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詩集です。
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#自作詩

詩 バベル

詩 バベル

そう認めるには、さほどの勇気もいらない

こういう人生が妙な失敗作だって思われるコト

そう認めるには、さほどの反省もいらない

こういう性格が妙な化合物だって思われるコト

真実の人生から的を外した微妙なフェイク

仮面を目深に被った虚栄のフェイス

言葉の海を人形のように泳いで、

言葉の鎖で人間を振り回して、

それでいて大切なホンネは何ひとつ語らない

わがままと自己防衛と言い訳だらけの小

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テンプス  デアンブラチオ

テンプス デアンブラチオ

人々が天からの審判に怯える中…

青ざめた月の環を流離う影は4つ

ピラミッドの騎士団に見送られ

ご主人様が知らせの綴り紙を運ぶ

イノセントという名の、その光を

双葉の時、最初の時代を締め括る庭で

ようするに終わりの裁きのお白洲の上で

人類の無罪を証し立てるために…

さんぽ さんぽ さんぽのじかん

二十分の、二百日の、二千年の

少しばかり女声コーラスを交えて

さんぽ さんぽ さん

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詩 『安全監督官』

詩 『安全監督官』

自分が何故この座にいるのか分からない時がある。

天が明瞭に私にその地位を配役したのだとしても、

私はその運命に近頃、耐えきれずにいた。

窓を見ると、外は雲の濃くかかる薄い灰青色の空。

妙に天気が気にかかる。明日は雨だろうか。

まあ、それでもよいが…。

私のまとう空気は常に死の影を従える。

反対者どもは当面、私に近寄ることはないだろう。

この権力は、死の恐怖を基礎とするが、

厄介に

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詩 『音』

詩 『音』

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タタタッ タタタッ タタタッ タタタッ
タタタッ タタタッ タタタッ タタタッ

タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ

瞬く火花のスタッカート

カタカタカタカタカタカタ

キャタキャタキャタキャタ

震える無限軌道のトレモロ

カデットの旋律をうち消しながら

大衆歌曲の歌声をかき散らしながら

鋼鉄塊たちの

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詩 シャトル

小指に力を入れて黒いグリップを握る

カーボン製のラケットのガットに透ける相手

ラブオールの宣言から始まる第三試合

サーブを打ち返して、クリア、スマッシュ

そして時にはネット際で、ロブ

鷹の目でシャトル(球)を追う二人

白いウェアを伝う汗、締まるシューズの紐

終盤、仕掛けられたトリッキーなレシーブ

ストリングがシャトルを弾き、ラインの外へ流す

鬼のような足捌きでそれを拾い、相手に返

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詩 Terra

温められた蒼い大気の薄膜のなかで

幾億年の夢に揺蕩っておりました

天の稲妻の黙示もてその眠りを醒ました

涙滴のようにささやかなこの岩の卵は

貴方を知ってから水衣の渦巻くきらめきと

数多の動植物に彩られた産みの母となり

天空の彼方へ命の協和のコーラスを奏でる

泡立つ海流を跳ねるいるかと空飛ぶ水鳥

風にざわめく大きな森と野の獣らの鳴き声

遍く拡がる生命の律動にマグマの響きを添え

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詩 Ancestor

常闇の深淵から密かに伝えよう

万古の彼方より宙の海原に在りて

すべてを見通す眼もて天を検べた

われらは不死の霊統にて汝の祖

遠く近く隠世に潜む銀河の影法師

永い時の旅にその虚空の縁を渡り

われらの剣の如き視線のビームの

汝を貫きが験しに幾多の魂を与えた

権なる法の諸々によりて形を与えた

自在なる汝よ星々の砕けるその刻まで

疾く歌え、御魂鎮めのその詩を

御魂鎮めのその詩を…

詩『かなしいほどに人間的』

夏の終わる残照に揺らめく人影のふたつ

蝉々鳴る夕べに一輪の花を差し出す君を

僕は見つめささやく

悲しいほどに人間的だね…

秋の終わる月光に伸び立つ人影のふたつ

蟋蟀鳴る夜さりに一輪の花を差し出す君を

僕は見つめささやく

哀しいほどに人間的だね…

冬の終わる雪路に浮き出る人影のふたつ

皆音鎮まるあかつきに一輪の花を差し出す君を

僕は見つめささやく

愛しいほどに人間的だね…

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詩『点景』

夏の終わる夕暮れに
 淡い風が蝉の声を運んで

白い糸のように浮き
 そして去ってゆく送り火の煙

陶器に込められた火に
 枯れた茎がぱちぱちと爆ぜて

男の子が母親に聞いた
 おじいちゃんもう帰っちゃうの

                 (1991)

詩『明日は晴れるさ』

はい、こちらはオリガです。どなた。

もしもし、今晩は。こちら、ミーシャです。

あら、ミーシャ。久しぶりね。

オリガ、元気にしてるかい。

私は元気よ。心配ありがとう。あなたは。

ありがとう。僕も元気さ。

今夜は、なんのご用なの。

投票には、もう行ったかい。

ええ。私はもう、昨日すませたわ。あなたは。

ああ、僕もね。投票所が混んでて、20人位の…

もしもし?

ん? なんだい。

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詩『マーメイド・アイル』

碧い海が拡がる夏
水面に一筋の白い航跡を描いて
ヨットは流れる
大洋の中に三人を載せて

一人は女で二人は男
航路を外れ禁じられた域に入った為
太陽の熱線が積荷を焼き
船は倒れた

海に投げ出された三人は
溺れまいと船体にしがみつき
男と女は後に泳ぎ来る別の男を
自ら助かるために突きとばす

海に流されたその男は、私
私は水中に沈んでゆく
呼気の泡と共に海底に両手を広げ
私は海に彷徨う人魚姫

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詩『マドラサ』

砂漠の彼方にそびえ立つ

白いモスクを太陽が

紅色に染め上げる夕べ

ジオメトリック(幾何的)な形の街影に

歌うのさ、男の子は口笛ふいて

呪文のようなその詩を

珈琲、ディジット(離散数)、一神教…

珈琲、ディジット、一神教…

乾いた大気に囲まれて

夢を忘れた三日月が

銀色に照らし出す夜空

ベリーダンサーが彩るマドラサ(学院)に

歌うのさ、女の子は小石を蹴って

ランプの精のその

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詩 『星のような一輪』

あなたが夜に見る夢のなかで
わたしは、風になりたい

わたしは、あなたの枕元に訪れた風

ぬばたまの闇を裂いた
白い月光の糸電話をふるわせる
声の主になって、あなたと語らいたい

暖めた唄で寂しさを溶かし合うために

そばにいるよ、今夜も…

涙に濡れたあなたの髪に
うつくしい悪戯をさせて下さい

わたしは、夢見の砂をまく影

まどろみの底を拓いた
他の人たちの知らない詩の翼にのせて
星の世界にあ

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詩 『火』

詩 『火』

生活の神秘な闇を切り裂いて
奔放な腕に振りかざした松明の炎が
しじまの空を走った
瞬く火花はあなたの息
滑らかな瞳の奥で弧を描いて
密かな夜の潮騒を待ちながら
蝕の指輪が輝く刹那
夜風を誘う窓にきらめく銀は溢れて
わたしの中で赤い木の実が熱く弾け散り
そして波間に消えてゆく
碧い泪滴に潤った髪のにおいにも
冷めた星座の旅の兆しが訪れて
白い夢は再び暗闇に還った
孤独な晩餐を時計のナイフが刻み
細い

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