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遠いいつかの月の詩(うた)
遠いいつかの月を見上げていました
魂のかえる場所は祈りに忘れ去られ
卵からは何も孵りませんでした
潮が砂浜を越え
海水が街を満たすとき
眼の奥に青い夢をみた
波紋が広がるので
羽は糸に結んで
来世では安らかに眠れますようにと
手紙を土に埋め
言葉は喉で縺れては破裂を繰り返し
誘われたあの子は美しい人魚になりました
ガラスの子どもたちは
虹色の貝殻を集め
祭壇に貢ぎました
わたしの形は
あなたの目に映ったのは
暗い暗い海を繋ぎ止めたのは
もしも光が降り注いで
そこにわたしがいなくなったって
いつか終わる日々の中で
終わらない詩を口ずさんで
高架橋の上から見上げていました
遠い遠いいつかの月を
いつまでもいつまでも見上げていました
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