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「”自分が自分でいられている”を重ねていきたい」 レンタルおじさんになってみた話 あきた


あきた
名古屋市出身。社労士関係の仕事の傍ら「レンタルおじさん」として活動中



名古屋出身。社会保険労務士関係の仕事をしているあきたさん。
昨年から「レンタルおじさん」として、世の中にある”ちょっと手伝ってほしい”ニーズに応える仕事もしていると言います。

そんな彼がレンタルおじさんをして感じたこと、今日にたどり着くまでの物語をうかがいました。


「1時間1000円で何でもやります!」レンタルおじさんを始めたきっかけ

名古屋生まれの岐阜育ち。現在、社労士法人に勤めるあきたさん。仕事の傍ら、2022年1月頃から、「レンタルおじさん」の活動を始めたと言います。

「2022年の1月頃から、レンタルおじさんとしていろいろな人からの依頼を受けたりしています。1時間1000円。その名の通り、おじさんをレンタルし、なんでもお願いできるサービスです。

最近よく聞くレンタル彼女・彼氏の方は、デートだったり恋人ごっこを楽しむというコンセプトなのでお願いできる内容は決まっていると思うんですけど、レンタルおじさんは、そこが決まっていません。

ぼくは何かの専門家ではないので、特別なことはできないです。その代わりに1時間1000円で、できる範囲のことはなんでもします。
愚痴を聞いてほしい、相談に乗ってほしいという依頼もありますし、一人だとやりづらいことを一緒にやったり、力仕事で男手がほしいという人のところへ助っ人にいったり。

今までいろんな依頼を受けてきましたが、内容的にそれは受けられませんというのはなかったですね。」

あきたさんがレンタルおじさんを始めるきっかけは、コロナ禍のときだったと話します。

「関東の友達の家でテレビを見ていたんです。偶然つけたチャンネルで、女性スタッフ限定のレンタルサービスの会社が特集されていました。

コロナ禍だったので『食べ物とか買ってきて置いておいてほしい』とか『娘に何をプレゼントしたらいいか相談にのってほしい』とか。
番組に出ていた人が、知り合いとか友達じゃないからこそ、お願いしやすいこともあると言っていて。たしかにな、と。
友達になんでも言ってね!と言われても、なかなか遠慮して頼みづらいこともありますよね。お返しするものがないとなぁ、今後の関係が気になって言えないなぁとか。

ぼく自身も普段から友人や知人が困っていたら何か助けになりたいと思う人間なので、それを変な遠慮なしに、気持ちよく依頼できるレンタルおじさんはぴったりくるなと思ったんです。」

「この仕事を始めてから、本当に、色んな形のニーズがあるんだなと思いました。
たとえば、知り合いには話せないから話を聞いてほしいとか、ある事情で引っ越しをせざるを得なくなったけど誰にも頼めないから手伝ってほしいとか……。

社労士の仕事ってなると、もちろんそれ関係のことに依頼が固定されるけど、そこを『なんでもOK』とすると、こんなに多種多様なニーズが見えてくるんだという発見がありました。

たくさんのニーズに触れてみて、こういうことでも喜んでもらえるんだなぁって思ったんです。ぼくは専門家ではないけど、そんな自分の行動でも喜んでもらえるのが嬉しい。」

「一つの事象を色んな視点から見る。」心理学から学んだ多面的な捉え方

レンタルおじさんの活動をして、様々な人と関わってきたというあきたさん。人の気持ちや行動に興味があり、大学は心理学科に進学し学びを深めてきたそうです。

「高校生で進学先を考えるときに、一番学びたいと感じたものが心理学でした。自分の中で何となく決まっていたというか……、他のものに心が動かなかったんですよね。
生きる中で、そのときに学んだ心理学が影響してるなと思う場面は多々あるなと感じています。心理学を学んでよかったと思うのは、事象を色んな視点から見る目を養えたところです。

たとえば、『自分の子どもが人見知りをする』という事象がある。このときに、この子は将来大丈夫だろうかとか、対人関係スキルに不安があるんじゃないかと捉えることもできます。でも、逆に言えばそれは人との距離感が判断できているということ。信頼関係にある、ない、というのをしっかり判断できている証拠です。この視点を知っていると、むしろ人見知りってよいこともあると気づける。

また、仕事で『直接成果は出してないけどあの人がいるからこの場が上手く回っているよね』とか『あの人、こういういいところありますよね』のような。

こちらの面から見るとこんなところもあるけど、こっちから見るとこう捉えられる。同じ現象に対して一つの視点じゃなくて、いろんな視点から見られるのは『その視点があることを知っているから』というイメージです。」

”色んな視点から見る”を、自分自身に対しても行なっているとのこと。

「主に感情が動いたときに、この視点を持つようにしています。たとえば、何かにイラッとしたら、ぼくはなんでイラッとしたのかな?と自分の気持ちの原因を考えることもあるし、イラッとしているということは、自分なりに考えがあったからだな、と腑に落ちるまで考えることもあります。今イラッとしていることは、悪いことなんだろうか?それともよいことかな?と考えたりもします。

自分を研究対象にしている、じゃないですけど(笑)
今自分の中に起きていることはどういう意味があるんだろうとか考えるのは、心理学を学んできた人あるあるかもしれないですね。」

”自分らしさ”を積み重ねる人生

”自分のとった行動が、誰かのためになっている。誰かが喜んでくれることが嬉しい。”
その気持ちは幼少期の頃からずっとあると話します。

「ぼくは昔から、目立つような役回りはそれほどしないタイプでした。学級委員とかリーダーとか、わかりやすい花形は他の目立つ子の方が選ばれます。自分はそういうタイプではなくて、変なことにこだわったりするタイプでしたね。(笑)

黒板をめちゃくちゃ綺麗にしたり、移動教室の忘れ物をチェックしたり。そういう細かいところを見て認めてくれる人がいて。人の役に立つところをほめてもらえていたので、頼りにされたりとか役に立っていると思えることに喜びを感じやすくなっているのかなと思いますね。」

「これから先にこれやるぞ!と決めていることはまだ無くて。でもそれって、ある種ありがたいことに、まだ未完成でいられているということだと思うんです。社労士もレンタルおじさんも、自分が楽しく、周りも楽しく居られる場がつくれたらそれでいいなという気持ちが強いですね。」

生きていて、楽しいと思うポイントは”自分が自分でいられているか”だと続けます。

「前職の会社の先輩に『あきたは、生き方がめちゃくちゃ下手くそだ』と言われて、おもしろいなと思ったことがあります。
わかりやすくいうなら、上司が喜ぶならそういうこと言っておけばいいじゃんとか
そういうこだわりださずに、なんでわざわざそんなこと言ったりするのっていう感じかな。
大人になったらそんなことは気にするなとか、なんでそんなどうでもよさそうなこと気にしてるの?と言われることはたしかに多いです。

でも、別の上司に『普通は流されて、あきたくんのようなことはできなくなってくるから、それは良いところだよ。間違えちゃいけないよ』と言ってもらえたんですよね。
あぁ、ぼくの自分らしさは変なこだわりをもち続けられているところだなって。
たまに枷になるとはわかりつつも……、ですけどね(笑)

最近は、忙しさが勝ってしまっているところがあって。こなす量が多すぎるから、終わらせなきゃというときはどうしても自分らしさが薄くなってしまいがちです。自分が自分でいられているか、ということはいつも自分の心に確認したいなと思って生きています。」

「自分の幸せが周りの人の幸せにもつながる」

「したい未来に近づくために何かを頑張るというよりは、自分らしくやっていることが自分のしたいことだから……。それをやり続けなかったら、その未来では無くなっちゃうんだろうなという気がしますね。

レンタルおじさんとして悩み相談を受けるときや、社労士の仕事でも新卒の採用などをするときに、今後どうしたい?という会話をすることが多いです。その中でぼくが大事にしているのは、ちゃんと自分の幸せを考えてねというところ。

『みんなを幸せにしたい』という人、いると思うんですけど
その「みんな」の中にあなたは入っていますか?という視点は、すごく大事にしてほしいなと思います。

きっとそういう人は、周りからも好かれていたりとか大事にしたいと思われている人だと思う。逆に言えば、あなた自身が幸せで笑っているというだけで、幸せになる人がすっごいたくさんいるということです。
人の幸せを考えたいというときに、まずは自分の幸せを考えることが
あなたを大事にしてくれる人の幸せにつながると思う。ぼくもそうでありたいなと思います。」

これからも自分が自分らしくいられているかを重ねていきたいと語ってくれました。

編集後記
その場にいるだけで、空気がふわっと優しいものに変わる、そんな人っていますよね。あきたさんの醸し出す優しさはまさにその空気をつくっていると感じました。みんなの幸せを願うなら、自分の幸せを満たすことから。私もその視点を大事に生きていきたいなと思いました。
あきたさん、貴重なお時間ありがとうございました。
(インタビュー・編集・イラスト By Umi)


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