて制球力は変わらず、K-BB%=12.2でこれは法大の篠木投手と同クラスです。
もう一人の先発は谷村然投手(桐光学園④)。出所の見づらそうなショートアームで、そこから繰り出される伸びのあるストレートと緩いスライダーにどの打者も打ちづらそうな反応を見せていた印象が強い投手です。
春は外丸・谷村の2人が先発として中1日も厭わず、外丸投手に至っては2試合連続先発も含めて登板を重ねましたが、秋はもう1枚先発投手が欲しいところではあります。
候補の一人が1年生の竹内丈投手(桐蔭学園①)。フレッシュトーナメント決勝戦で明大戦に先発し5回無失点と先発適性も見せています。やや沈み込みながら馬力のありそうなボールを投げ、早くもリーグ戦を経験しており、この秋はロングリリーフも含めた起用が主になるのではないでしょうか。
春のリーグ戦および夏のOP戦での起用などから考えると、小川琳太郎投手(小松②)が先発転向するのではないでしょうか。
リリーフでは、春からアームアングルを上げた森下祐樹投手(米子東④)と、春に8試合登板し防御率0.00と好結果を残した荒井駿也投手(慶應②)の両左腕に秋もフル回転が求められます。森下投手は引き分けなどで3回戦・4回戦に縺れた場合に再びショートスターターとしての登板も十分あり得るでしょう。荒井投手は140km/h前後のストレートを対角線に投げ込み、右打者に対して強さを発揮します。
浮橋幸太投手(富岡西③)は140km/h中盤を計測できる出力があり右のリリーフエースとしての期待がかかるほか、制球に優れた小川琳太郎投手(小松③)、1年生で春の開幕戦に登板した広池浩成投手(慶應①)、夏のオープン戦では先発起用もされている背番号34の渡辺和大投手(高松商業①)にも多くの期待がかかります。
外丸投手を筆頭に下級生も多くリーグ戦を経験し、秋もフレッシュな面々が多くみられそうです。
3-3.慶應義塾大学 秋の展望<野手編>
続いては野手陣です。中軸を担った栗林泰選手と宮崎選手が2桁打点を記録、逆に打順の早い選手がやや苦しんだシーズンでした。
春の各打者(10打席以上)の結果は次の通り。
ポジション別にみていきましょう。
<捕手>
正捕手は日米大学野球にも出場した宮崎恭輔選手(國學院久我山④)。
昨秋に初めての規定到達で打率3割を記録すると、この春も打撃好調で打率.327をマークしました。主に5番・6番に座って走者を返す役割を担い、春11打点はチームトップタイ。現役時代の郡司裕也選手(現・日本ハム)のように4番捕手で起用される可能性もあるかもしれません。
宮崎選手の同級生ライバルの善波力選手(慶應④)は春から代打での出場がメインとなり、現チームでは正捕手は確定と言って良いでしょう。
下級生で坪田大郎選手(慶應②)、珍しい背番号0の森村輝選手(小山台②)がフレッシュトーナメントでマスクを被っており、試合展開によっては次年度以降を見据えた途中起用も秋は見られるかもしれません。
<内野手>
当初サード固定化に思われたキャプテンの廣瀬隆太選手(慶應④)ですが、春のリーグ戦途中にセカンドへ。これまでも一塁、二塁、三塁の3ポジションを経験してきましたが、最終的にこのポジションで秋も迎えることになりそうです。
1年生から積み上げてきたホームラン数は既に18本で歴代7位タイ。日米大学野球でもメジャーリーガーのような豪快なスイングで本塁打を放つなどパワーは六大学イチ、慶大の先輩高橋由伸選手の23本に追いつき追い越せるような本塁打を秋にもマークできれば自ずと順位も上がっていくでしょう。最後の秋に打撃復活と記録更新を狙います。
春にショートのレギュラーを勝ち取ったのは斎藤快太選手(前橋③)。前の打球に特に強く、軽快な動きでそつなくこなす守備の面に重きを置かれていますが、打撃面でも慶早戦では3試合5安打。初本塁打も放つ意外性あるバッティングも魅力です。
廣瀬選手がセカンドに動いた後のサードには本間颯太朗選手(慶應③)が入れ替わる形で入りました。小柄ながらしっかりと振り切るスイングの出来る選手で昨年の1年間で12打数6安打と打力に優れていましたが、今春は打率2割と苦戦。慶早戦で5安打と最終盤に復調を見せたものの、上位を担う打者ゆえ秋の順位アップには本間選手の活躍が欠かせません。守備面でも6失策と精彩を欠いてしまったので、ポジション含め秋に注目です。
一塁には春の開幕カードで清原正吾選手(慶應③)がスタメンを勝ち取りましたが、思うような結果は残せず水鳥遥貴選手(慶應③)と吉川海斗選手(慶應④)がポジションにつきました。
副キャプテンの小川尚人選手(三重④)や、春にリーグ戦を経験した今泉将選手(慶應②)、1年生ながらサードの守備にも就いた上田太陽選手(國學院久我山①)が内野各ポジションに控え、途中出場を中心に出場を増やしていくでしょう。
<外野手>
チームの中軸打者だった萩尾匡也選手(現・読売ジャイアンツ)や山本晃大選手(現・JR東海)が卒業し、外野は全ポジション競争となりました。
春の途中から4番に座った栗林泰三選手(桐蔭学園④)が秋も中軸打者に。2本塁打を含む長打10本を放ち覚醒の予感。浪人も経験し、その時期に学んだインソールの知識を野球に活かすなど、実学の礎たる慶應義塾大学らしい選手の活躍は良いものですね。
センターを担うであろう選手が吉川海斗選手(慶應④)。昨秋の慶早戦で一時は勝ち越しとなるリーグ戦初ホームランを記録。年間で9打数4安打とこちらも代打の出場を主としながらしっかりと結果を残した選手で、春のOP戦で積極的に起用されています。背番号も萩尾選手の1番を受け継ぎ、その打棒に期待がかかります。
吉川選手は先述したように一塁手としても9試合に出場しており、試合中にセンターに入ることも。複数ポジション守れることで、離脱者の穴を上手く埋めることのできる点も重宝されています。
齋藤來音選手(静岡④)が春の後半にレフトに入ると3割近くを打ちましたが、佐藤一朗選手(慶應④)や佐藤駿選手(慶應③)、横地広太選手(慶應①)もスタメン出場含めて春にリーグ戦で経験を積み、各カードで誰をどのポジションで使うのかは変わってきそうです。
法大戦で満塁弾を放った村上真一朗選手(城北④)のような選手もおり、出場機会が増えた分だけ途中出場や代打などでの選択肢も増え、秋は充実の戦力で臨みます。
3-4.慶應義塾大学 予想スタメン&予想投手起用
最後に予想スタメンと投手起用です。
1番(一)吉川海斗
2番(二)水鳥遥貴
3番(左)齋藤來音
4番(右)栗林泰三
5番(捕)宮崎恭輔
6番(三)本間颯太朗
7番(中)佐藤駿
8番(遊)斎藤快太
9番(投)外丸東眞
先発:①外丸東眞 ②谷村然 ③外丸東眞
リリーフ:森下祐樹、浮橋幸太、荒井駿也、前田晃宏、小川琳太郎、竹内丈、広池浩成、渡辺和大
キャプテンで3番セカンドを担う廣瀬選手がオールスターとU18代表壮行試合ともに欠場、その前のオープン戦も数試合欠場が続いており、開幕には間に合わないのでは無いかと予想されます。
そのため開幕はセカンドに水鳥選手が入り、センターに横地選手や佐藤駿選手が起用されるのでは無いでしょうか。打線の中でも注目選手は春に不調だった廣瀬選手のため、彼が離脱している期間は苦戦を強いられそうです。
投手は外丸投手のパワーアップと谷村投手の台頭はあったものの、春は"外丸無双"状態で連投もやむなしでした。1年生投手含め、三戦目の先発を任されるような新しい力に期待です。
4.早稲田大学
2020年秋以来、優勝から遠ざかっている早稲田大学。
この春は東大・立大に連勝し2カードで勝ち点2を奪うも、法大戦で4回戦まで縺れましたが勝ち点を落とすと明大・慶大からも勝ち点を取れず4位に沈みました。特に明大1回戦と慶大2回戦では15失点の大敗。
NPB通算117勝、MLBにもわたった投手出身の小宮山悟監督が秋は投手陣を整え、雪辱を期した秋季リーグを迎えます。
まずはその春の戦いから振り返っていきましょう
4-1.早稲田大学 春季リーグの振り返り
エースは4年生右腕の加藤孝太郎投手(下妻一④)。左右問わず打者のアウトコースの出し入れで勝負する制球力を武器に7先発し3勝2敗、防御率は2.54。明大1回戦を除く6試合で6イニング以上を2失点以内に抑える安定感はさすがの一言です。
2戦目の先発投手に苦しんだのが春の早稲田でした。4試合に先発したのは清水大成投手(履正社④)、小宮山監督も将来の選択肢を広げるアピールの場として起用した趣旨を語っていますが、9イニング10失点と厳しい結果になってしまいました。
当初の構想では伊藤樹投手(仙台育英②)が先発の柱として期待されていたし本人も先発への意欲を語っていましたが、調整が上手くいかなかったのかリーグ戦当初から球速が出ず変化球の精度も不十分。ただ、明大2回戦で6イニングのロングリリーフを3失点と復活の兆しも見せ、長いイニングを投げられることもアピール出来たでしょう。
リリーフ陣の中で152km/hを計測しこれからの早稲田大学を牽引するかに思われた田和廉投手(早稲田実業②)が故障で離脱したのは非常に痛く、明大戦〜慶大戦での投手力の差に繋がってしまいました。
野手では2人の新しい戦力が台頭しました。
尾瀬雄大選手(帝京②)は全試合で1番センターでスタメン起用されると、打率.347を記録。170cmと小柄なもののバットコントロールにも優れ、思い切ったスイングを持ち味としながらも三振はわずかに2つ。リードオフマンの地位を確立しました。
もう1人は小澤周平選手(健大高崎②)。当初はスタメン構想外だったものの、リーグ戦直前に代役でサードに入ってから結果を残し、そのままレギュラーに定着。高校通算52本塁打とパワーのある内野手で、9打点を稼ぎました。サード守備も失策0、肩も範囲もリーグトップクラスでチームを支えました。
彼らに加えて目立ったのは副将の熊田任洋選手(東邦④)。昨秋の打率.342に続いて春も打率.341と打撃面で貢献、13打点はリーグ単独トップの打点王です。プロ志望は強く、全試合をショートで出場し失策0。想いを形にした春となりました。
全体の変化として、金森栄治打撃コーチが今年から入閣。オフには9年ぶりにロサンゼルス遠征を行うなど様々な取り組みが実ったのか、打撃面では指標上も大きく改善。勢いに乗ったら止められない、そんな打線に様変わりしました。
4-2.早稲田大学 秋の展望<投手編>
春の投手成績はこちら。
エースはもちろん加藤孝太郎投手(下妻一④)。
ストレートの平均球速は140km/h台前半ながら変化球も含めて丁寧にコースを投げ分けるピッチングスタイルは円熟味を増し、スタミナ面も十分。クイックモーションや牽制、さらにフィールディングはトップクラスに上手く、自身の守備で自らを助けています。
二戦目の先発は秋の注目ポイント。
コンディションが良ければ伊藤樹投手(仙台育英②)がダブルエースとして先発の柱を一角になることを期待しています。
夏のOP戦では先発として調整を続け、日本大学野球選手権で優勝した青山学院大に5回1安打無失点、かずさマジック戦でも5回4安打1失点と好投。
これまでのワインドアップからノーワインドアップに変えたことについて次のように話しています。
1年生ながらクローザーとして君臨した22年に対し今年の春は苦しんだ分、取り組みも新たに秋に臨みます。
もう一枚の先発候補は清水大成投手(履正社④)。履正社時代は甲子園優勝投手。大学入学後はなかなか結果を出せていませんが、上から綺麗に投げ下ろす左投手は希少で、カーブの落差は大きく良いボールは持っています。
同級生で推薦組の飯塚脩人投手(習志野④)も春は投げられるところまで来たので、秋はいいピッチングが見られると良いなと思います。
リリーフについて、4年生では左腕の齋藤正貴投手(佐倉④)がこの春は復活を見せ、精度の高いスライダーと制球が戻ってきました。左のリリーフエースとして慶大の森下祐樹投手のような起用が見込まれます。
春は明大戦で4失点し早慶戦でも調子を戻せなかった中森光希投手(明星③)も本来のシュート成分の大きな食い込むストレートを武器に再起を賭けます。
昨年は先発のマウンドでも140km/h中盤を計測するストレートを投じていた鹿田泰生投手(早稲田実業③)も秋にパフォーマンスを戻せばリリーフ陣に厚みが加わります。
まだリーグ経験は無いですが卒業する四年生の前田浩太郎投手(福岡工業④)、澤村栄太郎投手(早稲田佐賀④)らもオープン戦で登板を重ねており、神宮の舞台を踏めると良いですね。
新しい力にも期待がかかります。
春に早くもリーグ戦登板を果たした越井颯一郎投手(木更津総合①)。初の舞台が早慶戦、しかも15失点した試合だったのはやや可哀想でしたが、その試合で2イニング4安打浴びるも三振も4つ奪い力を見せました。決め球になるような変化球の精度が上がれば昨年の伊藤樹投手のようにクローザー起用という可能性も出てくる投手です。
もう1人はフレッシュトーナメントで好投を見せた宮城誇南投手(浦和学院①)。背番号13が発表されており、この秋はリリーフがメインになるかと思いますがベンチ入りメンバーに入ってくるでしょう。
一年生では他にも甲子園出場経験のある森山陽一朗投手(広陵①)、香西一希投手(九州国際大付①)がおり、早稲田の未来を近いうちに担う逸材揃いです。
4-3.早稲田大学 秋の展望<野手編>
続いては野手陣です。熊田選手が指標上もチームの中心打者に。8人の選手が40打席以上でスタメンの固定具合が分かります。
春の各打者(10打席以上)の結果は次の通り。
各ポジション別にみていきましょう。
<捕手>
正捕手は印出太一選手(中京大中京③)。
春は打率.255、持ち味だった長打は1本塁打含め3本と調子の上がらないシーズンとなってしまいました。秋も4番ないし中軸での起用が想定され、復調がチームの浮上に必須となります。
印出選手と同学年の栗田勇雅選手(山梨学院③)はこれまで出場機会少なかったですが、点差のついた明大戦で途中出場ながらリーグ戦初マスク。浦和学院高校で正捕手を担った吉田瑞樹選手(浦和学院②)や、4年生の打力ある篠原優選手(早大学院④)もいい選手なのですが、印出選手の壁は高くなかなか出番は回りづらい状況です。
<内野手>
二遊間は春と同じくショート熊田任洋選手(東邦④)とセカンド山縣秀選手(早大学院③)という布陣になるでしょう。
先述したように、熊田選手は春に遊撃を守りながら高い打力をキープ。日本代表に選ばれた日米大学野球では主に2番セカンドで出場しました。現在本塁打は7本、最後の秋でプロへのアピール含めて2桁に乗せたいところです。打点を稼ぐチャンスでの強さも精神面での強さの表れ、秋も攻守の要となります。
セカンドの山縣選手は遊撃からのコンバートですが、セカンドでも前後の動き良く、スローイングの正確さでも守備貢献度が高い選手です。下位打線で長打はないですが逆方向を中心にしぶとい打撃で打率は2割後半、繋ぎ役としての役割を担っています。
二遊間では今春リーグ戦初出場を果たした中村敢晴選手(筑陽学園③)や、フレッシュトーナメントで活躍を見せた渋谷泰生選手(静岡②)、岩﨑遼選手(広陵①)らが控えており、サブメンバーからの突き上げで競争が生まれることも期待できます。
一・三塁に関しても、春は一塁に外野からコンバートした野村健太選手(山梨学院④)、三塁に小澤周平選手(健大高崎②)でほぼ固定起用。
野村選手は立大1回戦で2本塁打とインパクトを残しましたが、6試合連続無安打もあるなど安定感は欠いてしまいました。同じ4年生の生沼弥真人選手(早稲田実業④)が昨年までの実績では対抗馬ですが、島川叶夢選手(済々黌④)が早慶戦でホームランを放つなど代打中心ながら打率3割、優先順位が上がってきそうです。
三塁手には攻守で活躍を見せた小澤選手が秋もメインで起用されそうです。昨秋から顔を出し始めた梅村大和選手(早稲田実業③)もエンドランやバントなどしっかりこなせるタイプで、アピールを続けています。
下級生のがっしりとした体格の前田健伸選手(大阪桐蔭②)や、新入生でスポーツ推薦枠の岡西佑弥選手(智辯和歌山①)なども上級生が奮わなければ抜擢の可能性があり、ポジション的にも打てる選手が優先されると考えて良いでしょう。
<外野手>
春に想定外だったのは、キャプテンの森田朝陽選手(高岡商業④)がオーバーワーク症候群でコンディションを崩し出場0に終わってしまったことでしょう。
ベンチ入りした試合では最前列で声を出して鼓舞しており、その力は序盤の早稲田に必須のものでしたが、センターの守備としぶとい打撃を兼ね備える森田選手を欠いたのはやはり痛かったと考えられます。夏のオープン戦でも現時点ではまだ出場が無いですが、やはり打席で森田選手らしいセンター返しを見たいと東京六大学野球を観ているファンは思っているはずです。
外野3ポジションですが、センターに尾瀬雄大選手(帝京②)、レフトに中村将希選手(鳥栖④)、ライトに吉納翼選手(東邦③)という布陣は春と変わらないと想定されます。
3選手とも本塁打を放っており、打線においても切込隊長の1番尾瀬選手、送りバント10個と繋ぎに徹する中村選手、中軸でフリーに打たせて長打でランナーを返す吉納選手と重要な役割を振られています。
森田選手を欠いた中で彼らの代わりにレギュラーを取るのは至難の業ですが、主に代走・守備固めで起用された椎名丈選手(早大学院②)と松江一輝選手(桐光学園②)の両2年生がサブの筆頭でしょう。
特にフレッシュトーナメントでの椎名選手の走塁は素晴らしいものがあり、チームの中で足を使える選手は少ないのでそこに可能性を見出すことは出来るでしょう。
身体の大きい選手がベンチ入りメンバーで多くいるチームなので、秋は野手の起用法・代打の切り方にも注目していきたいですね。
4-4.早稲田大学 予想スタメン&予想投手起用
最後に予想スタメンと、投手起用です。
1番(中)尾瀬雄大
2番(左)中村将希
3番(遊)熊田任洋
4番(捕)印出太一
5番(右)吉納翼
6番(一)島川叶夢
7番(三)小澤周平
8番(二)山縣秀
9番(投)加藤孝太郎
先発:①加藤孝太郎 ②伊藤樹 ③清水大成
中継ぎ:齋藤正貴、鹿田泰生、ユエン賢、飯塚脩人、宮城誇南
抑え:越井颯一郎
春のスタメンの固定具合を鑑みると、秋も春に近しいラインナップになると思われます。4番印出選手の復調もさることながら、春に結果を出した尾瀬選手が打撃を維持できるかが秋の早大の得点力に大きく影響するでしょう。
かなりバントを多用するチームスタイルもあり、1番打者の出塁はこのチームにとってのトリガー。得点圏に置く回数を増やし、先攻逃げ切りという戦い方はハッキリしている分、求められる役割も明確なのは良い部分だと思っています。
春は想定外に崩れてしまった投手陣、立て直しのキーマンは伊藤樹投手でしょう。加藤投手の安定感に加えて、出力高く馬力を発揮できる伊藤投手が2試合目でゲームを作ることで勝ち点がぐっと近づきます。
4位に終わるチームと選手ではないので、秋こそ浮上を狙ってほしいですね。
5.立教大学
昨年春3位、秋4位、今春は5位と今ひとつ奮わない立教大学。17年春以降優勝から遠ざかっており、特に慶大相手には18秋以降勝ち星がないなど苦手チームがリーグである点は大きな問題となっています。
昨年主力メンバーが多く卒業したものの、戦い方次第では順位浮上の可能性はあるチームです。早速、春のリーグ振り返りから見ていきましょう。
5-1.立教大学 春季リーグの振り返り
エースは副将でもある右腕の池田陽佑投手(智弁和歌山④)。この春は8試合に先発、48イニングを投げ1勝、防御率4点台と苦しみました。特に早大戦と慶大戦で捕まってしまい、18秋以来続く慶大戦の連敗を止められませんでした。
池田投手以外で唯一4試合に先発したのが沖政宗投手(磐城③)。昨年まではリリーフが主軸で起用されていましたが、本格的に先発転向。東大戦では自身初完投初完封を果たしました。しかし、こちらもそれ以外の試合では奮わず、やはり防御率4点台でフィニッシュ。
先発の柱が防御率4点台と、今年の春の立教打線からするとかなり厳しい試合展開が続いてしまったのも納得です。
リリーフで光ったのは小畠一心投手(智辯学園②)。7試合13イニングを投げて防御率2.03。140km/h後半をマークするなど、リーグ戦初登板とは思えない堂々たるピッチングを見せました。
主力選手が軒並み卒業し、大きくメンバーが入れ替わった野手陣は移行期を感じさせました。
昨年からのレギュラーではキャプテンの西川晋太郎選手(智辯和歌山④)と捕手の戸丸秦吾選手(健大高崎③)。戸丸選手は当初4番キャッチャーで出場しましたが、負担大きく打撃の調子も上がらずに次第に下位へ。西川選手は全試合3番に座り安定してヒットを放ち安定感をみせたものの、打点は4とチャンスの創出シーンが少なかったことを思わせます。
打者で光ったのは菅谷真之介選手(市立船橋③)。リーグ戦出場は昨春以来でしたが、2本塁打を放つなど長打力を発揮。内容も法大の尾﨑投手、慶大の谷村投手と主戦投手から放っています。
1番打者に抜擢された齋藤大智選手(東北③)も打率は2割ながら2本塁打、新たな戦力が長打力を見せた点は今後に向けての希望でしょう。
5-2.立教大学 秋の展望<投手編>
春の投手成績はこちら。
エースはもちろん池田陽佑投手(智弁和歌山④)。1年生から登板を重ね、現在通算39試合165イニング。球速は安定して140km/h台中盤を叩け、カットボールやツーシームの動くボールの精度も高く、通算7勝ですがもっと勝ち星が増えてもいい投手です。
連投や登板間隔が短くなった時のクオリティ面にやや不安を抱えているので、うまく運用できればシーズン通してハイパフォーマンスを発揮できるのではとも思います。
右の先発のもう一本の柱は沖政宗投手(磐城③)。チェンジアップがマネーピッチ。ストレートの球速こそ140km/h台前半ですが、ややアームアングル低い位置から繰り出すチェンジアップとスライダーで、左右を広く使う投球は健在です。リリーフ主体だった昨年は防御率1点台、経験豊富で連投も利くタイプなので、秋は配置も含めて起用が気になるところです。
春初登板を果たした小畠一心投手(智辯学園②)は先発でも見てみたい投手。立教大学が苦手とする慶大を相手に登板した2回戦では5回からマウンドに上がると、4イニングを無安打ピッチング。オープン戦では先発も経験しており、先発投手争いを繰り広げています。
先発争いで期待したい投手の1人が佐山未來投手(聖光学院①)。昨夏甲子園ベスト4に導いた原動力ともなった右腕は春リーグ戦未登板ですが、3月のオープン戦から登板を重ねています。背番号21を背負い、リーグ戦初登板の日も近いでしょう。
リリーフの軸にならなくてはならないのが左の野口裕斗投手(東海大相模④)と右の石元悠太郎投手(佼成学園④)の両4年生。どちらも2年生の時に多く出場しリリーフを支えてきましたが、この2年は不調やコンディション不良で十分な結果を出せずにいます。最後の秋に復活した姿を見せてほしいですね。
1年生ながら秋に背番号18を背負い、今年は16番で春に9試合13イニングを投げた吉野蓮投手(仙台育英②)も強いストレートを武器にリリーフにハマりつつあり、さらに東大戦では代打起用。オープン戦では野手として4番にも入るなど二刀流も順調に進め、リリーフからそのまま打撃でも貢献できれば大きな戦力となります。
春にリーグ戦初登板の塩野目慎士投手(足利③)や、三河吉平投手(春日部共栄③)、竹中勇登投手(大阪桐蔭②)も出場機会を増やしていきたい投手で、投手陣全体で池田・沖の両エースの負担を分散したいですね。
5-3.立教大学 秋の展望<野手編>
続いて野手陣。10打席以上立った選手で3割以上を打った野手はおらず、打点も西川晋選手の7がトップと厳しさを物語っています。
春の各打者(10打席以上)の結果は次の通り。
各ポジションごとにみていきましょう。
<捕手>
春の正捕手は戸丸秦吾選手(健大高崎③)。昨秋は打率3割も、この春は中軸も任されるなど負担も大きかったのか.152と不振に。打撃面での復調が待たれる一方で、秋は下級生からの突き上げも。
落合智哉選手(東邦①)は春に早くもリーグ戦初ヒットを放ち、秋は背番号22。秋は戸丸選手の状態にも依りますが、スタメンのチャンスも出てきそうです。北田大翔選手(広島新庄②)も背番号12を背負い、チャンスを伺う形になります。
<内野手>
内野でレギュラーが確定しているのは主将の西川晋太郎選手(智辯和歌山④)。高校時代は遊撃手でしたが、春は二塁のポジションで出場を重ねています。小柄ですがシャープなスイングで内野の間を抜くバッティング、カウントによっては長打も狙うクレバーさで3番に座り、安定した成績を残しています。
ショートのポジションで春にレギュラーを取ったのは鬼頭勇気選手(横浜③)。細身の身体ながらリーグ戦初本塁打も記録し、遊撃の守備もスローイングが安定。攻守に確実性が伴えば立教大学の大きな戦力となりそうです。
春は4年生の岩本悠佑真選手(報徳学園④)との競争でしたが、コンディション不良で春は出場無しに終わった柴田恭佑選手(東明館③)が戻ってくればさらに厚みは増します。オープン戦では西川選手がショートに入る試合もあり、内野の顔ぶれと位置は変わってくる可能性が高そうです。
一・三塁に関してはサードに齋藤大智選手(東北③)、ファーストに菅谷真之介選手(市立船橋③)という布陣で春4本塁打。ともに全試合スタメン出場を果たしており、チームとして長打に乏しい分、そのパワーは打線に必須のものとなります。
追随するのは、実績ある田中祥都選手(仙台育英③)や春にリーグ戦初安打の黄之芃選手(興南③)、パワーヒッター候補の丸山一喜選手(大阪桐蔭①)になりますが、打力優先の2ポジションだけにレギュラーを奪うのはかなりハードな取組になります。
<外野手>
リーグ戦経験豊富な選手が少ない外野のポジションは多くの選手が起用されました。
ライトのポジションを中心に、打線でも中核を担う選手が鈴木唯斗選手(東邦②)。センターも守ることが出来る守備範囲に加え、やはり魅力はその打撃。春に1本塁打を放ち、打点もチームで2番目の5打点を稼ぎました。秋も中軸での起用が想定される好打者です。
チームの中でもトップクラスの打撃センスを誇るのが安藤碧選手(明石商業④)。昨秋から出場機会に恵まれ、主にセンターで起用されてきましたが、春は打率1割を下回る絶不調に。これは春の立教大学にとって誤算の一つだったのではないでしょうか。
昨秋のフレッシュリーグで4番を担い、明大との決勝戦では3安打を放った西川侑志選手(神戸国際大附②)がレフトで出場を重ね、OPSも.700を超えるなど結果も出しています。秋は本格的にレギュラー奪取へこの夏取組を続けています。
追随するのは、背番号1を背負う渡辺大翔選手(佼成学園④)、中京大中京出身でパワーもあるセンターの桑垣秀野選手(中京大中京②)、春9試合に出場し初ヒットも放っている山形球道選手(興南②)らが有力です。
5-4.立教大学 予想スタメン&予想投手起用
最後に予想スタメンとリーグ戦での投手起用です。
1番(右)鈴木唯斗
2番(一)菅谷真之介
3番(二)西川晋太郎
4番(左)西川侑志
5番(中)安藤碧
6番(三)齋藤大智
7番(捕)戸丸秦吾
8番(投)池田陽佑
9番(遊)柴田恭佑
先発:①池田陽佑 ②沖政宗 ③池田陽佑
中継ぎ:小畠一心、吉野蓮、野口裕斗、石元悠太郎、三河吉平、佐山未來
抑え:?
投手は池田投手を軸に回していく形になりますが、沖投手に加えてもう一人先発候補に入ってくる投手が欲しいところ。小畠投手に期待したいですが、一年生の佐山投手がいきなり入ってくる可能性もありそうです。
崩壊気味だったリリーフには野口投手、石元投手の復活が必須でしょう。
野手は打順の並びも検討の余地ありと考えます。春のスタメンの打順別OPSで
最も高かったのは9番打者。池田投手、沖投手とも非常に打撃の良い選手であることを差し引いても、他の打者の奮起が求められるとともに現実的に打順の変更は必要と考えます。
下級生でもバットを強く振れる選手を上位に固めて長打を狙いたいという考えで、1番2番に鈴木選手と菅谷選手を入れてみるというオーダーで予想してみました。投手を8番に入れるのは現実的な措置の1つで、吉野蓮選手もこの秋からサード登録になるなど二刀流の可能性も広げていきたいところですね。
6.東京大学
昨秋に1勝をあげたものの、今春は0勝の最下位。「奪出」をスローガンに最下位脱出を目指しますが、他大学の強さを前に跳ね返されてしまいました。
ただ、投手中心にロースコア勝負に持ち込む狙い通りの展開に持ち込めた試合もあり、失策の数もリーグ5位につけるなど守備の力も相まって覇者明治大学を開幕カードで苦しめました。
立教大学とは劇的な引き分け試合もあり、秋こそ勝ち点獲得へ邁進を続けます。
6-1.東京大学 春季リーグの振り返り
先発投手に関しては、松岡由機投手(駒場東邦④)と鈴木健投手(仙台一④)の両4年生が安定したピッチングを披露。ともに4敗ずつを喫してしまいましたが、防御率は松岡投手が3点台、鈴木投手も4点台で、さらに三振数が与四球数を共に上回るという内容も伴いました。
リリーフで安定したのは平田康二郎投手(都立西③)。7試合11イニングを投げて防御率2.45と、好成績を残しました。
野手では大ブレイクを果たしたのは1番ライトで全試合出場の酒井捷選手(仙台二②)。前年のフレッシュトーナメントで1番に起用され大暴れ。売っても走っても打線を牽引したバッターでしたが、リーグ戦でも勢いそのままに打率は.270。全試合で出塁した東大のリードオフマンとなりました。
ただ、チームOPS.446と野手全体で打力に欠け、特に長打が春は7本のみとランナーを返すという点で苦しい試合が続きました。指標的には三振率や四球率は他のチームと比べてもそこまで見劣りせず、チームとしての戦う方向性は間違っていないはずです。
投手は松岡・鈴木の両投手で近年でも安定しており、野手が何点取れるかに勝敗は大きく左右され、接戦ロースコアゲームでも勝ちきれなかったのがこの春でした。
秋はどう戦っていくのか、以下に書いていきます。
6-1.東京大学 秋の展望<投手編>
春の投手成績はこちら。
松岡由機投手(駒場東邦④)と鈴木健投手(仙台一④)の左右のエースがどこまでイニング数を投げられるかという点に今年の秋の勝利の行方はかかっていると言っても良いでしょう。
チームの副将でもある松岡投手は、慶大戦・立大戦・法大戦と3カード続けて先発6イニング以上で3失点以下。ゲームをしっかりと作る先発投手になり、立大2回戦では8回2失点で初完投。援護に恵まれずこの試合は落としてしまいましたが、1試合を投げ切るスタミナが試合を追うごとについてきた印象です。
左腕の鈴木健投手(仙台一④)は開幕戦の明大戦で7回1失点、昨年覇者の明大を初戦から追い詰める試合の立役者となりました。他大学からも警戒されたのか、慶大・立大・法大とのカードでは5回前後で失点を重ねてしまいましたが、長身左腕で安定してストライクゾーンにボールを集められる力はチーム1でしょう。
東大の勝ち筋として、一番想定しやすいのは松岡投手・鈴木健投手が1試合を投げ切る完投または完封勝ちなのは間違いないところです。
一方、勝ち点を取るという点においては別の考え方も必要になるのが難しい部分でしょう。2投手で2勝のスイープが出来れば最高ですが、そう簡単には行きません。
そこで重要になるのは、平田康二郎投手(都立西③)を中心とする他の投手陣です。
平田投手は春の明大戦で3イニングを無失点に抑えるなど、来年からはエースとして長いイニングを投げていく投手になります。この秋も平田投手の先発登板という可能性も模索してほしい部分ですし、リリーフに弱みを抱える東大において松岡・鈴木投手のいずれかが後ろに控えた状態でリードを取れて入れれば勝利に近づくでしょう。
この秋だけでなく、来年以降のことも考えると多数の投手の戦力化は必須となります。
リリーフで昨年から起用されているのが「東大の二刀流」鈴木太陽投手(国立③)。140km/h中盤まで計測する力強いストレートが魅力で、がっしりとした身体から強いボールを投じます。
この春に早稲田大学戦で登板し2回無失点、ミスターサブマリン渡辺俊介氏を父に持ち、自身もサイドスローの渡辺向輝投手(海城②)は下級生の中でも注目で、フレッシュトーナメントでは明大を相手に好投を見せています。
ラストイヤーの登板機会を活かしたいのが青木麟太郎投手(筑波大駒場④)と三田村優希投手(奈良学園登美ヶ丘④)。三田村投手は春に1イニング登板を果たしています。
昨年のフレッシュトーナメントで活躍した森岡舜之介投手(渋谷幕張③)や、中村薫平投手(堀川③)、山崎琉投手(渋谷幕張②)らに加え、今年の新入生で早くもフレッシュトーナメントに出場した江口直希投手(海城①)と佐伯豪栄投手(渋谷幕張①)もリーグ戦初登板の日を目指しています。
6-1.東京大学 秋の展望<野手編>
続いて野手陣。
酒井選手の打撃が抜けている一方、他の野手は厳しい打撃成績に。春の各打者(10打席以上)の結果は次の通り。
各ポジションごとにみていきましょう。
<捕手>
正捕手は春に5~6番の中軸を担った和田泰晟選手(海城④)。春は打率.229、出塁率.275と選球眼に長けたバッターでもあります。前年まで松岡泰希選手が長く正捕手の座についていたので、リーグ戦経験はこの春が初めてでしたが、落ち着いたリードと優れたブロッキングで試合を作りました。
秋にスタメン争いに入ってくるのは、昨年のフレッシュトーナメントでホームランを放った杉浦海大選手(湘南②)と、昨秋のフレッシュリーグで中軸を担った府川涼太郎選手(西大和学園③)。代打からの途中出場などこの秋は両選手を見ることも多くなりそうです。
<内野手>
二遊間には、セカンドには昨年フレッシュリーグでキャプテンを担った山口真之介選手(小山台③)が、ショートには強肩で守備に優れた青貝尚柾選手(攻玉社②)が、ともにリーグ戦初出場ながらスタメンをキープしました。
なんといっても山口選手の立大戦で放った同点満塁弾は印象的で、今後のチームの軸になる選手の一人だと感じさせるものでした。
守備に関して今年は例年以上に安定しており、春12失策はリーグ5位。昨年の春が23失策だったことを考えると、守備の面で今年は優れていることが実感できます。
サードには昨年からレギュラーを伺ってきた藤田峻也選手(岡山大安寺中等③)が定着。安定した守備力と、3盗塁に2犠打と足も小技も上手い点で東大の1点を取る野球にフィットした選手となっています。
一塁手にはチームのキャプテンでもある梅林浩大選手(静岡④)が昨年からメインで起用されてきましたが、春は打率1割を下回る大不振。シーズン途中から打撃好調だった大井温登選手(小松④)がスタメン出場機会を増やしました。
この秋から二・三・遊の3ポジションで内野守備に入った秀島龍治選手(東筑④)が学生コーチに転換、秀島選手が背負っていた背番号4は井之口晃治選手(ラ・サール②)に受け継がれ、井之口選手はこの夏の七大戦でホームランを放つなどショートのポジションを脅かす存在になっています。
サードのポジションを狙っているのが元々はキャッチャーだった内田開智選手(開成③)。登録も今年から三塁手になり、春は代打での出場メインで10打数3安打の3割を残しアピールしました。
一塁のポジションにはこの春初ヒットを放った西前颯真選手(彦根東③)、フレッシュトーナメントで4番を担った工藤雄大選手(市川②)がやはり打力を武器に名乗りを挙げています。
<外野手>
競争が盛んになるかと思われた外野3ポジションですが、春は3人の選手が全試合でスタメンを果たしレギュラーに定着しました。
センターを担うのは4年生の別府洸太朗選手(東筑④)。
春は36打数5安打で長打も二塁打1本と打撃不振に苦しみましたが、昨秋は二塁打3本など本来の打力を取り戻したいこの秋。3~4番の中軸に固定され、プレッシャーもかかりますがやはり打点を稼ぐ活躍を期待しています。
ライトには春ブレイクした酒井捷選手(仙台二②)。
打率.270、春のリーグ戦全試合で出塁し、その出塁率はなんと.426。本塁打も放つなど長打も打て、走攻守に東大を牽引する選手が現れました。この秋は他大学からのマークもきつくなりますが、1番バッターとして得点機を増やしたいですね。
レフトには矢追駿介選手(土浦一④)が入り、チーム最多の4犠打。繋ぎの二番としての役割を任されました。三振も少なく、当て勘に優れた選手なため、酒井選手の出塁を活かすような作戦にも秋は期待したいところです。
レギュラー争いに入ってきそうな選手の一人が中山太陽選手(宇都宮②)。187cm80kgと恵まれた体格で、フレッシュトーナメントでは鋭い当たりを連発。打力では現在の中軸打者と比べても十分張り合えるものを持っています。
両翼を守れる近藤悟選手(県立浦和④)も今春は代走がメインでしたが、昨年にはスタメン出場も経験しており、起用を増やしてほしい選手の一人です。
6-4.東京大学 予想スタメン&予想投手起用
最後に予想スタメンとリーグ戦での投手起用です。
1番(右)酒井捷
2番(二)山口真之介
3番(一)大井温登
4番(中)別府洸太朗
5番(捕)和田泰晟
6番(左)矢追駿介
7番(三)藤田峻也
8番(遊)井之口晃治
9番(投)松岡由機
先発:①松岡由機 ②鈴木健 ③平田康二郎
リリーフ:平田康二郎、鈴木太陽、中村薫平、森岡舜之介、渡辺向輝、山崎琉
投手が試合を作ることがまず勝利に向けた必要条件となります。松岡投手、鈴木健投手ともに、春と同様かそれ以上のピッチングを期待したいところ。それに加えて、平田投手の他にも信頼のおける中継ぎ投手が出てくるかという点が重要になります。
打線では酒井捷選手が春と同じくらい出塁できればあとは返すだけ。注目は中軸を担う別府選手。春は打撃不振、特に打点が2つだけとランナーを返すバッティングを最後の秋こそ改めて見せてほしいですね。
内野は守備重視が求められるところ。青貝選手と井ノ口選手のショート争いがハイレベルに行われることでチームとしての力が上がっていきます。久しぶりに失策数リーグ最下位を脱出、内野の堅さはそのままに打力を上げてロースコアをものにしたいところです。
現実的に連打での得点は難易度が高く、再び足を積極的に使ったアグレッシブな野球を見たいですね。大久保助監督の采配も2季目に入り、その手腕も注目です。
7.さいごに
めちゃくちゃ書きました。本日はベースボールマガジン社発行の大学野球号発刊ですので、更に気持ちを上げていきたいなと思います笑
個人的に春の東大最終カードは体調不良で現地出来なかったので秋こそは‥!
どのチームも選手・スタッフ・応援団のみなさまが無事に開幕を迎え、力を発揮できることを祈ってます!
みなさん、がんばってください!!
■出典
https://baseball.sfc.keio.ac.jp
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