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不安症で休職した私が休職期間に取り組んだこと


要点

要点のみ知りたい方向けのサマリになります。

  • 社会人2年目で、不安症起因でうつ状態と診断され、休職に至った。

  • 休職期間中に、取り組んだことをまとめた。特に、並行して不安への対処法を整理した。

  • 認知行動療法を通じて不安要因を掘り下げ、これまで無意識のうちに自分に課していた思い込みに気づいた。

  • その思い込みを建設的に修正し、反復するうちに、不安の対処法のツボがわかってきて不安が軽減した。(不安と向き合うのが以前に比べ、怖くなくなった。)この過程が個人的に一番効果があった。

  • 再発防止に向けて、自分なりの行動プランを作成した。

本記事を書くにあたっての経緯


本記事では、不安症と診断され、会社を休職していた私の経験談を綴りたいと思います。

何が起こったのか
社会人二年目の仕事中に、自分自身の思うようなペースでタスクが進まず難航していました。タスクがなかなか前に進まない要因としては様々考えられるのですが、自分にとってそのタスク自体の難易度が高かったことが一番の要因かと思っています。

上司は、遅れの進捗は上司側でまき取ると言ってくれていたのですが、「忙しい上司の手間を取らせたくない」や「自分に与えられた課題は、自分で完遂したい」と気持ちから、残業することで、その不足分を補っていました。
そうやって残業をしながら、タスクを進めているうちに、目標の進捗と進捗実績がどんどん乖離して行き、それに応じて残業が肥大化するようになりました。残業が増えることで体の疲れも段々と蓄積されていったのですが、それ以上に、精神的な疲れが蓄積していきました。そうして慢性的な精神的な疲労を感じる状態で仕事を続けるうちに、些細なことにも過度な不安を感じるようになり、動悸やめまいといった身体症状を起こすようになりました。

学生時代や社会人になってからも、大きな不安を感じると、動悸やめまいを起こすことがあり、今回が初めてではなかったので、無視して仕事を継続していました。これまでは、その不安要因に真っ向から立ち向かって処理することで、なんとかなってきたため、今回もそのやり方でいけるだろうと思っていました。

しかし、今回はこれまでのやり方では全く通用せず、その結果、デスクの前に座ることもできなくなり、挙げ句の果てには、立ち上がることすら不可能になってしまいました。まあ一日二日くらい、寝て休めば、回復するだろうと甘くみていたのですが、全く回復する兆しは見えず、会社をー週間ほど休むようになりました。会社にも状況を伝え、休養に専念した方がいいと言ってもらい、就いていたプロジェクトからもリリースされることになりました。もっと早くに相談していたらと思いますし、プロジェクトメンバーには多大なる迷惑をかけてしまったと深く反省しています。

その間に、心療内科を受診しました。そこで医師から、「うつ状態で自宅療養(私の場合、3ヶ月間)が必要である」と告げられました。そこで、診断書を受け取り、会社に提出後、休職に入ったという運びになります。


前おきが長くなりましたが、本記事では、そんな私が休職期間中に取り組んだことについて紹介できればと思います。

私自身も、同じような境遇の方が書き残してくださっている体験談にとても救われて、療養や自己理解に間違いなく寄与していると断言できるので、私の体験談も誰かの一助になればと思い、執筆してみました。参考になれば幸いです。

休職中に取り組んだこと


はじめに、休職期間中に取り組んだ内容の一覧になります。

  1. 通院

  2. 認知行動療法ワークブック(CBT)

  3. 不安の要因分析

  4. 知識のインプット

  5. スキーマの見直し

  6. アクションプランの作成

  7. 継続

上記以外にも、人生プランの見直し、自分の強み弱みの把握、専門分野の勉強など、休職期間で実施しましたが、本記事では触れません。

1. 通院


初診移行、定期的にメンタルクリニックへの通院しました。

そこでは、薬の処方や発症の要因の掘り下げ、改善策の提案が中心でした。医師に、発生時の状態や過去にも似たような症状が発生した時のことを伝える中で、不安症の症状があり、不安症起因でうつ状態に陥ったのではないかと伝えられました。

不安症を改善する一つの方策として、認知行動療法があると教えてもらいました。その後、不安症に詳しく調べたり、次に説明する認知行動療法のワークブックを購入して実践したりしてみました。

2. 認知行動療法(CBT)ワークブック


医師から薦められた認知行動療法を知り、実践するために認知行動療法のワークブックを購入しました。概要をざっくりと知ることと具体的な実践方法を知ることが目的であったため、直接本に書き込みながら進められるワークブック形式を選びました。

私が購入した認知行動療法のワークブックのリンクを一応貼っておきます。本の選定にはそれほど時間をかけてませんが、レビューをざっとみて、良さげなものを選びました。他の本を読んでいないので、比較はできませんが、概要と実践方法がわかりやすくまとまっており、私は大満足しています。
自身の症状と関連があまりなさそうなパートは読み飛ばしました。

認知行動療法のうち、認知療法では認知の歪みに焦点を当て、歪みを修正することで、歪み起因で発生する症状を軽減していく治療法です。

2-1. 問題を特定

まず、問題(認知の歪み)を特定するために、ある出来事に対して、以下の四つの要素を書き出します。

  • 認知

  • 感情

  • 身体症状

  • 行動

具体例を示すと以下のような感じです。

  • 出来事: 仕事でプレゼンテーションを行うことになった。

  • 認知: 失敗したらどうしよう。みんなに笑われるかもしれない。

  • 感情: 不安、恐れ、緊張

  • 身体症状: 心拍数の増加、発汗

  • 行動: プレゼンテーションの準備を過剰に行う。避けるために病気を装って欠席する。

詳細については、まとまったものがネットや書籍等でたくさんありますので、そちらをご参照ください。

2-2. 自動思考とスキーマの特定

次に、その認知を引き起こす要因となる自動思考とスキーマを特定していきます。この取り組みこそが、客観的に自分を見つめるメタ認知そのものであると言えます。個人的には、この考え方を知ってこれまでの人生の中で、自分の内に溜め込んできたものに気付けたので、大きな収穫でした。

ここで、自動思考とは、認知を形成する、瞬間的に頭に浮かぶ考え方のことを指します。スキーマとは、自動思考を作り出す、恒常的な考え方を指します。つまり、信念のことであり、過去の経験から形成される自分なりの美学や譲れない考え方のようなものだと私は認識しています。

具体例は以下の通りです。

  • 認知: 失敗したらどうしよう。みんなに笑われるかもしれない。

  • 自動思考: 私はいつも失敗する。みんなにバカにされる。

  • スキーマ: 「私は無能だ」「他人は批判的だ」という根深い信念や価値観。

2-3. スキーマの見直し & 適応的思考の作成

次に、特定したスキーマを認識し、今の自分がそのようなスキーマを持っていることを受け入れます。その上で、さらに建設的な考え方(適応的思考)がないかどうかを思考します。思考する際のポイントとしては、もし友人や家族に、そのようなスキーマを持っている人がいたら、どのように助言をするかという視点で、考えると良いかもしれません。

スキーマ自体は、自分の信念であるため、どうしても譲れない場合などは、無理に変更する必要はないと個人的に思っています。ただ、非現実的で自分自身を追い込んでしまうようなスキーマの場合は、適切なスキーマへと導く必要があると思います。

具体例を挙げると、以下のようになります。

  • スキーマ: 「私は無能だ」「他人は批判的だ」

  • 適応的思考: 「誰も完璧ではないし、失敗は学びの機会だ。」「他人の意見は必ずしも私の価値を決定するものではない。」

2-4. 繰り返し

紹介した2-1から2-3のステップを繰り返し実践することで、定着させます。私の場合は、過去に不安や不快に感じたことを思い出して取り組みました。最初は、精神を擦り減らすし、根気のいる作業ですが、繰り返すうちに慣れてきます。

個人的には、白紙にペンを使って書き出すことがおすすめです。慣れてくると自分の頭の中でもできるようになってきます。

3. 不安の要因分析


認知行動療法の実践方法をざっと把握したところで、次に不安の要因分析をしました。主に以下について掘り上げました。

  • 不安を感じるシーン

  • 感情

  • 感情スコア (感情の強度)

  • 不安の要因

  • スキーマ

これも、先ほどの認知療法の延長線上ですね。洗い出す項目は自分流に少しアレンジしています。

私は、メモアプリにNotionを使用しているので、Notionを使ってまとめてみた一例を以下に紹介します。感情スコア順にソートしてあります。

不安の要因分析の例

これによって以下のようなことがわかりました。

  • 至るところで恐怖や恥ずかしいという感情を感じていること

  •  不安の要因として、高すぎる承認欲求や自尊心

  • スキーマとして、「優秀でなければならない」「人に優しく接するべきだ」「完璧でなければならない」

こうやって整理すると、あまりにも高すぎる自意識にハッとしますが、これまで自分に課してきた考え方を冷静に分析することができました。

4. 知識のインプット


前工程で、不安の要因や自分のスキーマがわかったところで、それらとうまく向き合うための考え方をインプットしました。私の例だと、承認欲求、自尊心、完璧主義あたりがキーワードだと思ったので、これらをもとにネット記事を検索したり、書籍を検索したりました。

承認欲求といえば、「嫌われる勇気」という発想で、学生の頃に購入していたものを読み返しました。また、その実践術が書かれている「幸せになる勇気」は読んだことがなかったため、この機会に購入して読んでみました。

結果、このタイミングでこれらの本を読めてよかったと感じています。ここから得られた気づきや考え方は、この後の認知の見直しや、行動プランの整理に間違いなく影響したと感じています。

5. スキーマの見直し


次に、そのスキーマを修正するための方策を考えます。

スキーマとは、これまで自分が生きる上で大事にしてきた考え方や美徳だと思ってきたものなので、これを適切に修正していくのはかなり抵抗があり、ストレスのかかる作業でした。

以下は、私の例です。これまでの自分と、これからの自分をまとめています。追加で、これからの自分を実現するためのマインドセットも書き出しました。

これまでの自分

  • 「承認欲求」「自尊心」を満たすために、「優秀でなければならない」「できて当然」といった完璧主義の思想を自分に課すことで生きてきた。

これからの自分

  • 「承認欲求」を手放す。

  • 「自尊心」は「自己愛」という形に置き換えて考えてみる。

  • ありのままの自分(弱い自分)で生きる。(自分に正直になる)

そのためのマインドセット

  • 「今、できていること」に集中する

  • 本音で生きる

  • 細部ではなく、目的を意識する

  • 優先順位をつける

  • 時間制限と合格点を設ける

6. アクションプランの作成


修正したスキーマや作成したマインドセットをさらに、体に染み込ませていくためにアクションプランの作成をしました。

以下には、マインドセット定着以外のアクションプランも含まれていますが、メンタルケアのために習慣化したいことを洗い出しました。

  • 5コラム法

  • 日記

  • 不安時のアクションプラン作成

  • 自律訓練法

  • 睡眠管理

5コラム法

5コラム法とは、認知行動療法で用いられる手法の一つで、否定的な思考パターンを特定し、適応的思考を導きます。
具体的には、「出来事」「感情」「自動思考」「適応的思考」「評価」を書き出していきます。上で紹介したものとやっている本質は同じで、自動思考を俯瞰して適応的思考を導き、それによる感情の変化を見つめます。

3カラム法や7カラム法もあるようですが、なるべく実践する負担が少ないことと、やってみて自分に適しているという2点から、私は5カラム法に取り組んでいます。

毎日の習慣として取り入れたことで、不安に向き合う恐怖が小さくなった、落ち着いて不安と向き合えるようになったと感じています。(不安を感じることがなくなるのが一番幸せですが、、、)

日記

これは、ありのままの自分と向き合う(自己受容)ため、自分の言語化して整理するためにやっているものです。

心がけている点は、本音で語ることです。

上で紹介してきたことを実践する中で、これまで、自分の本音に意識を向けて生活を送ってくることがなかったと気づきました。自己受容するためには、自分の本音を言語化し、整理する必要があると気づき、日記を書くように心がけています。

不安時のアクションプラン作成

万が一、不安になった時に備えて、行動手順を作成しました。不安になった時というのは、思考の堂々巡りが始まりなかなか抜け出せないものです。

そのため、不安になった時は、必ずこの手順に沿って行動するというお約束を作成しました。

こちらについては別記事でまとめているので、そちらを参照いただければ幸いです。

自律訓練法

これは、私が就寝前に取り入れているものになります。

自律訓練法は、自己暗示を用いてリラクゼーションを促し、自律神経系のバランスを整えることでストレスや不安を軽減する方法です。

自律訓練法は、6つの課題から構成されており、それらに取り組むのですが、私がやっているのは、こちらのYouTube動画の指示に則り、寝落ちするだけです。

私の場合、効果覿面でない場合に比べ、入眠まで速度が速くなりました。また、筋肉を弛緩することで、リラックスできとても気持ちが良いです。

なかなか眠れないという方は、一度試してみてください。

睡眠管理

幸せホルモンと言われているセロトニンの分泌に大きく影響すると言われている睡眠。昨今、睡眠ブームでその重要性が叫ばれ、様々な睡眠術が挙げられています。

私自身は毎日7時間半を目安に、毎日同じ時刻に就寝、起床することを意識しています。アップルウォッチを使って、睡眠時間をトラッキングしています。

良質な睡眠を摂るにあたり、よくまとまっている動画を見つけたので以下に貼っておきます。


7. 継続


一般に、習慣は約20日で、思考は約半年で定着されていると言われているので、地味な作業ですが、最近は毎日繰り返して生活を送っています。
半年後に、どのくらい効果が現れたのか検証結果の記事を書いてみたいですね。

まとめ


本記事では、私が不安障害で休職以降、休職期間中に取り組んだことについて書いてきました。再掲になりますが、主に以下の項目に取り組みました

  1. 通院

  2. 認知行動療法ワークブック(CBT)

  3. 不安の要因分析

  4. 知識のインプット

  5. スキーマの見直し

  6. アクションプランの作成

  7. 継続

個人的に、効果が大きかったものとしては、3の認知療法を通した要因分析と5のスキーマ修正です。

これまでにはなかったセルフコントロール術、新たな視点を一つ知ることができました。そのおかげで、不安を感じること自体を完全に除外することはできませんが、不安に対する恐怖心がかなり小さくなりました。以前よりも、不安と上手く向き合える方法を体得したという感じでしょうか。

最後になりますが、本記事がどこかで同じような悩みを抱えてらっしゃる方の一助になれれば、それはこれ以上ない喜びです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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