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おっちゃんらの居場所

#日本一小さな百貨店の物語

つねよし百貨店の横にはおっちゃんらの居場所があります。

雨の日も風の日もほぼ毎日、近所のおっちゃんらが集まっておしゃべりしたり、ジュース飲んだり、タバコしたり、自然と集まる場所。
百貨店の営業日はもちろん、定休日の火曜日も日課のようにおっちゃんらは来てくれて、

「もしもし、今日休みやけど、お客さん来とんなったで」

と、わざわざ携帯に連絡してくれることもありました。

いまでこそ、当たり前のようにおっちゃんらが集まる、つねよし百貨店の顔のようなコーナーなんですが、実は、つねよし百貨店として再開した当初は「こんなところにイス置いても誰も来ないんちゃうやろか?」と思っていました・・・

2012年8月、15年の営業に幕を閉じた「常吉村営百貨店」。

地域の暮らしを支えるためにおっちゃんらが立ち上がって始めた常吉村営百貨店。最初は百貨店の入り口正面のすぐ横に机とイスがあって、そこがおっちゃんらの居場所でした。
毎日そこに通ってはおっちゃんらが店番をしながら百貨店を守ってきました。

15年の歳月が過ぎ「村営百貨店」としての営業を終えて新たに「つねよし百貨店」として再開する際、この場所をどうしようか、みんなでいろいろ悩みました。

お店の入り口近くにおっちゃんらがいてお客さんが買い物に来るたびにジロッと見られるのって、どうしても女性や他のお客さまの足を遠ざける。

でも、この場所はずっと、おっちゃんらにとっては一番居心地のいい場所。ここの場所をなくしたら、おっちゃんらは行き場所がなくなる。

百貨店の右側は日当たりよくてあったかいけどトイレの前だし。

百貨店の左側は日当たり悪くて暗いし。

おっちゃんらに聞いても、そんな日当たり悪くて寒いところいややってゆうし。

百貨店を憩いの場所として通ってくれるおっちゃんらの居場所を奪っていいのか・・・

でも百貨店は地域のお店。お買い物に来てもらってなんぼの世界。

いくら毎日通ってくれても、せいぜいジュースを買ってくれるぐらいのおっちゃんらをとるか、おっちゃんらのせいで足が遠のいていたおばちゃんをとるか。。。

究極の選択の末、百貨店の正面から机とイスを撤去し、日当たり悪くて冬は寒いいまの場所に机とイスを移したのです。

最初の頃は、場所が変わって居心地が悪いのか、なかなかおっちゃんらも集まらず、もとの場所にイス持って行って座ってたりしたのですが、いつの間にかだんだんといまの場所にも座るようになってきました。月日を経ていまでは前よりももっと居心地のよい場所になりました。

数年前は想像できなかった、おっちゃんらの居場所。

いまは子どもらや、おばあちゃんたちも一緒に休憩することも。
おっちゃんらは休憩ができて、誰かと話ができて、百貨店は留守番してもらえて、、、「おたがいさま」の百貨店の精神は受け継がれていきます。

つねよし百貨店
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京都北部の山あいの小さな集落にただ1軒の小さな百貨店から田舎の日常を書いています。子供達に豊かな未来を残すためにサポートよろしくお願いします!