尊敬の距離感。

学生のときも、社会人になってからも、〝この人のことすごい尊敬する!〟っていう人に出会ったことがない。

もちろん、両親はそれぞれとても尊敬している。

だけど、身近にいる大人を、それほど魅力的に感じたことはない。

私がひねくれているだけなのかもしれない。
中高生時代特有の、尖っていて誰にも靡かない、あのかんじ。いきがっていたのだろう。


尊敬する大人を、目標となる大人を、見つけ出すことは義務ではない。だけど、そういう大人がほしかったのも事実。

学生の頃、学校に行くのは楽しかったし、私たちの青春を後押ししてくれるような先生たちばかりだった。
〝やりたい!〟と言ったことを見守ってくれる先生ばかりで、自主性をとても尊重してくれていたと思う。

単純に、先生たちのことが「好き」だった。
でもその「好き」は、尊敬とは違う形を纏っていた。

当時は、先生だけが私にとっての大人だった。
言ってしまえば、世界が狭かっただけだろう。

友達の中には〝あの先生の教え方が分かりやすくて好き〟〝あの先生みたいな教師になりたい〟と話している子はいたが、私にはいまいちピンとこなかった。

それが尊敬を指しているかは別として、実際私はそう思うこともなかった。

尊敬してる、なんて言葉を簡単に人に伝えるのも難しく、果たして尊敬の定義とは何か、と問われればすぐに答えを出せるわけでもない。
だけどやっぱり、目標となる大人が身近にいたらいいなといつも思っていた。


社会人になっても、上司はあまり尊敬できない人だった。

自分が選んだ会社で、高揚感を持って入社し、期待値を自分の中で高めに設定していたからだろうか。なんとなく、落胆してしまった。


そして転職し、今の上司と出会った。


初めて、〝こんな人になりたい!〟と思った。
人として、女性として、とても魅力的な上司だった。

20年以上この仕事に携わっており、この仕事が本当に好きなんだな、誇りを持っているんだな、ということがすごく伝わるし、いつもとても楽しそうに仕事をしている。
知識も豊富で、それでいて偉そうにしない。とても親身になって仕事のサポートをしてくれるし、困ったときもすぐ気づいてくれて、アドバイスもとてもダメになる。
すごく完璧な見た目なのに、とてもお茶目でユーモアたっぷりで、すごく面白い。

言葉を並べるだけじゃ、その人の魅力は伝わらないかもしれないが、仕事に対して熱心で妥協しない背中を追いかけたいと思った。
それでいて人間味ある部分もあり、そのバランスが絶妙で、この人のことを嫌いという人はいないんじゃないかと思ってしまう。

語り尽くすことは難しいが、とにかく私の中で惹かれるポイントがたくさんあった。


年齢を重ねるにつれ、尊敬する人を見つけることはより難しいと感じていたし、やっぱり自分にはそういう出会いがないと思っていた。

そして、尊敬する人は、なんとなく手の届かなそうな距離にいると思っていた。


それを見事に覆された。

背中を追いかける距離は確かに遠い。
だけど、とてもフランクに接してくれるその人との距離はとても近い。

追いかける背中を見せつつ、ノウハウを教えてくれるそのバランスは絶妙で、
私自身仕事に熱意を持って意欲的に取り組めている気がする。実際、転職して心から良かったと思うし、今の仕事はとても楽しい。


その人と、いつまでも仕事ができたらいいなと思う。

学びたいことはまだまだたくさんある。20代のうちにいろいろ吸収して、少しでも近づけれたらと思う。
認められることも大事。ただ、一番は仕事を楽しむことを大事にしたい。

その信念だけ、その人と同じモチベーションを持ち続けたいと思った。


こんなにも心動かされる人に出会ったのは初めてだ。

転職というタイミングで出会えたのは、私にとってとても特別なターニングポイントになった。



誰かに尊敬される自分を想像することは、今はまだとても難しい未来だ。
だけど、誰かを目標にして頑張れる自分に出会えたことは、想像を超える感動だった。

そんな自分を、私は好きだし、誇りに思う。



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