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“ふつうの人生” が、今のわたしには心地がいい


私のこれまでを振り返ると
おそらく、
『多くの人が歩むであろう人生』だと言えると思います。


夢や目標に向かって自分の道を進む人たちの方が、
かっこいいなあ、羨ましいなあ、と
思っていたことも多かったのですが、


最近になって、ふと
“ふつう” であろう自分の人生が
とても、愛おしく思えるようになりました。




“留学経験を活かした、海外を飛び回る仕事”

“女性としての美しさや、しなやかさ、
 機転を活かしたバリバリのキャリアウーマン”




11年前の春、神奈川へ上京した私は、
キラキラしていた世界を夢見ていましたが、


そんな私も、間もなくお母さんになります。

家族を持ち、今度は親となります。



そうです。
“ふつう” の人生の途中にいるのです。




***



『おはよう。
 今朝も、かなちゃん、泣き叫んでたよ』



最近、よく、苦しいと感じる夢を見ることが多いです。



悪夢を見ることは、
妊婦さんあるあるとは聞くものの、

朝早く目を覚ましたりするので、
あまりいい気分ではありません。



それでなくても、眠くて眠くてうとうとする毎日。

まとまった睡眠が必須な私の身体に、
さらにずっしりと重いものを乗せるような感じ。



『でもね、ぎゅってしてあげると
 落ち着くみたいなんだ。』




主人は得意げに、そう話しながら
朝食の用意ができたテーブルへ向かっていきました。

悪夢を見ることも、
そんなに悪いことではないのかも。

主人と迎える“ふつうの朝” は、
私にとっては、幸せの時間なのです。



***



東北の田舎町から関東に上京して
もうすぐ10年目が過ぎようとしています。


大きな震災を地元で経験し、
一度は、転校すら考えた高校生活。


あの時、原発から逃れるために、
親戚の家に送り出す私を駅で見送った時、母は、



「もう2度とあなたに会えないかもしれない、と、
 覚悟を決めたの。」



産前最後の帰省で、もうすぐ母になる私に
母として子を送り出した当時の、
もどかしい、複雑な心境を語ってくれました。




結局、震災後は大学入学を機に上京し、
至って普通の大学生活を過ごしました。

そして、キラキラとした世界をかき分けたのち、
今のこの生活に行き着いたのです。




“ふつう” に大学生活を送り、1年間渡英し、
お堅い大手組織の関連会社に就職した、私。


何度も心が折れそうになりましたが、
なんだかんだで、今日まで続けることができ、

今年の春で、
5年間の社会人生活を完了させました。




バイトも沢山しました。

気の向くままに旅行もしました。

甘かったり、ほろ苦かった恋もしました。




消し去りたいと目をつぶっていた思い出も、
今では穏やかな気持ちで振り返ることすらできます。




私にとってこれまでの時の流れは、
ゆるやかで、心地よくて、あたたかいものでした。



***





3月の少し寒さが戻った月曜日。
産休に入って初めての朝を迎えました。

会社で知り合った先輩ママさん&お子さんと
ランチの約束をしている日。

今日からは、これまでできなかったことを
産休初日から、駆け抜ける予定です。




出産で不安なこと

お家のこと

これからの将来のこと



同じ環境だからこそできる話を、
今日がチャンスとばかりに
ただひたすら相談しました。


誰かに向かって言葉にするほど
『自分はお母さんになるんだなあ』と実感します。


働いていた頃は、とにかく
普通に仕事をこなすことに必死でした。

お腹の中に赤ちゃんがいる喜びを噛み締める
そんな余裕すら無かったんだと気づかされたのです。






私はもうすぐ、お母さんになる。







正社員として真面目に働いて、

ずっと一緒にいたいなあと思った人と結婚して、

望んで、願って、子どもを授かりました。







「なんて、“ふつう” の人生なんだろう」と
感じる人もいるかもしれません。

「そこにあなたの意志はあるの?」と
聞かれるかもしれません。

ただ、流れに身を任せてきただけなのかもしれない
とさえ、思うことがない訳ではありません。



ただ、今の自分が胸を張って
言えることがひとつあります。


今、とても穏やかな気持ちで
赤ちゃんのことを待っていること。

家族の大切さを実感していること。

そして、

この一瞬一瞬が、なんだか愛おしいということです。





“ふつうの人生”が、今の私にはとても心地いいのです。









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