最近の記事

トリップ中のプチトリップ

飛行機の機内で観る映画って、 とても不思議だと思う。 目的地は同じなのに、隣に座っているのは親しい友人や家族なのに、そこで観ている映像は、受け取る物語はまったく違うものであり、過ごした時間は自分だけのものである気がするから。 5年ほど前、家族でシンガポールに旅行したときのことだった。私と夫と息子は、行きの飛行機で3人並びの席に座っていた。 シートベルトの着用サインが消えてすぐ、夫と息子は機内エンターテイメントのパズルゲームに夢中になり、私は画面に表示された映画のリストか

    • やらないと嫌になっちゃうから

      「やらないと嫌になっちゃうから。」 もつすぐ70歳になろうかという母の口ぐせで、還暦を過ぎたあたりからよく耳にするようになった。 年に何度か、私は夫と子供たちを連れて隣県にある実家に泊まりで帰省することがある。 実家は観光地の近くにあり、夫も子供たちも大変楽しみにしてくれてはいるのだけれど、両親の負担になってはいけない。 準備なども大変だろうから、たまには近くにある旅館に泊まろうかと言うと、母は必ずこう返す。 「うちは大丈夫だから、泊まりにおいで。それに、やらないと

      • うずらの卵カレー

        母の作るカレーには、いつもうずらの卵が入っていました。 レシピは簡単! お好みのカレーを作って、仕上げに茹でたうずらの卵を入れて馴染ませるだけ。 トッピングとしてちょこんと置くのではなく、ひとパック分を茹でてざぶんとルウの海に入れます。 うずらの卵と鶏肉の親子カレー(いや、親子じゃないですね、正確には親戚?カレー)という組み合わせも美味しいのですが、 豚コマ肉との相性もとても良いです! 濃厚な卵がカレーとよく合い、噛むと幸せが口の中に広がります。 小さなお子さんは

        • 腰が低いけど、指示を出します

          社会人になってニ年目のころ、上司との面談で仕事について話す機会があった。 上司は当時の私より10歳ほど年上の女性で、普段からなにかと世話を焼いてもらっていたので、以前から気になっていたことを尋ねてみた。 「協力会社の皆さんとの、距離感がよく分かりません。」 そのころ私は、広告制作やイベント運営の仕事をしていた。 肩書きで言えば、プランナー。 企画の立案やプレゼンは自分で行うのだが、実際にデザインをするのはデザイナー、イベントを実施するのはイベント会社、といった具合で

        トリップ中のプチトリップ

          私は単純

          それまでの紆余曲折は何だったのかと思った。 ありがとうと言われた瞬間、 私は何かから解放された。 物心ついた時からずっと、何者かにならなければいけないと思っていた。夢を持ち、叶えなければいけないと頑なに考えていた。 それはときに光る矢印のように私をまっすぐに導き、ときに狩人のように出口の見えない道へと追い立てた。 文章を書くのが好きだった私は、小説家、脚本家、翻訳家などいろいろな道を模索して結局小さな広告会社の制作部に就職した。 その部署では、企画書はもちろんコピー

          私は単純

          拝啓 お笑い芸人の皆さん

          はじめまして。 いつも楽しく拝見しています。 このたびは、皆さんに改めてお礼を言いたいことがあり筆をとりました。これから書くことは、私の個人的な話と、皆さんに心から伝えたい想いです。拙い文章で恐縮ですが、読んで頂けたら嬉しいです。 私は昨年出産をしました。 初めての土地、慣れない子供との生活にこのご時世もあいまって、ほとんど外出もできず孤独を感じることが多かったものです。 そんなときに私を支えてくれたのが、お笑い芸人の皆さんでした。 感染対策のため、赤ちゃんを産んでか

          拝啓 お笑い芸人の皆さん

          マヂカルラブリーの漫才と野球お父さん

          年末がくるまえに、昨年のM-1で起きたマヂカルラブリーの「あれは漫才か」論争について、思ったことを書いてみたい。 あの論争が起きたとき、私は思った。 これ、なんだかあれに似てる。 小学生のときに、テレビの野球中継をみていたお父さんがよく言っていた。 ああもう、下手くそ! どこ打ってんだよ! とても面と向かっては言えないが、テレビの前で白熱しているからこそ出てしまう言葉の数々。あれに似ているなと。 下手くそなどと言ったって、仮にいまこの瞬間お父さんがこの試合に代打で

          マヂカルラブリーの漫才と野球お父さん

          もう中学生のおグッズ!

          なんて贅沢な番組でしょう。もう中さんがフルで観られるとは。 ずっと待っていました、もうね、フルで漫談でしたね。もう中さんの漫談をずっと見てる感じで最高でした。 そして、もちろんピン芸人さんなので普段のネタではツッコミがないのですが、ボケ倒すもう中さんに丁寧に突っ込んでゆくノブコブ吉村さんも最高でした。 芸人さんたちのなかには、もちろんロケのテクニックとかセオリーとかあるのでしょうが、そういうのを知らないor知ったうえで無視する新しいロケを見た感じです。 見てる方として

          もう中学生のおグッズ!

          おぼんこぼんさんと舞台袖

          不覚にも泣いてしまった。 番組の感想はきっとたくさんの人がいろいろなところで書いていると思うので、私がいちばん好きなシーンのことを書きたい。 最後に東洋館で漫才をするとき、舞台袖から2人が飛び出してゆくのを下の方から捉えた映像が、めちゃくちゃかっこ良かった。 私はこの瞬間を見るのが大好きだ。 賞レースのプロモーション映像や、べしゃり暮らしという芸人さんの世界を描いたドラマでもこのアングルがよく出てきた。 舞台袖から飛び出す芸人さんて、どうしてあんなにかっこいいんだろ

          おぼんこぼんさんと舞台袖

          東京03の飯塚さんが審査員でほっとした話

          今年の春ごろだったか、気になることがあった。 細かい時期は忘れたけれど、ある番組に、賞レースで審査員をしたことがある芸人さんが数人出ていた。 そこで東京03の飯塚さんが、審査員の仕事についていくつか質問していたのだけど、その内容がとてもリアルで、あれ、もしかして飯塚さんて審査員やりたいのかな?と思った。 すこし意外だった。 以前、若い芸人さんが言っていた。 ライブをすると必ず飯塚さんは舞台袖で最後まで観ていてくれて、感想をくれる。ほかの先輩がいなくても、飯塚さんは必

          東京03の飯塚さんが審査員でほっとした話

          芸人さんの引退を考える

          お笑いが大好きで、幼い頃からずっと観てきた。 先日、あるベテラン芸人さんが若い芸人さんたちと絡んでいたが、コメントが支離滅裂で、若い子たちは戸惑っていたし、本当に企画を分かっているのか疑問に思うシーンが何度もあった。正直見ていられなかった。 十数年まえはツッコミが冴え渡り、彼が出ているだけでもう笑いが止まらなかったので、とても残念な気持ちになった。 だからといって、もうテレビに出ないでほしいとか、引退したらどうかという話ではない。 見ているこちらも歳をとって笑いのツボ

          芸人さんの引退を考える