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宮沢賢治と地学           ~地学の魅力を広げたい②~

先日のnoteでも触れたとおり、日々の生活に直結する身近な現象を学ぶ学問でありながら、なかなかその魅力が伝わらない「地学」。

しかし、文学やメディアなどを通じて、知らず知らずのうちに地学に触れていることも実は少なくありません。

例えば、NHKの人気番組「ブラタモリ」では、毎回その場所の地形などに焦点を当てていて、地理・地学に関する話題が多く登場します。

また、私が好きな作家「宮沢賢治」の作品にも、地学を扱ったものが多くあります。

宮沢賢治といえば、「銀河鉄道の夜」や「注文の多い料理店」、「風の又三郎」、「雨ニモマケズ」など、国語の授業で作品に触れた方も多いかもしれません。

宮沢賢治は、幼いころから星座観察や鉱物採集が趣味だったこともあり、地学分野に造詣が深く、前述の「風の又三郎」や「雨ニモマケズ」などの作品にもその知識に基づいた鮮やかな描写が見られます。

※「風の又三郎」や「雨ニモマケズ」での描写については、過去noteもご参照ください。

そんななかでも、私が特に驚いたのは、賢治が生前に発表した数少ない作品の一つである「グスコーブドリの伝記」です。

この作品には、異常気象に苦しむ人々の様子や、火山の噴火による気候への影響などが細かく描写されています。

もちろん、いまから百年近くも前に執筆された作品ですので、現在の科学的知見とは異なる部分もありますが、現代のようにインターネットなどない時代に、このような描写ができること自体がすごいことだと思います。

賢治の作品には、このように地学が好きだから(詳しいから)こそできる描写が数多くあり、そして、それが賢治の作品独特の世界観を生み出す一助になっているのではないかとさえ感じます。

ただ、残念ながら、賢治の作品が広く世に知られるようになったのは、賢治の死後のことで、本人がそれを知る由はありません。

地学は本当に奥が深い分野で、この現代においても未知の事柄が多くあります。それは、つまり、夢やロマンが溢れる分野とも言えます。

それ故に、実は文学や音楽、アートといった芸術分野とも親和性が高いのではないかと、私は思っています。

実際、自然現象などに影響を受けた芸術作品はとても多いのです。

防災分野に偏らず、別の分野から興味を持ってもらう方法を模索していくことも、地学の魅力を広めるためには大事なのかもしれません。

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