ありがちやけど、みんな違ってみんないい
来年度から、我が子を幼稚園に行く予定で、プレ幼稚園的なものに今年度から週に1回参加している。
基本的に奥さんが連れて行ってくれていたのだが、この前の回は奥さんが体調不良で私が一緒に参加した。
知らない親子に会うのは少し緊張するな、と思ってたのだが、それ以前に、一緒に家を出るということがまず難しかった。
まず「行きたくない」から始まり、なんとか気持ちをヨイショして、着替えてもらおうとすると、
「着替えたくない」
なんとか着替えが済んで、自分の準備をしようとすると、
「抱っこしてくれ」となった。
早めに出るつもりだったにも関わらず、時間ギリギリになってしまい、やっと出られそうとなったタイミングで、
「これもってっていい?」
と聞いてきた。
多分、トミカとかのおもちゃだろうと思い、自分の靴紐を結んでいたこともあって、ちゃんと見ずに「いいよ」と答えると「やったー」と言って機嫌がよくなっていた。
これでなんとか出発はできそうと思い立ち上がると、目の前で傘をニコニコ顔でさしている2歳半がそこにはいた。
あいにくこの日は、この場合あいにくというのが正しいのかわからないが、快晴だった。
雲一つない熱中症日和だった。
「あー、ごめん、今日は傘いらんかも」と一応言ったが、一度許可したものを覆せることもなく、幼稚園までの道のりを機嫌良く傘をさして歩いてくれた。
さすがに、幼稚園の中では傘はさせないので、傘立てに入れておくと、一瞬で不機嫌になり、普段のプレ幼稚園での振る舞いはわからないが、その日は借りてきた猫のように、私から離れず時間だけが経過してしまった。
おそらく、毎回やっている歌などは、他の子どもは歌いながら踊っていたりしていて、我が子は生まれ月的に言うと、ちょうど真ん中くらいなので、半分以上の子どもは、数ヶ月とかの範囲ではあるが早く生まれていて、その分成長に差があるのかと感じたりもした。
お絵描きの時間もあり、その時に使うクレヨンを幼稚園の先生が、「これは何色ですかー?」と問いかける場面があった。
伊澤拓司ばりに、答える女の子がいた。
その子には、他の子どもは太刀打ちできず、結局12色ほどを、その子が全て答える形になり、その場面は終わった。
家だと、我が子も大体の色は答えてはくれるが、人前であることもあって、なかなか言いにくかったのかなとかは考えた。
結局その日は、特に活動に参加できないまま、終わってしまい、帰る時間になった。
傘立てにひとつだけ並んでいる、子供用の傘を忘れないように持ち、帰ろうとしていると、12色無双女の子のお母さんが、
「もしかして、傘させるんですか?」
と声をかけてくれた。
「傘さしたら行けるって言うんで、晴れやのにさしてきたんです」
と答えた。
「うちの子、今、傘さすの練習中なんです」
とのことだった。
12色をあのスピードで答える、あの子がまだ傘はさせないんだ、ということにも驚いたが、
大人が雨の日にあたりまえにさす、傘も子供にとっては重労働なんだなと気がついた。
みんなと一緒に歌って踊れなかったし、色も知っているはずなのに答えられなかったけど、
それらができている子にはできない、傘をさすって行為を家から幼稚園までずっとニコニコでやっていた。
「かささせるようにがんばる」
と、そう言って、女の子は帰って行った。
その子の向上心とか負けず嫌いな部分が、12色無双して回答できるところにつながっていると思うし、
晴れとか雨とか関係なく傘さしてみたいという我が子の好奇心が、その子にはまだ難しい、傘をさすことができるってことにつながったんだなと思って面白かった。
「みんな違ってみんないい」
を、本当の意味で実感した出来事だった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?