【毎週更新(11月28日更新)】アフリカにおけるコロナワクチン・感染者最新の状況
アフリカにおける新型コロナウイルスの感染状況について最新データをまとめます。
更新日: 2022年11月28日(今回で更新を終了)
(写真はナイロビで消毒車が回っている様子、2020年4月、ABP撮影)
*このページは、弊社ホームページに掲載していた内容を移動したものです。*2020年当初からのアフリカのコロナ感染に関する情報は、下記リンク先にまとめてあります。
【アフリカ大陸全体の感染状況(11月26日時点)】
(1)アフリカ各国の入出国規制および国内行動規制(11月26日時点)
日本政府が新たな水際対策措置を発表し、10月11日から運用を開始しました。感染が疑われる症状がある帰国者・入国者を除き、日本入国時の検査や入国後の待機は求めず、代わりに全ての入国者に対して「有効なワクチンの接種証明書*」又は「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書」の提出を求めています。発表内容はこちらをご確認下さい。
*「有効なワクチン接種証明書」の有無とは、こちらに定義されたワクチンを3回接種しているか否かという意味です。
アフリカに入国または出国する際の規制と国内での行動規制に関しては、以下にまとめました。現地の日本大使館が発出している情報を優先し、他のソースで補足しています。リンク先は随時最新のものへと更新しています。
アフリカでは現在、ガボン、コンゴ、ベナン、カーボベルデ、セネガル、アルジェリア、エジプト、南アフリカ、エスワティニ、ボツワナ、ナミビア、レソト、エチオピア、エリトリア、モーリシャス、ソマリア、スーダン、マダガスカルの18カ国が、ワクチンの接種証明、PCR検査証明といったすべての入国制限を撤廃しています。
なお、いくつかの国への入国時または日本から出国する際の航空会社のチェックインカウンターでワクチン接種証明として提示を求められる、Global Haven Partnershipの入力リンクは以下となります。アカウントを作成し、ご自身でこれまで接種したワクチンの情報(メーカー名、バッチナンバー、接種日)を入力することで、接種証明書が作成されます。
https://globalhaven.org/
(2)新規感染者数の推移(11月26日時点)
アフリカ全体で、毎日に新たに確認された感染者数です。赤線は7日間移動平均の推移です。日々どの程度の数の感染者が見つかっているかがわかります。
現在のアフリカ全体(人口12億人)の1日あたり平均感染者数は900人台~1,700人台で、先週の1,100人台~1,400人台から増加しています。
今週アフリカで「この1週間の検査陽性率」が二桁台に達したのはマダガスカル(22.4%)のみで、先週の8.3%から増加しています。
マダガスカルに次いで今週の陽性率が高かったのはケニア(9.5%)で、先週まで2週間連続の二桁台でしたが一桁台に低下しました。
以下は、2021年5月以降を対象としています。
以下は、コロナが発生した2020年2月以降の感染者数の推移です。
主要国の感染状況を見てみましょう。
南アフリカの1日あたり平均感染者数は、今週は400人台~500人台で先週と同水準となっています。
ナイジェリアは、感染者数の発表間隔が週に1~3回となっています。今週の感染者数は0人となっています。なお先週は50人と発表されています。
エジプトは、感染者数の発表間隔を週に1度とすることを発表しています。今週の感染者数は11人で、先週の8人と同水準となっています。
ケニアの1日あたり平均感染者数は、今週は60人台~80人台で、先週の100人前後から減少しています。
エチオピアの1日あたり平均感染者数は、今週は20人前後で先週と同水準となっています。
モロッコの1日あたり平均感染者数は、今週は100~150人で、先週の100人前後から増加しています。
チュニジアは、感染者数の発表を週に一度としています。今週の感染者数は192人で先週の97人から増加しています。
(3)新規死亡者数の推移と致死率(11月26日時点)
アフリカ全体で毎日新たに確認された死亡者数です。赤線は7日間移動平均の推移です。日々どの程度の死亡者が増えているかがわかります。過去8週間を対象としています。
アフリカの1日あたり平均死亡者数は、2022年3月以降は12億人の人口を抱える大陸全体で二桁台と低い数値で推移し、さらに2022年9月以降は概ね一桁台で推移しています。
致死率(累積感染者における累積死亡者の比率)を色分けし地図にすると以下のようになります。
アフリカ大陸全体における現在の致死率(これまでの総死亡者数/総感染者数)は2.1%です。
(4)アフリカ各国の国別基礎データ(11月26日時点)
55カ国それぞれの基礎データをまとめています。
百万人あたりの感染者数をみれば、その国でどの程度感染が広がっているのかがわかります。あわせて百万人あたりの検査数を比較すると、検査の進捗とともに感染者の発見が増えているのか、それ以外の理由なのか、推測が可能です。
百万人あたり死亡者数は人口あたりの死亡者の数です。国によって検査方針や感染者の発見率が違うと前提して、感染者として発見されるか否に関わらず、その国でどの程度コロナウイルスによる死亡者がでているかを測ることができます。死亡者DT(倍加日数)では、死亡者が増加するペースを把握することができます。致死率は累積感染者における累積死亡者の比率です。直近致死率は、2週間前の新規感染者数に対する今週の死亡者数の割合で、直近で増えた感染者のうちどの程度が亡くなったかを示します。
ワクチン接種者数は実数で、百万人あたり接種者数は人口に対する接種比率です。1回目接種数と2回目完了数に分けて記載しています。
表はクリックすると拡大します。
出所:
感染者数、死亡者数: Johns Hopkins University
検査数およびアフリカ以外の国の感染者数、回複数、死亡者数、ワクチン接種者数: Worldometers
DT: 直近7日間の感染者の増加率を元に算出。感染者が倍になる日数を示す
(5)ワクチン接種・入手状況(11月26日時点)
アフリカにおけるワクチンの接種状況と入手状況をまとめています。
まずは接種状況についてみてみましょう。アフリカの多くの国は1回目の接種の最中にあります。1回目接種の接種人数について多い順に並べたのが左です。百万人あたりの接種人数の上位20カ国を並べたのが右です。すべての国の接種者数は、「(4)アフリカ各国の国別基礎データ」に、1回目のみと2回目完了者に分けて掲載されています。
ナイジェリアが約6,400万回、エジプトが約5,400万回、エチオピアが約4,300万回、タンザニアが約2,800万回、モロッコが約2,500万回、南アフリカが約2,200万回の接種を終えています。接種率でみると、セーシェル、モーリシャス、ボツワナ、モザンビーク、ルワンダ、モロッコ、カーボベルデ、リベリア、チュニジア、サントメ・プリンシペの10カ国は、人口の60%以上が1回目接種を終えました。
アフリカ全体でみたときの1回目接種率は35.0%で、2回目接種完了率は28.5%となっています。
ワクチンの1回目を接種した人の割合(1回目接種率)を地図にしました。多くの国が20%を超えています。
アフリカのワクチン入手は、COVAX(途上国に公正にワクチンを配布するための国際的な枠組み)から得るか、二国間の寄付で得るか、独自に購買するかです。当初はCOVAXからの調達が主でしたが、ここしばらくは寄付による調達が増えています。アフリカに向けてとくに多くの寄付を行っているのが中国と米国です。
中国は、オミクロン発生を経てさらに販売や寄付ワクチンの量を増やしており、約2億7,000万回分を供給済みです。米国は約1億9,000万回分をすでに届けています。加えて、欧州各国などがアフリカ向けにワクチンの供給を行っています。
アフリカでワクチンを製造する動きもはじまっています。南アフリカでは、製薬会社AspenがJ&Jから原液供給を受け、充填などの最終工程についてのみ現地で製造を行っています。同社は2021年末にJ&Jから販売ライセンスも得ています。
エジプトでは、エジプトのVACSERAがシノベックから原液供給を受けて同じく最終工程の製造を行っています。アルジェリアのNeighboring Algeriaも同じくシノベックから原液供給を受けて製造を行っています。
モロッコではSothema(Société Thérapeutique Marocaine)が中国シノファームから原液供給を受けて月産300万回分を製造しています。モロッコはスウェーデンのRecipharm等から投資を受け、2024年までに1億1,600万回分のワクチン充填ができる工場の建設を開始しました。
ファイザー/ビオンテックは、南アの製薬会社Biovac Instituteとコロナワクチンの最終工程の製造を行うことに合意し、2022年9月に製造が開始されています。ビオンテックはこれとは別に、mRNA技術を活用して、コロナワクチンだけでなくマラリアワクチンや結核ワクチンも含めて現地生産するとして、ルワンダ、セネガルと合意しました。ルワンダでは、2022年6月に工場の建設が開始されています。
ビオンテックは別途、輸送コンテナを使ったモジュラー型設備によるワクチン製造の開始を、ルワンダ、セネガルおよび南アフリカで検討しているようです。モジュラー型設備によるワクチン製造設備については、日本の森松工業が中国法人を通じて開発しており、モロッコがすでに導入を決定しています。
モデルナは、原液の製造も含めたmRNAワクチンの製造を検討していたところ、3月7日にケニアの製造工場へ投資すると発表しました。コロナおよびコロナ以外のmRNAワクチンについて、原液製造を含む製造を年間5億回分行うことで合意しています。
WHOは、製薬メーカーから技術の移転を受けてアフリカなどでコロナワクチンを製造することを目指し、ワクチンの商業生産技術と臨床試験施設を低中所得国に提供する仕組みであるTechnology transfer hubs(技術移転ハブ)を立ち上げています。しかし、肝心のファイザー、ビオンテック、モデルナの各社は技術提供を断っています。そのため代替案として、WHOは南アフリカの製薬会社Afrigen Biologics and VaccinesとBiovac Instituteのコンソーシアムが、モデルナの公開情報を元に独自にmRNAコロナワクチンを製造できるよう後押ししています。
すでに開発は進められており、2022年内に臨床試験を開始する予定です。開発が成功すれば、これに基づきエジプト、ケニア、ナイジェリア、セネガル、チュニジアでも製造を行う計画となっています。
エジプトでも国産ワクチンの開発は行われており、EgyVaxがすでに臨床試験を開始していますは、エジプトは、中国シノバックから原液供給を受けた最終工程のみの製造と供給はすでに行っています。
アフリカのコロナ感染状況などへのご質問お問い合わせは、以下までご連絡ください。
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