復元に賛否両論、欧州一古い遺跡、クレタ島のクノッソス宮殿
クレタ島のイラクリオンの郊外には、クノッソス(Knossos)宮殿と呼ばれる有名な遺跡があります。
今回の旅行でいくつかの遺跡に行っていますが、保存状態良くない限り遺跡にはあまり興味がありません。パートナーがとにかく歴史上価値のある遺跡だから1人でも行くということ。そんなにすごいなら、じゃあ行く!ということで行ってきました。今回は、この遺跡の世界遺産登録に関連して綴りたいと思います。
クノッソス宮殿とは
紀元前2,000年くらいに始まった青銅器時代のミノア文明。クノッソス宮殿はそのミノア文明下の紀元前1,900年くらいに建てられた宮殿で、欧州一歴史のある遺跡。現在はアテネのアクロポリスに続いてギリシャで2番目に人気の観光スポットだそう。
この宮殿は儀式や政治の中心であったと考えられ、宮殿は160m四方以上、1,200室を超える部屋があり、部分的には4階建ての建物もあったそうです。遺跡を調査すると、ミノア文明は高度な官僚制度と強い王権の存在があったと考えられているそうで、当然世界遺産だと思ったのですが、現在のところ登録はされていません。これは何かあるなと思いました。
賛否両論のクノッソス宮殿の修復・復元
この遺跡はイギリス人の考古学者、アーサー・エバンスが指揮を取り、1900年から1932年の間に発掘が行われました。
エヴァンズはコンクリートなどを利用して宮殿の修復・復元を試みました。どのような宮殿だったか人々により理解してもらうため、時には想像を駆使して復元をしたそうです。
実際に歩いてみるとかなりコンクリートが使われています。
こちらもほぼコンクリートのようです。
コンクリートの部分以外はどれが遺跡の一部でどれが後から付け足したものなのか良く分かりません。
どこからどこまでが忠実な再現でどこからが想像なのかも疑問です。
世界遺産はその遺産の70%がオリジナルでなくてはならないらしく、何十年か前に世界遺産の登録申請がギリシャ政府によってされたらしいですが、このエバンスのよる復元方法が登録へのネックの一つとなったよう。ただ来年には再度正式に申請がされるようなので、問題点を克服できる方法があるようです。
そういう背景からエバンスの復元には賛否両論あるようですが、ギリシャでは「ミノア文明を世界に広めた功労者」として称えられることのほうが多いようです。
ビジターの視点で言えば、石がゴロゴロ転がっているだけではやはりイメージが湧かないので面白くないので、ある程度のビジュアル・エイドが必要なのは確か。そして、今のようにできるだけ原型を留めるようにという観念は20世紀初頭にはなかったのかもしれません。
コンクリートは見てすぐに分かるので、がっかり感は歪めませんが、ある程度忠実に再現されたのであれば仕方がないのかなとも思います。
何故かよくスペインで起こる歴史的フレスコ画の修復よりも随分と忠実なのでは?
ギリシャ神話に登場するクノッソス宮殿?
クノッソス宮殿で興味深いのは、ギリシャ神話のモデルとなった可能性です。ギリシャ神話に登場するミノタウロスという牛の頭と人間の体を持った人間をも食べる怪物。ミノタウロスは迷宮に住んでいたとされ、クノッソスは迷宮のような造りになっていることから、その神話の迷宮がクノッソス宮殿ではないかという説があるそうです。
クノッソス宮殿でもミノタウロスの壁画が見つかっています(↓)。この壁画はイラクリオンの博物館に現物があるそう。
のんびりと宮殿敷地内を散策
クルーズ船客が団体で来るそうなのでもう少し遅い時間は混むのかもしれませんが、世界遺産に登録されていないせいか、朝一には人はそこまで多くありませんでした。
郊外にあるので周りの緑に癒やされます。
海まで続いていたとされる「王の道」と呼ばれる道。海までは5キロ以上あります。
遺跡でお決まりのネコ。
入口にはお土産屋やレストランがあります。どうしても惹かれないレストランのメニュー…
クノッソス宮殿からはバスでイラクリオンに戻り、次回はイラクリオンの中心を歩きます。
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