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「推す」って気持ちが少し理解できた

これといって好きなものというか、今風に言うと「推し」みたいなものがない。

サッカーは好きでJリーグは観るが、特に熱狂的に応援してるチームはなく、


音楽も好きでよく聞くが、毎回ライブに行ったり新曲を欠かさず聞いてるみたいんなアーティストとかバンドはいない。


なので、スタジアムでユニフォームを着て応援している人とか、街中でバンドのライブTシャツとかを着ている人を見ると、

「気合い入ってるなー」と少しうらやましい気持ちになる。

それ以外にも、特別好きなキャラクターもなく、


例えば私の弟はムーミンが好きで、


奥さんはダンボが好きである、

買いたくなるラインスタンプや、集めたくなるグッズもない。


ファッションアイテムのこだわりもないので、特別好きなブランドやメーカーもなく、単純に店頭やネットで見てみていいなと思ったものを買っている。


そんな私の、iPhoneケースの背面に、おじさんの写真が入っている。


iPhoneケースの背面部分にステッカーや写真などを入れている人は見たことがあって、それぐらい好きなものがあるっていいなと思っていた。

思っていただけで、ずっと背面部分には何も入れておらず、リンゴのマークが寂しそうにしていた。

それが今は、おじさんの写真が入っている。

それも知らないおじさんの写真である。


先日、立ち飲み屋に行った際、隣で飲んでいたおじさんと盛り上がり、そのおじさんの若い時の写真を見せてもらい、


本当にかっこよかったのと、時代を感じる写真で、

「めっちゃいいやん!」と思ったし、そのまま伝えた。

すると、そのおじさんが、「それあげるわ」と、その写真をくれた。

ステッカーサイズで、私の愛用するiPhone12miniの背面にジャストサイズであった。

普段であったり、他の場面で知らないおじさんの写真をもらっても、


というか、もらうこともないと思うが、


iPhoneの背面には入れないだろう。

その写真のクオリティや、かっこよさだけではなく、


知らないおじさんと盛り上がった時間、


「じゃあこれあげるよ」と言われたその場のノリみたいなものがかけ合わさって、


今、私のiPhoneの背面には知らないおじさんの写真が挟まっている。


好きなものがあっていいなと思っていたが、


好きなものに費やした時間、注いだお金、思い出、エピソード、みたいなものが合わさって、


iPhoneの背面に挟まったり、MacBookにステッカーを貼っているんだなと実感した。



とりあえず、今の私の推しは、iPhoneの背面に挟まっている、知らないおじさんということになるだろう。

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