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メルカリで見た風景1

『とりあえず、いいね!しまくる』


「やっと、収まったか・・・」

通知のことだ。
心底ほっとした。
私には、いいね!しているものがたくさんある。
その中に、とある服があるのだが、出品者様が毎日コメントを入れており、その度に通知が届いた。
日に2回のこともあった。
内容は、セールのお知らせだ。
と言っても、『コメントくれれば値下げします』と言うものだ。
いくら値下げになるかは書かれていない。
できるだけ下げると言う。
要するに、『相談して決めましょう』と言うことである。
しかし、何となくだが、出品者様は最低価格でも2500円程度で考えているように見受けられた。
今までの価格は3000円付近を200円前後幅で上下していた。
セールは毎日、何かしらの理由により、『特別に今日限り』で開催された。
午前0時になると、セールは終了する。
そして翌朝になると、前日までとは異なる新たな理由により、再び『特別に今日限りセール』が始まるのだ。
また、セール理由は最初の頃は、誰かが新たにいいね!した記念などであった。
その際は、いいね!した人の名がセールのタイトルになった。
それが私なら、『メルカリ安婆娑陀(※当時の私の名)さん、いいね!記念セール』と言った具合だ。
これは、まあ、その・・・逃げる人も多かった・・・・・・。
そのためかいいね!が減ってゆき、だんだん、妙なこじつけのような理由になっていった。
ある時は、梱包資材の残りが少ないため、『資材を使い切ったら閉店予定セール』と言うものだった。
そしてその後、『新たな資材を仕入れたため新装(?)開店セール』が行われたのは言うまでもない。
その辺ならまだ良いのだが、そのうち、アイドルの誰某のデビュー何周年記念だか誕生日だかを祝うセールなどが繰り返し行われた。
おそらく出品者様の推しと思うが、そのアイドルを推す層と、その商品に興味を持つ層は、年代からしてまったくかぶらないと思われ、少々無理があると言うか、

「そこは、かぶらないと厳しいのでは?!」

と、内心突っ込みを入れた私である。
そして、私は一貫して購入を検討することはなく、いいね!を外すことは検討したが、できれば残したかったため、静かに様子を窺っていたのだ。
外したくなかった理由は、秋まで残っていたら、検討する『かもしれない』と思ったからだ。
そう、冬物なのである。

「いや、でもさ、欲しいからいいね!したんでしょ? 今のうちに買っておいてもいいんじゃない?」

と思われるかもしれない。
が、そう単純ではないのだ。
いいね!には、いろんな思惑がある。
この商品の場合、考えた末、現在価格で購入するのは難しいと言う結論に至ったのだ。
なぜか?
まず、商品は『カーディガン』と言うことになっていた。
だが実際はジャケットと言うか、明らかにアウターなのだ。
自宅内で羽織るような服ではない。
そして、ヨレヨレだった。
ご自宅用の服がヨレヨレなのはいいが、外へ着て行くアウターがヨレヨレなのは困る。
クリーニングに出せばキレイになるかもしれないが、生地が完全に伸びていたら無理だろう。
その辺の判断が、画像からはできなかった。
そして私はその点を、出品者様に訊ねようとは思わない。
商品知識なしに販売していると見て取れるからだ。
出品者様に悪意はまったくなく、カーディガンと信じていて、この服のブランドについておそらく何もご存知なく、そして出品者様はご自身で着たことがないのだろう。
ご様子から、仕入れて販売されてる様だが、プロの古着屋さんでもなく、

「もしかしたらこれが、噂の100円仕入れ古着と言うものかもしれないな・・・」

と思った。
売り方についても塾の指導なのかもしれない。
その売り方が楽しくてやっていると言うより、成果を出すためにどこか必死なのだ。
そんなわけで、私はこの服を、場合によってはリメイクして使う前提でいいね!していた。
素材に価値があるからだ。
おそらく他のいいね!している人たちも、似た様な考えではないかと思う。
ブランドは、あまり知られていないメゾンだが、品質は信用できる。
だがこのメゾンのファンはヨレヨレの中古を着ることはまずない層だから、いいね!している中にブランドのファンはいないのではと思われた。
ファンなら、まずワンオーナー商品を選ぶだろう。
そして、リメイク材料として購入するならば、1500円が上限だと私は考えていた。
実はこれは相場価格とも一致する。
似たようなものが3000円程度でいくつも売れているため、出品者様はこの価格帯にしたのだと思うが、それは美品の場合だった。
難有りだと1500円前後が多い。
私はこの検索条件を3年以上保存していて、美品を3000円程度で買ったこともあれば、難有りを1500円で購入したこともある。
特に条件が良いものを6000円程度で買ったこともあった。
他のいいね!している人たちも、私と同じようなことをしているのかもしれない。
いずれにせよ、私がこのような考えであることは、出品者様に伝えるつもりはない。

「え? なんで? 1500円なら買いますって言ってみれば? 断られる可能性高いけど、言わないよりはいいじゃん?」

と思う人もいるかもしれない。
だが、うーん、説明がちょい難いが、挑戦してみよう・・・・・・。
確かに、興味あるから、買うかもしれないから、いいね!してるのは事実。
けど、実際に買うのは、『商品が届いた後のことが具体的に想像できる状態が到来した場合だけ』、と言う感じなんだ。
中には、

「いいね!するってことは、興味ある、欲しいってこと、なら後は買うだけ、気になることあるならすぐに質問すればいい、結局買わないのはお金がないってこと?」

と、単純に考える人もいる。
でも、そうじゃなくてさ。
人間が、少しでも気になるもの、興味持ったものを、次々全部買ってしまっていたら、まず部屋が物で溢れ、寝る場がなくなる。
それが食品なら、期限までに食べきることができない。
お金があるからって全部買う人は、必ず大量に捨てることになるだろう。
そして捨てるのが嫌だからこそメルカリってアプリに流れ着いたわけで。
だから慎重に、本当に必要な物だけ買いたい。
それを見極めるための、とりあえずのいいね!
いいね!は、あくまで、とりあえずなんだ!!!



※この日記は基本的に事実を基にしていますが、他者のプライバシーに配慮し、多少の改編、脚色を行っています。

 




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