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アフリカ業界地図・ケニア編(ケニアの産業実態と現地パートナー候補)

アフリカで事業を行うとき、困ることのひとつが「現地にどのような企業がいるのかわからない」ことです。いや、その前に「うちの業界・産業ってアフリカにも存在しているの?」というところからかもしれません。

日本だと、業界の全体像を捉えたり、シェアの高い主要企業を把握するために、東洋経済日経がだしている「業界地図」のようなものを見る人も多いと思います。業界地図に書かれている内容は、ビジネスパーソンの基礎知識といえます。

アフリカにおいて同じ役割を果たすものを作れないか?ということで、まずはケニアの3つの業界について、業界地図を作りました(JICAケニア事務所から弊社アフリカビジネスパートナーズへの委託)。

3つの業界は、日本企業からの問い合わせも多く、ケニアの経済成長にとても重要な農業と製造業に貢献できる、「農業ビジネス」「化学工業」「機械・機器販売」をとりあげています。

ここでは、その一部をご紹介します。レポートのすべては、以下から無料でみることができます。

ケニアで事業を行う多国籍企業やケニア出自企業との取引、すなわち事業構築、新規事業の開始、原料や中間財、完成品の輸出販売、提携、協業、技術供与、投資などを目指す日本企業は少なくないものの、産業の全体像を把握し、具体的に取引先や販売先になりうる主要企業の情報を得ることが、ひとつの障壁となっている。本調査は3つの産業を取り上げ、その産業のなかでも日本企業にとってとくに有望な領域について、ケニアでどのような企業が事業を営んでいるかを紹介し、あわせて、企業の進出や事業運営に影響を与える外部環境やサプライチェーンについて情報を加えることで、日本企業が事業を進める際の手がかりとなることを目指している。

本文(アフリカ業界地図・ケニア編2022年版)まえがきより

農業ビジネス

アフリカ業界地図・ケニア編2022年版より

ケニアにとって農業は、GDPの23%、総雇用の54%、輸出額の65%を占める重要産業です。日本にとっても、農機やポンプなど農業資材、種子、農薬は産業規模が大きいですし、収穫量の向上やフードロスの改善、農産物加工技術の向上といった領域は日本の経験が活かせる分野です。

アフリカの農業は、商業化した何十、何百、何千ヘクタールを保有する少数の大規模農家と、多数の小規模農家で構成されています。日本も実は、北海道を除くと平均耕地面積が2.2ヘクタールと比較的小さい面積の農家が多く存在する国です。それにあわせて構築されてきた農機や農業サービスが、アフリカに適用できる面もあります。また、バラや紅茶、コーヒーといったケニアの農産物は、すでに日本へ輸入されています。

日本企業でも、農機を販売するクボタや豊田通商、肥料工場を持つ豊田通商など、ケニアの農業ビジネスに関わっている企業がいます。

レポートでは、以下それぞれについて、業界の概要、規模、サプライチェーン、主要現地企業を解説しています。

・農業資材商社(種子、農業化学品、灌漑機器、その他農業資材)
・肥料メーカー・肥料卸
・農機・農機代理店
・輸出花卉、野菜農家
・穀物パッカー

化学工業

アフリカ業界地図・ケニア編2022年版より

化学工業は、日本にとって自動車に次いで2番目に大きな付加価値額を生み出す製造業であり、日本の化学製品出荷額は世界第4位です。重化学工業から日用品メーカー、専門卸などが、大企業から小企業まで存在する、裾野が広い産業です。

すでに日本の化学原料や合成樹脂、化学品は、ケニアのメーカー向けに原料として輸出されています。アフリカの女性がみなつけているヘアエクステンション用の原料を、化学メーカーのカネカが輸出していることは有名ですね。

ケニアの化学工業は、消費財よりのメーカーが多く、レポートでは以下の領域を取り上げています。

塗料では関西ペイントがケニアに工場を持っており、おむつではユニ・チャームが販売を行っています。

・日用化学品メーカー
・プラスチック・パッケージメーカー
・塗料メーカー
・おむつメーカー
・ヘア製品メーカー

機械・機器販売

アフリカ業界地図・ケニア編2022年版より

いっけん地味な機械・機器販売。実は日本には、グローバルニッチトップと呼ばれるような、その業界の人なら誰でも知っている機械・機器メーカーがたくさん存在しています。

たとえば、椿本チェイン。工場で使われるコンベアチェーンの世界大手です。椿本チェーンは何十年も前から、ケニアに代理店を設置して商売をしています。

ケニアの人たちも、業界関係者は、こういった日本の業界トップ企業を必ず知っています。ところが、大半の日本企業は現地の代理店をもっていません。私が現地の工場を回ると、「どうやったら日本企業の製品を買うことができるのか」という声をたくさん聞きます。

どうやらネットで検索して、日本のメーカーにメールを書いて問い合わせをしたりしているらしいのですが、反応が冷たいことが多いようです。日本メーカー側からすると、現地に代理店もない国は、メンテナンスなどを考えても販売しづらいですからね。

そういうときに、反応が良いのが中国企業で、日本から買いたかったけれども仕方なく中国から輸入している人たちも多くいます。アリババの存在も大きく、アリババとWechatのやりとりで商売が成立しています。

ケニアでも飲料や穀物加工などもっと大手のメーカーでは、自動化や高度化が進められています。ICタグやIoT化も進行中。これら大手では、使用する機械も世界と同じ水準のものを使うため、世界のトップ機器メーカーはケニアに法人や拠点を持っています。独ボトリング機械大手KHS、独ボトリング機械大手Krones、仏ボトリング機械大手でテトラパック子会社のSidel、独粉機大手Buhlerや独製造機械大手GEAなどです。ケニアにおいてもすでに世界と同じ競争が始まっており、日本の機械メーカーの競合は先んじて顧客を捕まえにいっています。

レポートでは以下の領域を取り上げました。日本企業では、東芝、NTN、ジェイテクト、SMC、島津製作所、イシダ、ホシザキなどを記載しています。

・機械部品メーカー
・搬送部品
・ユーティリティ
・制御・FA機器
・食品加工機械
・検査・計量機器
・包装機械
・コールドチェーン


内容へのご質問や、取り上げた現地の企業に連絡をとりたいときなどは、こちらからお問い合わせください。業界地図とレポートは、以下から無料でダウンロードできます。


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