宇ゐ

京都で着付と着物スタイリングをしています。『きものを着ること』『きものの扱い』『きもの…

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京都で着付と着物スタイリングをしています。『きものを着ること』『きものの扱い』『きものに向き合う』をテーマに今や決して身近ではない呉服の世界をかみ砕き、掘り下げて発信しています。

最近の記事

着物・帯・小物 季節の捉え方考①

6月に入り着物を着る人が多少減ってきた。 要因としては以下があるのかと思う。 ①雨降りの日が多くなる ②暑くなってきたこと ③単衣着物を持っていない ④素材コーディネートが悩ましい そこで宇ゐ個人の考え方を少し紹介する。 ①は雨コートや草履カバーを持っている、または屋外に出るか否かという事でご自身の判断でいいのではと。 ②汗対策の出来る襦袢や日傘・扇子、そしてやはり屋内であれば。 ③については、私はこれから温暖化が進んでいくとなると単衣着物の需要は多くなると考える。(ここで

    • 蒔糊友禅の作家さんと着物③

      ~追悼 陣内久紹 さん~ 2024年5月26日 佐賀県佐賀駅近くのホテルで昨年亡くなられた 陣内久紹(じんのうちひさつぐ)氏を偲ぶ会が実施された。 久紹氏の着物を持っている人たちが着て供養をしようという会である。 参加者80名近い中、久紹氏の着物着用で参加された方は40名以上。 会場の約半数を占めた着物姿は壮観だった。 やはり着物は“着るモノ”である。 平面で構成されている布が人の身体に纏われ、立体となる素晴らしいファッション。 当然しわも入るが、優れた着物はそのシワも美し

      • 蒔糊友禅の作家さんと着物②

        ちょうど10年前の2014年、蒔糊友禅作家「陣内久紹(じんのうちひさつぐ)」さんの個展を訪ねた。 場所は京都市右京区にある日下部邸ギャラリー(現在は閉鎖中)。 そのリポートを再編集した。 ------------------- “蒔糊(まきのり)”とは。 以下、陣内久紹(じんのうちひさつぐ)さんのサイトより引用。 『蒔糊は米粉や糠(ぬか)に亜鉛松やリン酸を加え、こねたり、蒸したりした後、板に薄く練りつけ、天日で乾かわかし作ります。 それを細かく砕いて何種類かの大きさの蒔糊の

        • 蒔糊友禅の作家さんと着物①

          2023年9月、蒔糊友禅(マキノリ ユウゼン)という伝統防染糊技法の継承者である 陣内久紹(じんのうちひさつぐ)氏が亡くなった。 佐賀県小城市出身の生粋の美術少年だった久紹氏は京都で故森口華弘氏に師事、独立して数多くの工芸展への出品と蒔き糊友禅作品を多く製作した。 2024年5月下旬、小城市歴史資料館にて追悼個展がありその足跡を辿り、作品の素晴らしさと真摯に生涯を掛けて染めを追求したその姿勢に触れてきた。 陣内久紹氏との出会いはこの追悼展からちょうど10年前 京都市右京

        着物・帯・小物 季節の捉え方考①

          絞り技法『輪出し絞り』工房へ

          “絞り”技法は7世紀後期~8世紀中ごろ栄えた、天平の三纈(てんぴょうのさんけち)と言われる染色技法【夾纈・纐纈・﨟纈】の中のひとつ。 この三つの染色は“染まる部分”と“染まらない部分”をつくることで柄を出している。 〔夾纈(キョウケチ)〕は板締め技法で、柄が彫ってある板で布を挟んでそのくぼんだ場所に染料を流して染める。 〔纐纈(コウケチ)〕これが絞りの技法。 “纐(コウ)”は中国,経律論の難読難解字および音訳漢字に対する音注義注の書【一切経音義】に 〈糸をもって繒(かとり)

          絞り技法『輪出し絞り』工房へ

          着付師はアスリート

          きものの着付する人、お願いする人は、今は身内の誰かやご近所の女性という時代ではなくなってきた。 現代ではホテルの婚礼担当、美容室の女性のほかここ10年ほどで増えてきた“出張着付師”というフリーの着付をする人。 私もその出張着付師の一人である。 “出張着付師”とは自宅や滞在宿泊施設の部屋まで伺って着付をする技術者のこと。 今はかなりの人数の出張着付師がウェブサイトや検索サイトで探せるが 私が始めた頃はまだガラケー時代でもあり、数は少なかった。 着付や着物の仕事をを京都でする前

          着付師はアスリート