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繰り返す同じミスは直るのか?

 かれこれ15年くらい前になるけど、草野球をやってた時分があった。20代後半で東京に居て結婚前で、毎週土曜日の野球のためだけに生きているような日々だった。で、たいてい野球後に、遅めの昼飯だったり早めの晩飯のような感じで、みんなでわいわいご飯を食べていた。よくよく練馬あたりの牛角の16時オープンに合わせて入店していた記憶がある。当然会話は自分たちの野球だったりプロ野球やMLBの話が多いのだが、20代後半で仕事も熟れてきて後輩や部下ができ視野が少し広くなりはじめる頃ともあって、仕事の愚痴や不満を口にすることも徐々に増えていった。そんな中で、なぜか15年経っても覚えていることがある。

 ファーストを守る北海道出身の背の高い彼は、いつもいつもまったく同じミスをする同僚か後輩を愚痴っていた。「この前も注意したけど同じじゃん」と言うと「はあ、そうでした、スイマセン」と言い訳も毎回一緒だと。「メモしといて」と言うと、渋々メモするのだがそのメモしたノートをどこかに失くしてしまう始末。そういうダメな奴はいるいると、僕らも同調するのだが、「でもさ、結局人って同じようなミスしかしないんだよね」と、急に一歩引いた意見をファーストの彼は述べはじめた。「同じ人間なんだから、うっかりするポイントや気にしないポイントも同じ。あいつも昔から同じようなことを学校の先生にも言われてたと思うんだ。俺も毎回同じように注意してるけど、2~3回指摘して直らないならもう一生直らないと思う。あいつは、そういうミスをする人間として出来上がっちゃてるんだ」と達観したようなことを言って、「なるほど、その通り!」と一同の共感を得ていた。

 で、確かに自分のことを振り返ってみると、起こしてしまうミスというのはたいてい同じような傾向がある。特定の作業に関しての「めんどくさくて確認を怠る」傾向が強い(めんどくさくてもしつこく確認するのことが大半なのだが)。また特定の部署に関わる提出物もいつも似たような見落としがある。どうやっても直らない。その度に、言い訳でもあり、自分への慰めでもあるかのように先のファーストの彼の言葉を思い出す。「2~3回指摘して直らないならもう一生直らない」。

 まあ今の世の中、人が作業をするからミスが起こる、だから機械(ツール)にやってもらえば良いという解決策もあるので、なるべく人の手を加えず、自動化できる環境をつくることも可能だ。人間は人間にしかできない仕事をすればいい、人はその人が得意とする仕事に専念すればいい。とはいえ、どうしてあんな単純な見落としが無くならないのだろうか。人間だもの、ってことで片付ければいいか。

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