療育の知識で、幸せな世界を―教育&療育コーチうめちゃん先生の想い―
兵庫県出身、元小学校教員。放課後等デイサービス指導員を経て、1月より、運動療育に特化した児童発達支援の事業所へ転職。
一人ひとりに合った支援と子どもたちとの出会い
両親が教員だった事から、自身も教育への道を志したといううめちゃん先生。
人の成長に携わる教員という職業に憧れを抱いていたそうです。
「父は中学校、母は小学校の先生でした。父が顧問をしていたサッカー部の練習に参加させてもらったり、母の仕事を間近で見たりして教員の魅力を感じていました。」
また、兵庫県では中学校でトライやるウィークという職場体験学習の機会があり、そこでの体験も大きかったと話します。
「職場体験では小学校に行きました。自分が、小学校の時にも中学生のお兄さんお姉さんが来ていて、かっこよかった事を覚えています。そんな先輩に憧れの気持ちがあった事も、教員を目指したきっかけになっていると思います。」
その後、幼い頃からの憧れだった教員になり、担任として子ども達に関わり始めたうめちゃん先生。
担任としてクラスを受け持つ中で、子どもにとっての最適な支援について考えたと言います。
「40人近く子どもたちがいる中、一人ひとりに合った支援が出来ていない自分にモヤモヤしていました。わかっているのに、すくってあげられない……。この状況を変えたいという気持ちがありました。」
担任業務をこなしながら、最適な支援を行うことが難しい今のシステムにフラストレーションを感じていたと話します。
そんな時、ある作業療法士さんに出会ったそうです。
「その作業療法士さんから、放課後等デイサービスの存在を教えてもらいました。そこでなら一人ひとりにあった支援ができると思い、指導員へ転職しました。」
運動療育のおもしろさ、素晴らしさ
児童発達支援(未就学児への療育)や放課後等デイサービス(小学生や中学生への療育)を行う事業所の児童指導員として働き始めたうめちゃん先生。
発達支援を必要とする小学校入学前から中学生の子ども達を主な対象として、遊びを通したSST(ソーシャルスキルトレーニング)や学習を中心に支援しているそうです。
一人ひとりと丁寧に向き合い、保護者とも話を重ねる中で見えてきたものがあったとの事。
「今まで、特別な支援を要する子達は「出来ない」からやらないんだと思っていました。しかし、ここで働き療育に出会った事で、あの子達は「やりたい」のに上手く出来ない悔しさを感じている事に気づいたんです。」
中でも、運動という領域に魅力を感じたと言います。
「学校では、どうしても体育の授業という形で成績などに縛られてしまいます。でも、本来体を動かしたり、運動する事そのものは好きな子が多い。運動療育という領域で子どもたちに体を動かす楽しさを知ってもらいたいと思いました。」
運動がもたらす人体への効果や脳への影響など、療育について学ぶ中で、「運動療育」の効果の素晴らしさを感じたと話します。
「大人も本気で運動を楽しむ姿を見せられたら、子ども達も本気で楽しんでくれると思っています。」
自分学んだ事を学校教育へ還元したい
自身が学んだ療育の知識や経験をSNSなどで発信しているうめちゃん先生ですが、今後はこの知見を学校教育へ還元していきたいと考えているそうです。
「やはり、僕の教育への想いのルーツは学校だと思います。『一人ひとりの子ども達に平等な教育を』という視点で考えると、教員が療育の視点をもつ事は必須。そのために、僕が学んだ事を今度は学校へ伝えていけたらと思っています。」
そして、教育をよりよいものにするためには、まずは教員自身が豊かにならなければいけないと続けます。
「シャンパンタワーの法則があるように、タワーの一番上にいる先生がまず満たされなければいけないと思います。働き方も、キャリア選択でもまずは自分の心を満たす事で他の人にも繋いでいくことができる。だからこそ僕は、『迷ったらおもろい方へ』をモットーに人生を考えていこうと思っています。」
自身との対話をして、ワクワクする方を選ぶようにしているそうです。
「先生という職業も、長い人生の中の経験の一つだと捉えています。自分がやってみたい事を、どんどん挑戦する事が自分の幸せです。」
先生が幸せになることで、子どもも保護者も幸せになる。
「人生は一度きりではない。一歩踏み出す勇気をもって、色んな世界に飛び込んで、たくさんの経験をしてほしい」と語ります。
これからは、SNS以外にも校内研修などの機会を通じて療育やコーチングの考え方を広めていきたいとお話してくれました。
編集後記
療育の視点から、教育に彩りをもたらそうとしているお気持ちに熱いものを感じました。私も教員時代は学ぶ時間がなかなか取れずにいました。うめちゃん先生の発信を求めている先生がたくさんいるのではないかと思います。
これからもうめちゃん先生の素敵な発信と今後のご活動を楽しみにしております。
貴重なお時間ありがとうございました。
(インタビュー・ライター・編集・イラスト By Umi)
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