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合言葉は 一筆お願い致します 現生茶会って

“落款 持って来てくださいね”

その一言で 伝わる 粋人

お気に召していただけたようで

ゆっくり ゆったり 拘りの鮨を
堪能された 粋人

“お茶 飲みましょうか”
茶テンダーは呟く

カウンター席から テーブルへ
東頭 開封の儀から 始まる

開封の儀
刀鍛治で打ち 茶師が
自ら研いだ 刀で口を切る

その瞬間の薫りを 皆で愉しむ

粋人は 茶葉を食べている
茶テンダーと 同じように

ゆっくりゆったり

とうべっとうの 薫りに
包まれるまで

ゆっくり ゆったりと
目の前の景色を 愉しむ
270年前に 描かれたろう 三軸
この日の為に 描かれたのだなと

カステラにのせて

旦那拘りの すり身のカステラに
とうべっとうを 盛りいただく

粋人の 口が 緩む

その瞬間 三人が 口を揃える

“一筆 お願い致します”


粋人は 水墨画家でもある

“なんで こんな硯箱持ってるの?”

色々 有りまして…
お気に召したらしい

墨を摺り

墨を摺り 筆を選び….

粋な大人達の お遊びが始まる

浮世雲は呟く
“きっと 大雅も こうやって
遊んで たんだと 思いますよ”

若過ぎる女将もスイッチが入り

落款が 押されてる....

“この色紙
魅せてくれた 作品のイメージで
塗ってみて”粋人は呟く

なんやら 目の前で
はしゃぐ 二人
いつしか コラボしている。

それでいい


落款が押され

現生茶会の 粋な 作品達が
生まれる。

時を超え大切に 継がれている作品達が
生まれた時

きっと 昔の人達も
こんな事して 遊んでたんだろなって

そんな 空気感が 作品から
伝わってくる

旦那は 呟く

“なんだか 訳わかんねー”って

三軸と コラボ作品を眺めて
寝れなかったらしい
それで良い

気がつくと 御前様

粋人は呟く
“あー 愉しかった”

“まだ お茶 点ててませんから...”

現生茶会は 翌日まで 続く…

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