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アフリカベンチャーニュース(2020年2月)

アフリカでは今、次々と新しいベンチャー企業が生まれています。世界の投資家からも注目されており、内外からの資金調達も活発です。アフリカならではの事業が発明されていると同時に、シリコンバレーや世界で普及する新しい技術・ビジネスモデルもすぐに導入されており、世界との時差は確実に縮まっています。

アフリカにおけるベンチャー企業、ベンチャー投資、ベンチャー的な取り組みをまとめました。今月は、デジタル金融、デジタル保険に関するニュースが多く見られました。5G回線のサービス開始や、配車アプリに関するニュースも引き続き多いです。また、TencentやTolaramといった、アフリカで別の大きな事業を持つ企業のデジタル金融への参入のニュースもありました。
このような日本語で報道されない、現地の生の情報を、1カ月単位でまとめています。

過去のまとめは以下からご覧になれます。

https://abp.co.jp/perspectives/business/

なお、これらアフリカのベンチャー企業に関するニュースは、以下の週刊アフリカビジネスをお申し込みいただければ、毎週定期的にお手元に配信されます。ご関心のある方は以下からお問い合わせください。


【ナイジェリア】ユニコーン企業とされるナイジェリア電子決済大手Interswitchが新規株式公開の代わりにナイジェリア証券取引所で230億ナイラの社債を発行(2/2)

ナイジェリアの電子決済大手Interswitchが、期待されていた新規株式公開の代わりに、ナイジェリア証券取引所で230億ナイラ(69億円)の社債を発行した。この社債は7年満期で、利率は15%の固定金利となっている。今回の社債は、ナイジェリアの証券取引委員会で定義されている適格機関投資家のみが購入可能で、社債の64%は年金基金管理会社に、7%は資産管理会社に、22%は商業銀行に割り当てられた。

Interswitchは、2016年にロンドン証券取引所とナイジェリア証券取引所に二重上場し10億ドル以上を調達する予定だったが、ナイジェリアの経済低迷により中止されていた。2019年になって上場計画が再浮上し、米 VISAが株式20%を2億ドルで取得したと報道されたことから、評価額が10億ドル以上であるユニコーン企業となったとされていた。

※1ナイラ=0.3 円(モーニングスター、2/7)


【南アフリカ】VodacomがLiquid telecomを通じて南アで5Gサービスを開始へ(2/4)

南アフリカの大手通信会社Vodacom Groupが、Liquid Telecomが提供する5Gサービスを用いて、5Gの携帯通信の提供を開始する計画を発表した。Liquid Telecomは1月に、3.5GHz帯を使用して2020年初頭から南アフリカの主要都市で5Gネットワークの卸売を開始すると発表していた。

南アフリカの携帯電話事業者は、政府の5Gサービスを展開するために必要な帯域の割当てが遅れていることに不満を表している。Vodacomと競合であるMTNはパイロットを開始しているが、商業利用はまだ許可されていない。南アフリカの通信規制当局は2020年4月に割り当てについて概説すると述べている。

データサービスのみを提供する通信会社Rainは、2019年に固定無線5Gネットワークの提供を開始し、高速ブロードバンド接続をヨハネスブルグ周辺で提供している。Vodacomはレソトですでに5Gサービスを開始しているが、南アフリカにおいては5Gを提供する最初の通信会社になる見込み。


【エジプト】フードデリバリースタートアップelmenusがUAEとエジプトのVCからシリーズBで800万ドルを調達(2/5)

エジプトのフードデリバリースタートアップelmenusが、アラブ首長国を拠点とするベンチャーキャピタル Global VenturesとエジプトのベンチャーキャピタルAlgebra Venturesをリードインベスターとする 800万ドルのシリーズBの資金調達を達成した。

elmenusは、AIによるレコメンデーションエンジンを用いて、顧客に適したメニューを提案する。最近オンライン注文と自社車両による配達サービスを開始し、毎月二桁成長を実現している。


【ケニア】フィンテックスタートアップWapi Payが中国携帯電話メーカーTranssion Holdingsのアフリカにおけるシード投資アクセラレーターFuture Hubからシード資金を調達(2/5)

シンガポールとケニアに拠点を置くフィンテックスタートアップWapi Payが、Future Hubからシード資金を調達した。

Future Hubは、中国の携帯電話メーカーTranssion Holdingsが運営する中国による初のアフリカにおけるシード投資と育成を目的としたアクセレーター。中国、香港、ASEANに11億ドルを超える運用資産残高を持つ中国のGobi VenturesもFuture Hubに出資している。

2019年にシンガポールで設立されたWapi Payは、アフリカを拠点とするケニアのフィンテックベンチャーWapi Capitalの子会社。グローバル決済のためのプラットフォーム間の統合や、グローバルアカウントの設定、仮想アカウント(ウォレット)サービスを展開している。Wapi Capitalはアフリカのフィンテック企業の選定でTranssion Holdingsと協業している。


【エジプト】エジプトの家具マーケットプレイスHomzmartがシードで130万ドルを調達(2/6)

家具メーカーとベンダーおよび顧客を結ぶマーケットプレイスを運営するエジプトのスタートアップHomzmartは、中国のMSA Capital、オマーンのOman Technology Fund、EquiTrust、500Startupsなどから 130万ドルのシード資金を調達した。シードラウンドでの調達額としてはエジプトで最高額に入る。

同社は2019年に創設された。顧客の好みにあわせた家具デザインを提示し、それを実際に制作して届ける。同社によると、中東アフリカ地域では毎月2,500万人もの人が家具探しを行っているが、オンラインでの家具販売に本格的に取り組んでいる競合はいないという。


【ケニア】アフリカ最大のeコマース企業JUMIAが自社プラットフォームを用いた広告サービスを開始へ(2/6)

アフリカ最大のeコマース企業JUMIAが、ケニアで広告サービスを開始する。自社プラットフォームをマーケティングチャネルとして企業向けに開放するアフィリエイトサービスで、新たなマネタイズの手段と位置付けている。

JUMIAによると、ケニアのアクティブインターネットユーザーの20%が毎月1度はJUMIAのサイトを訪れている。同社が把握している顧客データを活用し、商品や顧客をターゲッティングした効果的な広告を提案する。

JUMIAはケニアにおける人員整理を発表しており、今回の新サービスの開始は収益源を増やし売上を伸ばすという2020年における戦略の一環となる。同社の2019年第3四半期の売上成長率は19%増の44億5,000万シリング(44億5,000万円)となり、アクティブユーザー数は前年同期の350万人から56%増加して550万人となった。流通取引総額(GMV)は39%増加して306億シリング(306億円)だった。

※1シリング=1.0円(モーニングスター、2/7)


【ケニア】保険会社SanlamとStandard Chartered Bankが提携してバンカシュランス製品であるモバイルアプリベースの葬儀保険を発売へ(2/6)

Standard Chartered Bank Kenyaが、保険会社Sanlam Kenyaと提携して、モバイルアプリベースの葬儀保険商品Farewell Planをリリースした。ケニアで初のモバイルアプリベースの保険プランとなる。保険はSanlamが引き受け、Standard Charteredのモバイルアプリを通じて提供される。

Farewell Planは両親、義理の両親、叔母、叔父、配偶者、子供など、最大6人までを対象に、申請後1営業日以内に、基本的な葬儀費用を即時現金で支払いを受けることができる。保険契約者が65歳の誕生日を迎えた際には免除特約つきの200 万シリング(200万円)の保険金が受け取れたり、遺族へ最大月額55,000シリング(55,000円)で12カ月間となる生活費保証などの特典がある。

ケニアの一般的な葬儀予算は高価であると見なされており、平均的な中流世帯でその費用は約5万シリング(5 万円)から30万シリング(30万円)であり、葬儀のために銀行からお金を借りることも少なくないという。

※1ケニアシリング=1.0 円(モーニングスター、2/7)


【ナイジェリア】アフリカで即席麺を製造販売するシンガポールのTolaram Groupが、ナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、エジプトを候補にデジタル金融事業の開始を計画(2/10)

アフリカでインスタントヌードルのインドミーで知られるシンガポールのTolaram Groupが、同社のグローバルおよび現地のネットワークを活かして、アフリカでデジタル金融事業を開始することを検討している。ナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、エジプトを候補国に挙げている。同社の2019年におけるアフリカのインスタントヌードル事業売上は約10億ドルという。

Tolaram GroupはインドネシアのPT Bank Amar Indonesiaに7,000万ドルを出資しているため、デジタル金融事業のモデルがある。同行は、携帯を用いて融資や預金ができる消費者向けデジタル金融事業の大手で、約30万人の顧客に対して3億ドルに近い融資実績があり、2020年はさらに50%以上の伸びが見込まれているという。

Tolaram Groupがアフリカで行おうとしている金融事業は、通常のクレジットカードや普通口座と同様の金利を備えた伝統的な銀行に近いもので、PT Bank Amarの事例のように規模の小さい既存銀行の買収も検討しているという。

アフリカでは、すでにイギリスの金融グループStandard Charteredが広くデジタルバンキングサービスを展開しており、ナイジェリアではWema Bankによる完全オンライン銀行ALATが存在しているなど、競争の激化が予想される。


【南アフリカ】南アフリカの保険会社Santamがオンデマンド保険のJaSureと業務資本提携(2/7)

南アフリカの保険会社Santamは、オンデマンド保険テクノロジー(Insurtech)企業JaSureに出資、提携した。

JaSureのサービスは、顧客が望む保険を望むときにオンデマンドにオンラインで提供できるもので、たとえば顧客はアプリを通じて、携帯電話やノートパソコン、カメラ、自転車、その他スポーツ用品、メガネ、キャンプ用品や楽器といった携行品に損害保険をかけることができる。保険は特定の期間、個々の品物に対してかけることができ、有効・無効も顧客が切り替えることができる。

この提携は2020年1月1日から始まっており、JaSureはSantamのフルサービスプロバイダライセンサーとして活動する。


【ナイジェリア】産業向け太陽光発電のDaystar Powerが太陽光発電への融資に特化したSunFunderから 400万ドルを調達(2/10)

太陽光発電事業を行うナイジェリアのDaystar Powerが、太陽光発電事業への融資を行うSunFunderから400万ドルを調達した。

SunFunderは、新興国の太陽光発電事業に焦点を当てて融資を行う会社で、アフリカではナイロビに拠点がある。DaystarはSunFunderから融資を受けた最初のナイジェリア企業となった。

現在ナイジェリアのほとんどの企業が、ディーゼルや燃料から生成される従来の電力に依存している。これらの電力は高価であるだけでなく、環境と健康上の危険をもたらす。Daystarのターゲットはナイジェリアの商業、工業、農業で、これらに向けた太陽光発電を供給する。最終消費者ベースのエネルギーコストを20%削減し、ディーゼルの消費を50%削減することを目標とする。

SunFunderはこれまでに、ウガンダのD.light、SolarNow、モザンビークのSolar Works!、西アフリカのPEG Africaなどのエネルギー企業に融資を行っている。

Daystarは2019年3月にベンチャーキャピタルPersistent Energyとナイジェリアの投資ファンドVerod Capital Managementから1,000万ドルを獲得している。さらに同月に、1,500万ドルの融資も得ている。


【ナイジェリア】ナイジェリアの少額融資Aella CreditがシンガポールHQ Financial Groupから 1,000万ドルの融資を調達、Creditcoinベースの商品開発へ(2/10)

ナイジェリアの少額融資スタートアップAella Creditは、シンガポールに拠点を置くHQ Financial Groupから1,000万ドルの融資を得た。

Aella Creditは2015年創業。ナイジェリアとフィリピンで、直接または雇用企業を通じて、貯蓄、保険、融資といった金融商品を、低所得者、起業家、アーリーステージの企業に提供している。

同社は著しい成長を遂げており、過去2年間の年平均ユーザー成長率は674%で、売上は193%増加し、デフォルト率は一桁を維持している。同社は米アマゾンからも、顔認識技術を使って顧客認証やクレジットスコアリングを行うパイオニア企業として認められている。

今後は、事業を地理的に拡大し、また仮想通貨Creditcoinベースの新商品の開発を行う。


【エジプト】エジプトの医療プラットフォームVezeetaがシリーズDとして4,000万ドルをUAEのGulf Capitalなどから調達(2/11)

エジプトのヘルステック企業Vezeetaが、UAEに拠点を置くGulf CapitalをリードインベスターとするシリーズDの資金調達ラウンドで4,000万ドルを調達した。中東アフリカ地域での最大級規模の調達のひとつとなる。他の投資家にはシリーズCラウンドに参加したサウジアラビアのSaudi Technology Ventures、BECO Capital、Silicon Badia、Vostok New Ventures、CE-Ventures、Endeavor Catalystらが含まれる。今回の調達で合計調達額は6,300万ドルとなった。

Vezeetaは2012年に救急車のUber版の事業を創業した。現在は方向転換し、ユーザーに医療機関を検索、予約、評価、およびレビューできるサービスを提供している。患者がUberのように医療機関をスコア評価することで医療機関側に改善を促し、患者と医療機関の間のパワーバランスを是正する。エジプト、サウジアラビア、ヨルダン、レバノンの50の都市で提供されており、年間400万人が受診を予約し、3万以上の医療機関にSaaSソリューションを提供している。サービスの規模は開始当初の3倍になったという。

同社は、今回の調達資金をもって、オンライン薬局や遠隔医療サービスを既存のマーケットおよび新たなマーケットで開始するとしている。


【セネガル】セネガルのMVNO事業者Promobileがモバイルマネーの開始を計画(2/11)

イギリスに拠点を置く通信事業者Sirius Telecomが、セネガルの子会社で仮想移動体通信事業者(MVNO)Promobileを通じてセネガルでモバイルマネーサービスの開始を計画している。

同国ではすでに仏通信会社OrangeのOrange Money、ExpressoのFree MoneyおよびE-Moneyがモバイルマネーサービスを展開している。Promobileはプラットフォーム上での現金送金および電子決済サービスを提供する予定。

Promobileは、2017年に規制当局からライセンスを獲得し、2019年初頭にMVNOとして商業運営を開始する予定だったが、2018年にホストネットワークが MillicomからIliad に変更されたことにより立ち上げが大幅に遅れている。

セネガルは、モバイル金融サービスの強力な潜在市場と見られており、国際送金のWorldRemitは1月にWizall Moneyが提供するモバイルウォレットに直接送金できるようにする契約を結んだばかり。


【ナイジェリア】ナイジェリア政府が投資家保護のためクラウドファンディングへの規制を計画(2/13)

ナイジェリア証券取引委員会(SEC)が、クラウドファンディングへの規制を計画している。中小企業やスタートアップを支援しようとする投資家のリスクを軽減するため。2020年後半の発表が予定されている。

ナイジェリアの中小企業やスタートアップにとって、金利が31%と高い銀行は利用し難く、株式市場への上場や債券の発行などといった他の手段はコストと規制要件が多い。ナイジェリアにはNaijafundやFundanenterpriseといったクラウドファンディングサイトが存在しているが、規制が欠如していることから、投資家にとってリスクが高い。新しい規制はクラウドファンディングを利用した詐欺を排除することも目的としている。

肥料や種子などの農業インプットとトレーニングを提供するクラウドファンディングであるFarmcrowdyは、2016年の開始以来2万5,000人の農家を支援している。


【チュニジア】チュニジアのバイク配車スタートアップIntiGoが30万ドルを調達(2/13)

チュニジアのバイク配車スタートアップIntiGoが、エンジェル投資家から30万ドル以上の資金を調達した。IntiGoはこの資金を使ってフードデリバリーをサービスに追加するという。これで同社が調達した資金の総額は170万チュニジアディナール(6,400万円)となる。

IntiGoは3カ月前にサービスを開始した。50台のスクーターで1カ月に1万1,000回の乗車回数を記録した。価格は従来のタクシーに比べて20%以上安い設定になっている。

現在は首都のチュニスでのみ営業しているが、数カ月以内に他のチュニジアの都市に拡大し、将来的には他のアフリカ諸国に進出することも検討している。

※1チュニジアディナール=0.38円(2/14、モーニングスター)


【ケニア】月額1ドル保険を提供するケニアのスタートアップTuracoが奮闘(2/13)

月額1ドル程度の保険料で保険サービスを提供しているケニアのフィンテックスタートアップTuracoがケニアで奮闘している。現状ではほとんどの少額保険が助成金によって支援されており、有効なビジネスモデルは確立されていないなか、商業的な成功を追求している。

Turacoは2019年に創業した。米投資会社GAN VenturesとベンチャーキャピタルMercy CorpsやMusha Venturesが投資しており、医療費から事故保険、生命保険までをカバーする基本的な保険商品を展開する。同社は現在4万人の顧客を抱えており、顧客数は月 20%の割合で増加しているため、2020年末までに数十万に達する見込みだという。

ケニアの保険加入率は、2018年が7.2%で、2014年の9.1%より減少している。


【ナイジェリア】ナイジェリアのFarmcrowdyが、畜産加工大手Best Foodsを買収し畜産と食肉加工に参入。第2四半期を目処に食肉流通への参入することも発表(2/17)

ナイジェリアの農業スタートアップFarmcrowdyは、同国の畜産加工大手Best Foodsの買収を発表した。畜産と食肉加工事業に参入する。両社は2019年に提携を行っていた。あわせて同社は、2020年第2四半期を目処に、食肉流通へ参入することも発表した。

Farmcrowdyは2016年創業。農家と農家の支援者をクラウドファンディングでつなぐ。支援者は土地や農業投入物や生産へ投資し、生産後にリターンを受け取る。食肉流通への参入し、ナイジェリア南西部における50を超える牛肉と鶏肉市場に供給し、100を超える販売店を管理したいとしている。消費者が食肉をサイトで注文して販売店で受け取るモデルも検討しているという。

Best foodsは、ラゴスを拠点とする創業16年になるナイジェリアにおける畜産加工大手で、日産牛肉120~200頭の加工能力を持つ。


【エジプト】エジプト配送スタートアップBostaが仏物流企業DPD Group等からシリーズAラウンドの調達を達成(2/17)

エジプトの配送スタートアップBostaが、フランスの物流企業DPD groupをリードインベスターとするシリーズAラウンドで7桁の調達を行った。この他の投資家としては2017年後半にBostaに投資したエジプトの決済会社Fawryらがいる。今回の調達により、設立以来4つのラウンドを経て合計17 万ドルを調達したことになる。

2016年に設立されて以来、同社はエジプトの5,000社以上のeコマース企業に様々なタイプのラストマイル配送サービスを提供している。過去1年間で配送数は10倍以上増え、現在1カ月あたり15万件の配送を行なっている。


【ナイジェリア】ナイジェリアの保険会社AIICOが少額年金制度の拡大に向け、第三者が支払いを肩代わりできる“Gift A Pension”をリリース(2/18)

ナイジェリアの保険会社AIICOが、少額年金制度Micro Pension Plan(MPP)を第三者のために購入できるようなイニシアチブを発表した。“Gift A Pension”というイニシアチブで、雇用者が従業員や家事手伝いなどのためにMPPを設定し、定期的に支払うことができるものである。ナイジェリアにおける個人年金加入者を拡大する。

ナイジェリアではインフォーマルセクターで働く多くの人々が年金に加入する余裕がないことから、正式な雇用下で働く人たちが家族または家事手伝いなどの従業員のために少額年金口座に資金を提供することができるようにこのイニシアチブを構築したという。国際通貨基金(IMF)によると、ナイジェリアのインフォーマルセクターは同国経済の約65%を占めると推定している。

ブハリ大統領は、2019年3月にインフォーマルセクターで働く人々向けにMPP制度を立ち上げた。政府は最大3 兆ナイラ(9,000億円)、3,000万人の加入者数を目標として設定している。しかしながら、経済の緩慢な回復やインフォーマルセクターのナイジェリア人の多くにとって優先順位が低いことから、普及は進んでいない。

※1ナイラ=0.3円(モーニングスター、2/20)


【ナイジェリア】ナイジェリアのフィンテックスタートアップRiseが10ドルから始められる米ドル建て投資無料アプリをリリース(2/18)

ナイジェリアのフィンテックスタートアップRiseが、10ドルから始められる米ドル建て投資を提供する無料アプリをリリースした。米国の不動産、株式、ユーロ債への定額ドル投資を可能にする。

Riseは米国とナイジェリアで法人化されており、投資できる対象となる企業にはFacebook、Amazon、Delta Airlinesなどの大手も含まれる。同アプリは直感的に操作できるウォレット機能があり、利用者は銀行口座やクレジットカードを登録していつでも気軽に投資できる。人々の経済状況を安定化させるため、長期投資と資産管理のガイダンスを提供する。ナイジェリアのインフレへの対策にもなる。


【ガーナ】ガーナ国営電力公社が電気代支払いアプリをリリース。人工知能とリモートセンサーを使用した仕組みを試験しており年内実装へ(2/19)

ガーナの国営電力公社Electricity Company of Ghana(ECG)は、電気代支払いアプリをリリースした。

モバイルアプリをダウンロードし登録することで、モバイルマネーを用いて支払いができる。通常の電話の場合でもUSSDを使用して支払いが可能。これにより利用者はいつでも簡単に支払いを行えるようになり、クレジットで家族や知人の分の支払いを援助することもできる。2020年末までに古い電気メーターはスマートメーターに順次取り替えられる予定で、同社はそれまでに顧客総数380万人のうち280万人ほどが使用すると見込んでいる。

今回のリリースにより、電力供給を改善するだけでなく、電気代の回収を効果的かつ効率的に行えるようになると同社は期待している。ECGにとっていわゆる電力盗難は深刻な問題で、今後は人工知能とリモートセンサーを使用した回収方法の導入も計画しているという。システムの試験運用を開始しており、2020年に実装される可能性が高いと述べている。


【ケニア】ケニアの通信会社サファリコムが5Gサービス開始に向けて中国のファーウェイとの契約を検討、米国との自由貿易協定交渉を阻害する可能性が指摘される(2/20)

ケニア最大の通信事業者サファリコムは、2020年中の5Gネットワークサービス開始に向けて、中国ファーウェイとの契約の検討に入っている。

米国政府は安全保障上の懸念を理由にEUの同盟国などにファーウェイの製品を使用しないよう促している。アナリストは、サファリコムが5Gネットワークにファーウェイを採用すると、2020年2月に発表された米国とケニア間の自由貿易協定の交渉を妨げる可能性があると述べている。サファリコム側は、英国が1月にファーウェイ製品の使用を限定的に認めたことを挙げ、同社は株主である南アフリカのVodacomと英国のVodafoneのガイドラインに従うと語っている。

サファリコムは、まずは需要が高い都市を中心に5Gネットワークサービスを開始するとしている。


【エジプト】仏Orangeのエジプト子会社とコカ・コーラエジプトが業務改善や人材管理、物流、サプライチェーン管理およびマーケティングに関する提携を更新(2/20)

仏Orangeのエジプト子会社Orange Egyptとコカ・コーラは、Orangeの通信網を用いたモバイルやアプリサービスや、保有トラックのトラッキングサービスおよび共同での広告活動における提携の更新を発表した。

Orangeが提供するサービスには、業務改善のためのデジタルサービスや配送のトラッキング、製品のサプライチェーンにおけるトラッキングなどが含まれる。コカ・コーラが取引先から電子的に資金回収をできるようにOrange Cashを提供したり、コカ・コーラのエジプト全支店において従業員と顧客に無料Wi-Fiの接続を可能にする。SMSサービスを提供して、既存と新規の顧客に対する
マーケティングキャンペーンを実施する。

Orange Egyptは研究開発部門のOrange Labと協力して、コカ・コーラの人材管理システムを開発した。従業員が給与を確認したり休暇申請を行えるほか、各人の目標数値に対する達成率の管理もできる。従業員と家族に対してOrangeの音声・データサービスが使用できるプランも用意した。


【ナイジェリア】ナイジェリアのデジタルエスクローサービスVesicashがナイジェリアのIngressive Capitalから資金調達(2/20)

ナイジェリアのデジタルエスクローサービスVesicashが、ナイジェリアのIngressive Capitalから調達した。調達資金は顧客基盤の拡大と重要な提携を進めることに用いる。

Vesicashは、P2Pまたはマーケットプレイスの取引を対象に、エスクローサービスを提供している。2018年 11月にプレシード資金で10万ドルを調達している。Ingressive Capitalは、市場参入戦略、販売、マーケティング、パートナーの確保などでVesicashを支援する。

同社のサービスはもともと、マーケットプレイスやeコマースプラットフォーム向けに開発されたが、サービス部門向けのトランザクションが大きなボリュームとなっている。現在はナイジェリアでのみ運営されているが、今後は戦略的なパートナーシップを確保して、西アフリカおよびアフリカ全体の他の諸国に支払いセキュリティソリューションを提供することを計画している。


【ナイジェリア】ナイジェリアのオンライン決済スタートアップInterswitchが米アメリカン・エキスプレスとの提携を発表(2/21)

ナイジェリアのオンライン決済スタートアップInterswitchが、米アメリカン・エキスプレス(アメックス)との提携を発表した。アメックスのクレジットカードはこれまで限られた場所でのみ使用が可能だったが、Interswitchのプラットフォームを用いることでナイジェリアのさまざまな加盟店で利用できるようになり、ATMでの引き出しも可能となる。同時に、Interswitchの加盟店のアメックスネットワークへの統合が促進される。

Interswitchはナイジェリアの観光業を世界とつなぐことをミッションのひとつとしており、ホテル、レストラン、クラブ、ラウンジ、旅行代理店、観光といった旅行業やエンターテインメント業および外国や国内のカードを支払いに取り入れたい企業に特に重点を置くとしている。


【ケニア】ケニアのB2BスタートアップSokowatchがシリーズAで1,400万ドルを調達(2/23)

ケニアのB2B eコマーススタートアップのSokowatchが、シリーズAラウンドでベンチャーキャピタルQuona Capitalをリードインベスターとする1,400万ドルの資金を調達した。この他の投資家にはAmpllo、Breyer Capital、Vertex Ventures、Timon Capital、4DX Venturesらが参加した。

同社は、小規模小売店と国内企業およびユニリーバ、P&Gなどの大手多国籍サプライヤーとを繋ぎ、注文、支払い、配送、物流をデジタル化するプラットフォームを提供する。

同社は2016年に設立し、2018年にシードラウンドで200万ドルを調達している。この間、ケニア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダと事業を拡大してきた。今回の調達資金は運転資金やデータ分析などの顧客サービス拡大に用い、アフリカの他のマーケットへの進出も目指す。近い将来におけるB2C事業への参入意向も示唆している。


【エリトリア、南スーダン】Liquid Telecomがエリトリアの通信市場への参入を計画。南スーダンには光ファイバーの設置を完了したと発表(2/25)

Liquid Telecomは、エリトリアの通信市場に参入する計画を発表した。

エリトリアのモバイル普及率はわずか20%であり、人口352万人のうちモバイルサービスを利用できるのはわずか71万1,000人となる。インターネットの普及率はわずか8.3%。エチオピアに続くアフリカ最後の通信市場であり、Eritrea Telecommunications Servicesが唯一事業を行っている。国の電気通信部門の自由化の必要性について世界銀行から何度か要請があったものの、市場を開放するのに時間がかかっている。

Liquid Telecomはあわせて、南スーダンのジュバに光ファイバーを設置し、ブロードバンドサービスの提供を開始したと発表している。ウガンダ国境から南スーダン首都までの300kmのファイバーバックボーンを含む契約で、南スーダンの1,300万人が利用できるようになるとみられる。

Liquid Telecomは、現在18か国でファイバーネットワークを運営している。南アフリカのケープタウンからエジプトの首都カイロ、ポートスーダン州からカメルーンおよびナイジェリアへのケーブルが含まれる。ケープタウンからコンゴ共和国の首都キンシャサへのケーブル1本が2020年後半に稼働する予定という。


【モーリシャス、ガーナ、タンザニア、ウガンダ、ケニア、ザンビア】アフリカのフィンテック会社JUMOが、ゴールドマンサックスなどから5,500万ドルを調達(2/25)

2014年に南アフリカの起業家によって設立され、モーリシャスに登録されているフィンテック会社JUMOが、ゴールドマンサックスなどの既存の投資家や新規投資家からの借入れと株式により、5,500万ドルを調達したと発表した。同社は2018年にはゴールドマンサックスやイギリスのOdey Asset Managementなどから6,450万ドルを調達している。

同社は、金融サービス会社および携帯通信会社と提携して、パキスタン、ガーナ、タンザニア、ウガンダ、ケニア、ザンビアの6カ国で融資および貯蓄サービスを提供している。2019年11月には6カ国であわせて1,500万人以上の顧客にサービスを提供し、2014年の創業以降、18億ドル以上を融資してきたと発表している。

今回の調達資金は新市場への拡大と新製品の発売に活用される。2020年中にナイジェリア、コートジボワール、インドに進出することを計画しているという。


【ナイジェリア】ナイジェリアのUnited Bank for Africaが給与振込口座指定の顧客に対し、急な資金ニーズに応える貸出サービスClick Creditを開始へ(2/25)

ナイジェリアのUnited Bank for Africa(UBA)が、給与振込口座指定をしている顧客に対して、急な資金ニーズに対応するためのローンサービスClick Creditをローンチした。ナイジェリアで開始し、今後アフリカの他の国でも展開する。

Click Creditでは、最大500万ナイラ(150万円)の融資を即日提供し、月々1.58%の金利で12カ月間で返済する。18歳から59歳までの月額2万5,000ナイラ(7,500 円)以上の給与所得者は、追加料金なしでサービスを利用できる。UBAのモバイルバンキングLEO及びUBAインターネットバンキングを通じて、書類なしで簡単に申し込める。

UBAはアフリカに1,000以上の営業所を持ち1,900万を超える顧客にサービスを提供している。

※1ナイラ=0.3円(モーニングスター、2/27)


【エジプト】通信会社Orange Egyptがエジプトのバス会社Mwasalat Misrに運行管理サービスの独占契約を締結(2/28)

通信会社Orange Egyptは、エジプトのバス運行会社Mwasalat Misrにバス運行管理サービスを提供する独占契約を締結した。

このサービスでは、各バスに設置されたカメラを介してバスをモニターすることができ、乗客数の確認やトラフィックの追跡ができる。トラッキングサービスのエジプトETTT社と提携し、その車両管理サービスを通じてバスを適切に配置することも可能となる。

また、Orange Egyptはバス内とバス停において無料のWi-Fiサービスも提供する。さらに、Orange Egyptの支店でMwasalatyカードを販売し、Orangeの顧客向けのロイヤルティプログラムポイントでMwasalatyカードの購入やチャージを有効にすることも検討している。顧客向けマーケティングで協働したり、乗客にOrange Cashによる電子決済サービスを提供することも目指す。


【中央アフリカ、アフリカ全般】仏通信事業者Orangeがアフリカの接続需要に応えるため、人工衛星SESの次世代中軌道衛星通信システムO3b mPOWERと接続へ。まずは中央アフリカで運用開始(2/28)

アフリカ18カ国で事業を展開する仏通信事業者Orangeが、アフリカにおける接続需要に応えるため、ルクセンブルクに拠点を置き人工衛星の運用を行う企業SESの次世代中軌道(MEO)衛星通信システムO3b mPOWERを自身のネットワークに統合する。通信会社で初めて。まずは中央アフリカで開始する。

O3b mPOWERは、世界で唯一の非静止軌道(NGSO)ブロードバンドシステムである。地球からわずか8,000キロ離れた場所に位置し、既存の地上ネットワークにシームレスに統合できる低遅延の高スループットソリューションを実現する。2022年に稼働予定で、世界中に複数テラビットのスループットを提供し、あらゆる場所でデジタル変換とクラウドの採用を促進するとみられる。

Orangeは同社の中央アフリカ子会社Orange Central African Republicを通じて、SESのMEOおよび GEO(静止軌道)衛星を利用した世界で唯一のマルチオービットネットワークを活用し、国内のリモート地から首都バンギのコアネットワークに2Gおよび3G接続を集約する。

O3b mPOWERの活用は、他の地上通信インフラと連携しながら遠隔地やサービスが不足している地域を経済的に接続する鍵となるとみられている。


【ベナン、南アフリカ】通信会社MTN Beninと配車スタートアップGozemが提携し、データを使用せずに配車が可能となるサービスを開始。MTNモバイルマネーでの支払いも可能に(2/28)

南アの通信会社MTNのベナン子会社MTN Beninと、西アフリカおよび中央アフリカで配車事業を行うGozemが提携を結び、MTN Beninの加入者は携帯のデータ接続を使用せずにGozemのアプリから自動車、二輪車、三輪車を呼べるサービスを開始する。MTNを使えばGozemを使うデータ料金へのコスト負担が軽減されることとなる。

あわせて、モバイルマネーでも提携する。Gozemユーザーは、MTNのモバイルマネーサービスMTN Mobile Moneyを使用してGozemアプリ内で簡単に現金のトップアップができ、ドライバーへの支払いもモバイルマネーで行うことができるようになる。


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