見出し画像

マイ・ワーマタ・デイズ ~vol.4 ハピマタライフとは~

酒と酒のある空間が好きな、もとい、好きだった、東京在住30代前半の総合職の女です。仕事も経験を積むほど面白さが増す中、ある日マタニティライフがスタート。vol.1では「呑兵衛からの卒業」、vol.2では「乗り切れツワリ」、vol.3では「安定期と言われる所以」と、妊娠初期から中期への変化を書き留めてきました。

vol.4は、妊娠18週目から25週目の妊娠中期。ハッピーマタニティライフとは何のことか探していた頃のログです。

ー妊娠18週目ー

ハピマタ、の要素。

安定期に入ればハッピーマタニティライフが待っているよ、と以前から聞いていたが、出産準備や想像ではキュンキュンできない捻くれている私は、気の持ち様だろうとしか思っていなかった。でも最近になって、ハッピーと言われるその意味が何となく分かり始めた。まず胎盤の完成がもたらすホルモンの安定によって、ようやくカラダにすっきり感が帰ってきたのが理由のひとつ。そしてもうひとつは、日に日に目立ってきたお腹に周りが反応してくれるようになるからだと思った。会社にいると、仲の良い人や遣り取りが多い相手は勿論、日頃お話しする機会の少ない他部署の部長さんや役員さんも、お腹に気付いて話しかけてくれる。仕事は優秀だが冷酷と言われる部長さんが、エレベーター待ちで一緒になった時、ぐるりとこちらを見て「お腹大きくなったね〜何ヶ月?もっと大きくなるからね〜」と微笑みながら話しかけてくれて、この厳しい人も可愛い子供のパパなんだなと見たことのない温かい一面を想像させた。妊娠前に一緒に飲んだおじさんお姉さんや酒飲みの女だと知っている人は、私が「断酒し始めたら最近肌のツヤがやたら良くて」と言うともれなく笑ってくれた。2歳の娘さんがいる隣の部署のお洒落なお姉さんは、着る服が少なくて困ると話した私に、よかったら暫く使ってねと妊婦当時に履いていたというお腹周りを調整できるオフィス向きの黒パンツを貸してくれた。家族や子供の有無については色んな考えの人がいるから、こちらからわざわざ持ち出さないようにしているし、妊婦は戦力を落とす存在として疎外されても仕方ないと構えていた。それが、想像以上に多くの人が、しかも仕事の話をする時とは少し違う優しい雰囲気で声をかけてくれるから結構嬉しいもの。今まで以上に周りが優しい。

ー妊娠19週目ー

マタニティヨガ効果。

マタニティヨガを継続している。おかげで腰痛とも縁遠く、今のところマイナートラブルは少ない。妊娠中の骨盤ベルトは不要、産みやすく戻しやすいカラダを作りましょうとストイックめなこの教室は勉強になる。それと、周りの先輩達のお腹を見ていると、大きいと思っていた私のお腹などまだまだ小振りなもので、甘えていられないと思えてくるのである。ヨガの後に共有される、先輩方の具体的な出産報告を聞いていると、リアルで身構えるが、良いイメトレになるし、自分にとってもベビーにとっても出来るだけ順調なお産になるように頑張りたいなと気が引き締まる。マタニティヨガを始めた当初は、痛さを逃がしたいとか綺麗に痩せたいとか自分のことばかり考えていたが、通ううちに、お産による母体への負担を軽減できるようトレーニングすることによって、出産直後から心穏やかにベビーに集中して育児ができ、ベビーの長い成長の過程に良い効果をもたらすという考え方が何となくだけど理解できるようになってきた。

ー妊娠20週目ー

慣れてきたマタニティファッションライフ。

狭い我が家に着用期間限定の服は極力増やしたくないけれど、身体を圧迫することだけは避けたいので、週1の登場でも許容できる定番服を決め込むことにした。テッパンはUNIQLOの7分袖シャツワンピ。ハリのある生地とAラインに広がるカットが所謂UNIQLOに見えないと言うか、割と洒落たシルエット。襟付きシャツだからキチンと感が出て社長打合せも表彰式への同行もカバーできて重宝している。UNIQLOはブラトップもそうだが、2017年の夏から取扱を始めたという店舗限定のマタニティラインが優秀で、お腹を守るように包んでくれる下着のパンツもレギンスも休日用の黒スキニーデニムも拍手ものの履きやすさ。良い時代である。ボトムは隣の部署のお姉さんに借りたZARAのお腹まわりゆるゆる黒パンツか、お義母さんに裁縫でゴムを緩めてもらったパンツの2択。あとはZARAとか貰い物とか着れる限りのワンピで埋める。苦しくなっていたストッキングや黒タイツは封印して、無印良品のマタニティストッキングを履きまわす。定番が決まっていると朝の準備も早い。毎朝の悩みが解消されてきた。

ー妊娠21週目ー

フライングベビーカーゲット。

まだ妊娠6ヶ月なのに気が早いと言われそうだが、小さな年度末フェアに乗っかって(と言ってもドリンクホルダーが無料で付く位だが)、ベビーカーと抱っこひもを購入。お出掛け欲が強い夫婦なので、このジャンルに関してはあれこれ理由を付けて多少の値差を気にせず、でもデザインは絶対気にして、妥協なく選ぶことに決めていた。でも服とかグッズとかはキリが無いので気に入ったものを最小限で行きたい方針。こういう時、好みと金銭感覚、判断軸が合う主人とは良く話し合えて安心できる。

ー妊娠22週目ー

初めての食事制限。

今日はお義母さんからお下りで貰った、黒地に白柄のマリメッコのワンピースが会社でよく誉められた。これがいつも以上にお腹を目立たせたのか、今まで気付いていなかった人達も声をかけてくれた。いつも調子の良い監査役は、顔はぜんぜん太らなくて相変わらず小顔だね〜なんて今日もご機嫌なことを言ってくれたが、いえいえ、まさに体重が増加しすぎで、産婦人科の先生から注意を受けたばかりなのである。今まで良く食べ良く飲み良く夜更しの私の体重が10年間変わらなかったのは、走ったり鍛えたり踊ったり、趣味の運動あってのこと。妊婦となった今、この手法が使えなくなり、ずっと避けてきた食事制限にトライするしかなくなった。甘いものは15時まで、炭水化物やタンパク質を摂る食事は18時まで。カロリー表示とにらめっこし、お腹いっぱい食べず、空腹感に気付いていないふりをして床につく。体型のため、ベビーの安全な出産のため、慣れなきゃならない。

これが胎動なのか。

胃でも腸でも無くその隣の空間で、予感や前兆の無い、つまり自分で無いものによる意思で、ゴロンと動く感覚。エコー検診中に動いてくれたことで、やっとどれが胎動か判別できるようになった。それが分かると、1日の中で何度も動いてくれていて、その度に心が和む。主人はなかなかお腹に手を置くタイミングと合わなくて寂しそうにしているが、そう、つわりの時期に「胎動を感じられるようになると妊娠は女性の特権だと思えてくるから、それまでは辛いけど早く乗り越えられるといいね」と区役所の相談員さんに励まされた意味がやっと分かった。ようやくマタニティライフっぽい気分が味わえるようになってきた。

ー妊娠23週目ー

夫婦のふたり時間もカウントダウン。

平日の夜、お互い仕事から帰り、自宅で食事を済ませてから、妊婦の体重増加防止のためにと夫婦で夜の散歩にブックカフェへ。ふたりでのんびり過ごすこんな時間ももうあと少しと思うと、柄にも無くふと感傷的になった。

ー妊娠24週目ー

さらなる食事制限に涙を浮かべる30過ぎた女。

検査で蛋白に±反応が出て、産婦人科の先生から「減塩でなく禁塩くらいの気持ちで食事をコントロールしてね」とコメントを受けた。次の日、仕事から帰宅後の夜ごはんは、カロリー考慮で勿論白米抜き、塩分を最小限にとバルサミコ酢やオリーブオイルを使ったサラダと炒めもので終わりにした。後から帰ってきた主人に「ごはんは美味しく食べれた?」と聞かれ、「ごはんが美味しくなくて悲しい」と答えたら、何だか急に虚しくなって、涙が出てきてしまった。30歳を過ぎて好きなものが食べれず泣くなんて、情けなくて笑えてくる。今まで美味しいごはんを好きなだけ食べてきた、贅沢の反動なんだと納得することにして、自分を落ち着かせた。初めての食事制限はなかなか険しい道程である。

ー妊娠25週目ー

妊婦になって知る温かいコミュニケーション。

私の両親と私たち夫婦の4人で食事。主人の今の働き方を聞いて、両親が安心した様子をみせていた。嫁の妊娠前から裁量労働制に切り替えていた主人は、帰宅時間のコントロールが可能で、自宅からリモートワークで仕事をしたり、Webでの会議出席も可能。本人曰くだが、ある程度は会社から信頼してもらっているようで、上司や同僚もナチュラルに気遣ってくれるらしい。このあたりは、これまで会社と関係性を作ってきてくれたみたいで助かっている。母親が主人の働き方を気にしていた理由は、母に似て仕事に趣味に外で自由に駆け回っていた娘が、自宅に閉じこもり子供とふたりきりで居る時間が長くなっても大丈夫か気にかけていたようだった。幾つになっても母は母である。食事会が終わり帰宅した時、マンションのエントランスを開けようとしたら、小さい赤ちゃんを片手に抱えた、私の歳とそれ程変わらなそうなママがゴミを捨てに出てこられたので、戻るまでエントランスのドアを主人が開けて待っていた。御礼を告げながら入られたママは私を見てすぐに妊婦と気付き、「何ヶ月ですか〜?」と聞いてお腹を撫でてくれた。その赤ちゃんは3ヶ月で、お隣さんと判明。私達は「全然泣き声が聞こえなくて気付かなかったくらいだから、気にせず元気に泣いてもらって大丈夫ですよ!」と伝え、お互いが安心した。すると「お古で嫌でなければ〜」と、あっという間に着れなくなったという新生児用の肌着を部屋から持ってきてくれた。3ヶ月でもう着れないものがあるなんて、無知の私達は驚いた。我が家からは主人の実家の高知から送られてきた新鮮なトマトと小夏をお裾分け。今時お隣同士でこんな交流ができるとは、これも子供の存在あってこそなのかなと和やかな気持ちになった。

ー妊娠中期後半の〜vol.5(準備中)〜につづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?