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天ぷらそば12杯食った話

2021年。

暖かいのか? 寒いのか?
そうして秋が始まったそんな頃。
とある資格を取得するため僕は講習に通うことになりました。

十数回。淡々と終わった講習ですが、久方ぶりに体験した座学と天ぷらそば食べた思い出をなんとなーく覚えておきたいなと思ったので書こうと思いました。

いやほんとに大した思い出でもないのです。
天ぷらそばを食べて適当に散歩したお話。

緊張の教室

講習にはエプロンが必須でした。
完全に忘れてました。

気持ち早めに家を出て、現地のコンビニ、スーパーを頼りにわずか20分、エプロン探しの旅が始まります。
時刻は午前9時。スマホでいくら売ってる場所を調べてもホームセンターか100均しか出てこない。
焦りに焦った初日。

なぜか近くに作業服のお店があったので飛び込みダイブ。
一番違和感のない黒布のエプロンを購入しました。

あとから気付いたんですけど、なんだか前掛け部分の位置が低くかったせいで、僕一人、武器商人みたいな格好になってました。なんや鉄でも打つんか。

は?

教室に入ると、すでに全員が着席している状況でさすがに焦るよね。
なんか先生も喋っていたので「俺遅刻したんか?」とか思うよね。いやしてなかったんですけど心臓バクバクだよね。ね?

そうして空いていた3列目左側の席に座りました。

『最初に座った席が自分の席だよね?
いや別に自由席なんだけど、まぁ嫌がる人もいるのかもしれないかな? いや一応、前に座った席に座っとこう!!!!安心!!!』

そんな日本人らしい考えからか、結局、最後までそこが自分の席になりました。たぶん他の人も同じく。
しかし僕がギリギリに(それでも15分前)来るためか、振替で別教室からやって来た人によく座席が取られていました。
まぁ自由席だしいいんですけどね。
ちょっとだけ、まじでちょっとだけ困ったりもしちゃったりなんかしちゃったりして。
「やっべ…どこ座ろうかな…」そんな友達いない奴ムーブをかましていました。

昼食・なにを食べる?

お昼休憩は1時間。
教室でお弁当を食べる人が多い中、僕は羽を広げるため、外に出てみた。

見知らぬ土地。繁華街。商店街。
街を行くビジネスマンと酒呑みたち。

そば…食いてえな…(安くて時間もかからないし)

近くにある商店街へ足を踏み入れます。
そば…。
違う…これも違う。

そしてついに現れた『都そば』

えび天そばひとつ。と注文して立ち食い席に行き、いざ実食。

立食い系そばチェーン

そばは別に高いお店じゃなくても良い。
安くてもそれはそれで好きだから。

アホほど麺がのびてても良いんです!
とんでもなく熱いおだしがそれを打ち消すほど最高だから!
立食いそばチェーンはもうこれに尽きるのです…。

人を殺せる温度のおだしは身体を健康にします(?)

そこに天ぷらを浮かべて衣を崩し、食べるのが好きだ(告白)。ほんと好き。

昼休憩後半戦

残った時間でコンビニに。

眠気覚ましにエナドリ…
しかし蓋がついているものでないと授業中に飲めないので、普段は飲まないRed Bullを購入。
それと気休めでも頭が回るように糖分をとスニッカーズminiを購入。

行列のできてるラーメン屋を通りすぎて教室に戻ります。
念のためお手洗いに行っておいて、自分の席にて約15分のエナジードリンクとスニッカーズによるティータイムを繰り広げ、午後の授業が始まります。

繰り返す日々

大体週に1~3、朝から夕方まで講習。
変わらず昼はえび天そばを食べて、教室で15分のティータイムをする。
変わったことがあるとするなら、Red Bullを朝に買うようになったことくらいだと思う。

そうやって個性的なクラスメイトたちと共に講習を受けていました。
授業態度はお世辞にも良いとは言えませんでしたが、あまり取り繕った態度で授業を受けなくてもいいような、良く言うとやわらかい教室の雰囲気というのは個人的に楽だったかな、と今更ながら思います。

雨の日は一度もなく、朝一の電車に揺られて、駅につくとRed Bullを決めつつ教室へ行き、眠気に耐えながら自由奔放な発言をする受講者と共に講習を受ける。
昼は心地のよい涼しさの中、ふらっと都そばへ。基本は変わらず同じ立食い席で熱いそばをすする。

えび天の衣を崩してだしに馴染ませ、七味をたっぷりかけてから、熱々のだしをすすり、YouTubeで見取り図ディスカバリーチャンネルを見る。

そんで決まってそば屋のおばちゃんは店を出る前にとても優しい声でありがとうと言う。
マニュアルのありがとうはその前にある。食器を返却した時。
この最後のありがとうはなんだかとても心に染み入る。たぶん優しさ的な何かが。
僕は腹も心も満たされて、コンビニでスニッカーズminiたったひとつだけを買って、少し遠回りで教室に帰る。

とにかく毎回、心地の良い気温だった。10月でも寒くない。ほのかに涼しいような。
食後の散歩。これがお決まりになっていた。

教室に帰ってから、スニッカーズminiをもちゃもちゃ食って、アホみたいにTwitter眺めて、それからほんの少しだけ気合を入れて、午後の授業が始まる。

それを12回。

最後のえび天そば

講習も残り2日。そんなとき、いつもように訪れた都そばですが、初めての事態が起きてしまいます。

「ああ、ごめんね。えび天いまないわ」

えび天……。ふいを突かれたように、口をぽっかり開けていると、

「かき揚げとか丸天(丸い衣だけの天ぷら)ならあるけど?」

それじゃあ丸天で……。
熱いそばには天ぷら必要過激派の僕としては天ぷらは必須なので、講習期間中はじめて、丸天の天ぷらそばをいただくことに。

身がないぶん、サイズが大きく、たっぷり吸った油の味がだしに染みわたって……これはうまい!
熱いそばにはやっぱ天ぷらだぜ! とすすりあげ、その日の昼食は終了。

翌日。講習最終日。
えび天は……あった。「すいません、えび天そばひとつ」
ここの都そばも今日で最後かぁ。と思うと、自然に丸天を追加注文していた。

えび天&丸天そば。
天ぷら祭が開催されている。最高だ。正直、無駄に贅沢なんだがこれくらいはもうどうだっていいだろ。いえい。

やっぱりうまい。熱々おだしはやっぱ良い。
日によって濃さが違ったりもしたけど、まぁなんか良い思い出……だと思う。少なくとも思い出のひとつであることは間違いない。

最後だからってこれまで以上においしく感じたとかそんなのはないが、天ぷらが2つ乗った、若干特別な天ぷらそばは最後にふさわしかったと思う。

最後にふさわしいそばって何なのかはわからんけど。

そして食後はスニッカーズminiを買って、同じように教室へ。
これまでと同じように時間が進む。

講習のために通った初めての街。
治安は悪そうだったけどにぎわっていた。なんか人気のラーメン屋とか中華料理屋とかあったので、毎回へーこんなお店があるんだ。と感心するだけしてそばを食っていたけれど、知らない街は些細ではあるが刺激をくれる。

食後の散歩は気持ちよかったし、そば屋のおばちゃんは優しくありがとうと言ってくれたし。
教室の生徒は気の良い人たちばかりだった。先生もすごく優しく熱心な人ばかりだったと思う。

もう会うことはない。……おそらく。

あの都そばを食べることもない。……たぶん。

最初に書いたように、たったこれだけの些細なお話だが……。
特別じゃないけど、なんだか少し頭の片隅においておこうかな。そんな程度の僕の思い出でした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さまにとってもそんな思い出はありますでしょうか?

些細な出来事がどうにも記憶に残ってしまう。
特別じゃない思い出。なんででしょうか。

日常の中に存在する、言葉にできない幸福というものの所為か……はたまたなにかの錯覚か。
これをきっかけに少しでもそんな思い出を思い出せたら、少しだけノスタルジーに浸ってみてはいかがでしょう。
無駄な思い出。それもきっと自分の中では何か大事な要素があるのだと思います。たぶんそうです(無責任)。

よし。

それではッ! (いきなり終わる)


<他にも色々な思い出あります>


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