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ブランドプロデューサーの思考回路

本日は、柴田陽子さん・著『勝者の思考回路 成功率100%のブランド・プロデューサーの秘密』からの学びです。マーケティングやブランディングに携わる皆さん、初歩的な話に見えて、できていないこと、ありませんか?

さてさっそく、今日一番のキラーワードです。

"ブランドとは、受けとる人がその価値を『感情的に』理解、評価して支持するもの”

とてもしっくりくる言葉です。
私自身の体験として、たとえば化粧品のブランディングでは自ずと意識されますが、B2Bの仕事環境ではおざなりになりがちです。一見理屈で売るような商品・サービスであっても、長期的に支持される基礎力を持つ上でとても大切な視点です。(この話だけで何時間も語り合えそう)

ここからは、そんなブランドづくりを得意とする著者の考えをピックアップ。

”人が喜ぶ顔を想像する力が、コンセプト作りに大きく寄与する”

誰がどんな場面でどのように嬉しい気持ちになるのか、細部まで詰めて想像できる能力。それがコンセプト作りに大きく寄与する。
基本的なことのようで、できていないからビジネスの失敗がよく起こる。

”何をもって『結果』とするのかに、徹底的にこだわる”

どうも普通の人は結果をどこに設定するかを意外ときちんと考えないようで、自身の強みはそこにある、と著者は語ります。
売上や数字だけではなく、どんな結果を求めるのか。それにより、選ぶべき道筋が変わるから。

実際には、何をもって『結果』とするのか当事者もわからずにいたり、進める中でやはり変えたいということも起こる。
だからできるだけ複数の結果を想定・定義して示し、どちらがベストか決めていく。結果として定義できるものが5つ、10個とあってもいい。
細かく丁寧に設定するほど、プロジェクトの目的は整理され、無駄がなくなり、現状の到達度もわかる。評価したり人を褒めるポイントも見つけやすく人材育成の上でも有益。

同様に、何かを任された時、「何を責任として設定するか?設定するまでにどれだけ相手への想像力を働かせるか」の重要性も指摘されています。
例えばプロデュースを依頼された店舗が、20店舗を目指したい経営者にとっての1店舗目なのだとしたら、「20店舗への展開が可能な業態」でなければいけない。
そして開業までの依頼だったとしても、良いコンセプトと仕様で開業するだけでは本来の目的が果たされなさそうであれば、その後のプロモーションや教育まで提案することもある。それは結果的に自分の経験値を上げることにもなるし、その意識でコミットしてこそ次の仕事への紹介が生まれる。
依頼内容には本当の目的は書かれていないことが多い。しっかり聞き出し、共に考える。

”目の前にあるものになんでも感想を持つ”

著者は感想と言っても「あの人の服が可愛かった」とかではなく、人間関係や市場の変化へのアンテナのような感覚を指しています。
ビジネススキルに通じる基礎トレーニングとして、日頃からいかに意識的に疑問や気づきを持てるか。普段からこの習慣がない人がビジネスの場でだけ突然いいアイデアや視座を持てることはないという話です。

個人的にこれは、なんか薄っぺらいなと思われてしまう人と、深みや面白みを感じてもらいやすい人の違いでもあるように思います。なぜだろう、こういうことかな? 感じる。考える。調べる。日々の些細なチリツモが色々な知識に繋がり、その人の人生における「思考した量」にも繋がる。そして往々にしてその量が同じくらいの人といるのが心地良いし、刺激を受けてまた考えるきっかけになるから、大人になるとこの格差は開くばかり・・(自戒)。

私自身は、以前は持ち得ていた感受性やここでいう感想力のようなものは一体どこへ行ってしまったんだろう、と結構まずい感覚になることがままあります。歳のせいな気もするし、コロナで人と会わなくなったことが影響している気もします。「これってこういうことかな」「なんでこうなったんだろう」「ここがこうだともっと良さそう」「次はこうしてみない?」些細な日常の中でそんなことを語り合える「相手」の重要性も感じます。
ではそんな相手に恵まれる環境はどうしたら得られるのか。育児や教育の観点からも議論の膨らみそうなテーマで、この辺りも深掘りしてみたいものです。

”理由を伝える。ちゃんとした感謝をする”

褒め言葉やプレゼントそのものより、「そう思った理由」「これを選んだ理由」の方が人を喜ばせることは多い。

たしかに!と思いませんか?

そしてコミュニケーションにおいては、相手がどれだけ努力してくれたか、いかに希少性の高い人と仕事ができているかなど、「ちゃんと知らないと」「本当の感謝」は伝えられないという話も。

信頼は、ちゃんとした感謝から生まれる。
知ろうとする姿勢が、その場の空気も、成果も変える。

余裕が無いときや、少し立場がえらくなった時こそ、思い起こしたい指摘です。

勝者とは

私は本書にブランド戦略やブランドプロデュースの指南書的な内容を期待をして読んでしまったのですが、実際は「ブランディングプロデューサーによる自己啓発書」といった印象でした。

著者はタイトルにもある「勝者」を、以下のように定義しています。

自分自身が高い志を持っていることができる。周りを見れば味方が多く、応援してもらえる。そして誰かの役に立つという充足感の中で生きている。

この時点で、勝者=成功ブランド とタイトルを誤解して捉えてしまったことに気づくのですが。
勝者という言葉はさておき、理想的な人生観をすとんと言葉にしてくださっている感じがしました。

マーケティングでは時に機を逃さずに数字のマジック的なやり方で勢いを示すことがその後のビジネスを伸ばすこともあり、いつでも清く美しくブランド対峙ができるとは限りません。そんな時、どうやって長期的な視点でのブランドづくりを働きかけていくか。そんな話もしたいですね!

まとめのネクストアクション

  • 自社の提供するもの(担当するもの)は、受け手がその価値を”感情的に”理解、評価して支持している状態か?

  • 自社の提供するもの(担当するもの)の成功とは、誰が、どんな場面で、どのように嬉しい気持ちになることか、細部まで詰めて設定できているか?

  • 何を持って良い結果とするのか、複数の選択肢から擦り合わせていこう

  • その結果に必要なことを、自分の範囲に囚われずに考えよう

  • 「理由」で誰かを喜ばせてみよう

  • 一緒に働く人に対しては「ちゃんとした感謝」ができるだけのコミュニケーションを大切に

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*本記事の引用は、著書の原文ママではないこともあります
*本記事は著書の要約ではありません



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