着物・帯・小物 季節の捉え方考②
素材コーディネートが悩ましい
前回の「着物・帯・小物 季節の捉え方考①」に掲げた
④の“素材コーディネートが悩ましい”という点についてもう少し詳しく私感をお伝えしたい。
結論としては
「ご自身の体感」を重視して「涼しそうに見える(涼しげなこと)」ものであればどう組み合わせてもOK。
但し、茶席に出席もしくはお点前、正客の場合はそこのお社中もしくは先生やお連れ様の感覚を確認した方がいいということ。
基本的には私は25℃の気温を超える夏日であれば
涼しい着物や汗を吸いやすい着物で出かけるということを大枠で考えておかれてもいいと思う。
5月~6月に着ようかなと思われる着物や帯・小物はこんなモノたちだろう(ただ、解釈や感覚によって曖昧な表現をしているものも入れた)。
〔きもの〕
★単衣仕立の附下げ(※1)・色無地・紬・小紋
★二重紗(無双or紗袷せ) =6月半ばが望ましいかと考えるが…
(9月も着用可能という呉服店さんは多数。ただ祇園界隈では安全策?として6月の着用のみがいいのではと。)
★明らかにスタンダードな絽や柄織のない紗などを避けた、
紋紗、少し地厚に感じる夏大島、絽縮緬(通常の絽よりも目が詰まっていると感じる)などは、6月時期からの着用は問題ないと思う。
〔帯〕
以下の帯は単衣時期だけでなく盛夏も使用するもの。
ただ、5月や6月に使う場合はほんとに透けている“羅”織は若干早いのではという印象はある。
★絽塩瀬帯
★紗帯・羅帯(印象的に7月近くがいいかもしれない)
★麻(苧麻・大麻・亜麻=リネン・榀布など)
★比較的薄い素材の袋帯や九寸帯(名古屋帯)
★梅雨時期限定の柄が描かれている帯
★涼しげな色や柄の袋帯・九寸帯(名古屋帯)
〔帯締めと帯揚げ〕
★着物や帯とのコーディネート重視をした物
★夏用と思われるメッシュ帯締めや絽や紗の帯揚げ
★帯留めを使う時の三分紐や二分紐は特に夏物でなくてもOK
・つまりどの小物を使ってもそう大きく問題はないというのが私感。
夏物とされる小物が出現した数十年と歴史はとても浅く、それまでは冬も夏も同じ小物を使っていた。
箪笥の整理に伺った時に着物や帯は夏物があるのに夏用小物は無いということは多い。
以上が5月~6月の着物コーディネートに使えると考える物。
どれとどれを組み合わせるかは、これらの物の中で色合わせを考えることになる。
もし5月6月に咲く花の柄のものがあればそれを採用した他の物のコーディネートを考えればいいし、
単に暑い日が多くなったから涼感重視で選ぶのもいいだろう。
すごく汗をかく人は襦袢に麻素材はお勧め。
給水性がいいし家で洗える。
汗の成分は水溶性なので、いわゆる丸洗いのドライクリーニングでは落ちにくい。
丸洗いのみを繰り返すだけでは汗成分が残って黄変してしまう危険があるので必ず「汗抜き」を追加依頼する方がいい。
プロの人の手で水を使いながら部分汗落としをしてくれるので黄変しにくくなる。
私が暑い時期にメンテナンスで着物をお預かりする時には以下のパターンを考える。
①丸洗い+汗抜き
②丸洗い+着用汚れ落とし+汗抜き
③着用汚れ落とし+汗抜き+プレス
④汗抜き+プレス
“着用汚れ落とし”とはファンデーションや口紅、食べ汚し、泥はねなどがある場合。
“丸洗い(ドライクリーニング)”には必ずプレスは込みになっているので少しの汚れだけの時には上記の③や④になる。
上記内容に関してのご質問やご不明点やご意見はコメントもしくは宇ゐまでメッセーをください。
Submitted by 宇ゐ(ui)
ここやかしこ着付サロン 着付師 宇ゐ