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私たちの時間

2年ぶりに馴染みの駄菓子屋さんの前を通ると、そこにはいつものばあちゃんがいて、安心した。

内心、あ、まだ生きててくれたんだ、良かった。と思ってしまった。

古い家が壊され、新しい家が建つ。

30メートルくらい歩いた家の犬はもう見かけなくなっていた。

向かいの家のおじいちゃんは車いすに乗っていた。

隣の家のおばちゃん足をひきずっていた。

そして周りが何もない敷地に一つだけぽつんとたつあの一軒家。まだあるよ。

絶対に立ち退きたくないんだね。そこまで、その家に住みたい理由はなんなんだろう。

少しずつ、ほんのすこしずつ見える景色が変わっていく。

自分の中の細胞も少しずつ変わっていく。

自分のばあちゃんに電話をしてみたら、いつもなんとなく、わかっていても大声で「元気?」と聞いてしまう。

そうすると毎回笑いながら「なんとか元気だよ」と返ってくる。

この前と一緒だ。

本当に元気な頃を思い出すとちょっぴり寂しくなって、少しだけ涙がでそうになるのをいつもこらえている。

どんな時もすべての人に平等に降り注ぐ時間が突き刺さる。


自分にもちょっと一本だけ生えた白髪をすぐさま切り取る。

まるでなかったかのように。

重い重い時間。


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