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しがないWEBライターの雪山滞在記

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#苗場

私を苗場に連れてって  - しがないWEBライターの雪山滞在記 1日目 12月2日(月)

私を苗場に連れてって  - しがないWEBライターの雪山滞在記 1日目 12月2日(月)

「まもなく越後湯沢駅に到着します。次の停車駅は長岡駅です」

上越新幹線の車内に、次の駅への到着を知らせるアナウンスが流れる。
窓の外をぼうっと眺めていた僕は、アナウンスに違和感を覚えた。

ーーーあれ。なんか変だな。

今回降車予定なのは新潟県の浦佐駅。そこから車で周辺地域をぐるっと回ったあと、今回の目的地・苗場へと向かうこととなる。
10:34に駅で待ち合わせだが、時刻は9:30を回ったあたり

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標高700mの朝-しがないWEBライターの雪山滞在記 2日目 12月3日(火)

標高700mの朝-しがないWEBライターの雪山滞在記 2日目 12月3日(火)

ガソゴソと人が動く気配に目を覚ますと、障子のあいだから明るい日差しが差し込んでいる。

時刻は午前7時過ぎ。久しぶりに床で眠ったせいか、少しだけ体が痛い。こたつから体を起こすと、「おはよう」という声が襖の向こうから聞こえてきた。雪山の朝は早い。

初日の夜はみなが持ち寄った日本酒で飲み会をやっていた。僕は2時ごろに眠りに落ちてしまったが、他の人たちは4時過ぎまでやっていたのだという。松任谷由実の曲

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雪は流れる水とともに - しがないWEBライターの雪山滞在記 4日目 12月5日(木)

雪は流れる水とともに - しがないWEBライターの雪山滞在記 4日目 12月5日(木)

窓からの強い日差しで目を覚ますと、午前7時ごろ。昨日は早々に眠ったとはいえ、こんな時間に起きることなど、東京ではありえない話である。

それにしても晴れた朝は寒い。窓の広い僕の部屋は、夜のあいだに一気に冷たくなるのだ。布団をかぶっていても、どうにも物足りない。

部屋に置かれているヒーターをつけようかとも思ったが、せっかくだから起きてしまうことにした。早起きは三文の徳である。散歩でもしようかな。

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トンネルを抜けると、そこは温泉天国 -しがないWEBライターの雪山滞在記 5日目 12月6日(金)

トンネルを抜けると、そこは温泉天国 -しがないWEBライターの雪山滞在記 5日目 12月6日(金)

実務と呼ばれるものが大の苦手である。

書類整理や、営業、挨拶など社会人に必要とされるスキルのほとんどが、とかく面倒でしかたがない。この歳になると、最低限のことはできるけれど、とにかく遅いし、ストレスがめちゃくちゃたまる。小さいころから「グズ」と呼ばれていた通り、致命的に要領が悪い人間なのだ。

そんな人間がお店の運営を手伝おうなんて、よく考えたものだ。逆にいうなら、任せた方もすごい。採用の前にち

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キャッチボール部結成 - しがないWEBライターの雪山滞在記 8日目 12月9日(月)

キャッチボール部結成 - しがないWEBライターの雪山滞在記 8日目 12月9日(月)



外に出ると、まごうことなき晴天である。

一週間ほど滞在して気づいたことだが、どうやら晴れの日の方が寒く感じるらしい。気温自体は普段とほとんど変わらないのだけれど、少し肌寒い。風があるせいかもしれない。

ここ、苗場は標高700mの高地。山の天気は変わりやすいというが、まさにその通りで、天気が一日中コロコロと変わる。そんな中で久しぶりに一日中晴天の日よりだった。

そして今日で滞在からちょうど

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クリスマスは開店記念日 -しがないWEBライターの雪山滞在記 24日目 12月25日(水)

クリスマスは開店記念日 -しがないWEBライターの雪山滞在記 24日目 12月25日(水)

24日目の12月25日。ようやく開店の運びとなった。
当初の開店目標から遅れること5日。ちょうどクリスマスである。

苗場に来てから、ずっとバタバタとしていた気がするが、特に開店前の3日間は店舗準備でカンヅメ状態だった。朝から日をまたぐほどの時間まで働きづめだったのは久しぶりのことである。

ちなみに昨年は開店前日の作業で朝4時くらいまでかかったそうだ。それに比べれば平和なものだが、とはいえ全員疲

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売り上げ前年比200%超えの奇跡 - しがないWEBライターの雪山滞在記 30日目 12月31日(火)

売り上げ前年比200%超えの奇跡 - しがないWEBライターの雪山滞在記 30日目 12月31日(火)

時計の短針が8のあたりを過ぎるころ。店にいたお客さんがパッと途切れる。店の外に人通りはない。いわゆる凪の時間だ。

「今年も終わりですね…」

突然、しんみりとした実感に包まれる。そうだ。バタバタと走り抜けた12月も終わるのだ。そして、今年ももう終わる。アルバイトのアキさんがそうですね、と優しい笑顔をこちらに向けた。

張り詰めていた糸がふっと緩む。外ではプリンスホテルのあたりから、いつものように

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