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【小説】ヴァルキーザ(本文)

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長編ファンタジー小説『ヴァルキーザ』(2016年12月制作)の、小説本文をまとめました。 あらすじ、年表、事典、登場人物等は、別マガジン「ヴァルキーザ(設定資料)」を御覧下さい
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小説『ヴァルキーザ』あらすじ

小説『ヴァルキーザ』あらすじ

起源宇宙と呼ばれる遥かな古の宇宙に、権神セレンにより創造された『ヴァルキーザ』(「ヴァル・ク・フス」という古フォロス語(ヴァスナ語)に由来する共通語で「時の最果ての地」の意)と呼ばれる世界があった。そこでは、互いに異種族のフォノン(音子。ここでは宇宙精霊の呼称)たちが、平和に共存していた。これは吟遊詩人のイプハーンが語る伝説である。

宇宙母神アプスと、その子神で「権神」と呼ばれるセレンと、その妻

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『ヴァルキーザ』章タイトル一覧

『ヴァルキーザ』章タイトル一覧

創作ファンタジー小説『ヴァルキーザ』全33章の各章の順番とタイトル(章名)、各章の話数(記事数)を載せます。

第1章  序章(オープニング)       1話
第2章  マイオープ(黄金の森)      6話
第3章  トルダード            5話
第4章  カルマンタ           4話
第5章  無法者の洞窟    

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小説『ヴァルキーザ』第33章

33. 終章(エンディング)こうして、ウルス・バーン全土は悪魔から開放された。
この世の人々の心を支配しようとする悪魔の邪な試みは、賢明な諸国民たちの勇気ある行動によって打ち砕かれた。

その結果、すべてのフォノンの生命が蘇り、
人々に笑顔が戻った。

宝冠を取り戻した王国(イリスタリア)は、建国の時の精神の息吹を甦らせ、再び、燃え上がるように輝いた。

そしてイリスタリアはついに、マーガスと会議

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小説『ヴァルキーザ』第32章(3)

時間協約はただちに施行され、それに基づく補償が民衆に対して行われた。

各地で権力をふるっていた、悪魔なりし時のエルサンドラの手下…無法者、悪党、ごろつき、欲張り者、吝嗇の者、汚職した者、小利巧者、ドラゴン、黒僧侶、黒魔術師、黒フォロス、妖精、魔物どもによって不当かつ理不尽に人々からさらわれ、占有され、差し押さえられ、隠匿され、蓄えられていた富……金、貴金属、宝石、貨幣、宝物、手形、債券、土地、船

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小説『ヴァルキーザ』第32章(2)

《時間協約》使用者代表と労働者代表は、下記の条件で労働に関する協約を締結する。
この協約の締結者である両者は、この協約を誠実に遵守しなければならない。

第一条

 使用者は、労働者が労働する権利の確保および労働条件の改善のために団結し、組合を結成し、組合に加入する権利を有し、また使用者と団体交渉する権利を有すること、ならびに使用者に対し同盟罷業等の団体行動をする権利を有することに同意し、この諸権

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小説『ヴァルキーザ』第32章(1)

32. 祝福の歌最後の使命を達成し、時の城を出たユニオン・シップは、
時間監察官(クロノポール)の立ち会いのもと、イリスタリア王国に国宝の「自由の宝冠」を返還した。

そしてユニオン・シップは、時の城ゼーレスの長であるエルサンドラと和解し、「時の法典」の中で明らかに宣言されている法原則とユニオン・シップ組合規約に基づいて、彼との間に「時間協約」を締結した。

この時間協約の目的は、支配階級の下で働

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小説『ヴァルキーザ』第31章(7)

メガロサイモスが行った干渉によって、ターミナル・ジェネレーターは暴走し始めた。
このままでは炉が大爆発する。危険な状況だ。
魔法の動力炉は爆燃し、激しい勢いで莫大な量の「魔の雲」を放っている。

「早く止めないと!」
「どうやって止めればいいんだ?!」
「このままでは、世界が滅んでしまう!」

そのとき「時の城」ゼーレスの上空に、古王国アルナディアがその古世紀の時代にゼーレスと対をなして建築した浮

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小説『ヴァルキーザ』第31章(6)

そのとき、エルサンドラが上げた最後の絶叫に呼応するかのように、目の前の空間を引き裂いて、巨大な「何か」が現れた。

「それ」は、様々な形と彩りに乱れ舞い明滅する光と音が集まり、響きあう、数多(かずあまた)の光と音の結合体のようなものだった。

その何かが放つテレパシーから、グラファーンたちには、それが「メガロサイモス」という超存在であることが分かった。

それはメディアスの究極。
エルサンドラは、

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小説『ヴァルキーザ』第31章(5)

階上は広大な空間で、中心を稼働中の動力炉らしき巨大な器械の筐体(きょうたい)が占有していた。
おそらくこれが、ターミナル・ジェネレーターだろう。

そして、その前に、容姿端麗な一人の小男が現れた。
男は、冒険者たちを見て嘲りの高笑いの声を上げると…
魔物の姿に変化した。

エルサンドラだ。

悪魔エルサンドラは、3つの面を持つ巨大な金色の頭と、その首の下から生える6本の細く長い金色の触手のような腕

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小説『ヴァルキーザ』第31章(4)

グラファーンは、時の法典を受け取った。
そして、アンに告白した。

「アン、あなたを愛しています」

「グラファーン、私も貴方を愛しています」
アンは答えた。

二人は見つめ合い、そして口づけを交わした。

グラファーンはアンに勧めた。
「城から脱出して下さい」

アンはうなずいた。

そして彼女は、自分の懐から、持っていた短刀を取り出してグラファーンに渡す。
「貴方にお願いがあります。エルサンド

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小説『ヴァルキーザ』第31章(3)

燃えさかる幾つもの炎の柱が垂直に立ち、辺りに火の粉を振りまいている。城内の迷路のような通路のあちこちから昇るその轟々たる火柱を避けて通りながら、グラファーンたちは「時の城」ゼーレスの内部をさらに進んでゆく。

行く手の先に、妖しく流れる様々な色をした光の帯が、虚ろな闇の中でぼやけている。ここはさらに隷従の感覚を呼び起こさせる場所だ。
城の主は、どのような心で冒険者たちを待ち構えているだろうか。

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小説『ヴァルキーザ』第31章(2)

時の城(ゼーレス)の2階へ上がると、通路全体から何か熱を感じる。
ここは、とても熱い。 

廊下の所々から、魔法の火柱が立っている。 

火傷を負わないように気をつけながら、グラファーンたちは通路を先に進んだ。

ロード・ガイエンがくれた情報を活かして、皆は、最短に近いルートでゼーレスの城内を行くことができた。

しばらく歩き、側壁に小部屋への入口を見つけ、入っていく。
するとなんと、部屋の中に十

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小説『ヴァルキーザ』第31章(1)

31. 時の城ユニオン・シップはついに悪魔の居る本拠で、冒険の最終目的地「時の城」(ゼーレス)にたどり着いた。
そびえ立つ巨大な城の暗黒のシルエットが、見る者を威圧する。
血のように赤い空に、魔の雲がおどろおどろしく浮かび、流れ飛んでいたが、勇者たちはしっかりした顔で、ただ前をにらみながら進む。

誰もいない城門は、星の印に囲まれた竜のレリーフで飾られている。
城門の手前まで歩いてゆくと、グラファ

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小説『ヴァルキーザ』第30章(1)

30. 剣の断崖試練の谷で竜のゲルグースを退治した後、グラファーンたちは一旦、エスタルカームの街に戻った。
次の挑戦(チャレンジ)に備えるために。

今度は「剣(つるぎ)の断崖」だ!

グラファーンたちは、ついに、最後の冒険に旅立った。
剣の断崖は文字通り、剣のように垂直に岩が立つ絶壁の断崖だ。

いまグラファーンたちは、その崖のへりにいた。
見下ろせば、崖は底知れないほど深く、まさに奈落と呼ぶに

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