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恩恵


常にどんよりとしている私の頭の中。
靄がかかって、重くて鈍いことは当たり前。
頭の中が重いと感じるときは、だいたい気分も重い。

私の抱える病気は双極性障害(躁うつ病)。
それとは別に大きなトラウマを抱え、PTSD状態で生きてきた。
(私にとっては繋がっている二つ)

双極性障害と診断されてからちょうど10年。
それまでは長いこと鬱病という診断で治療を受けていた。
思い出すとちょっとぞっとするくらいの、かなりたくさんの投薬治療を受けていた。

それまでの診断も投薬も、驚くほど簡単に覆され否定された。

そこから先は見事な「医療不信」。

「不信」イコール怒り。それは恨みにも繋がる。
もう医者と病院も絶対に信じない!とシャッターを降ろしてしまった。

信頼できるお医者さんが世の中にたくさんいらっしゃることもじゅうじゅう承知しています!

いろんな事情が重なって、私の傷は深かった。

でももともと強い負けん気を持ち合わせていたらしい私は、そこで奮起する。
「自分の力で乗り越えてみせる!絶対負けない!」

悔しさがスイッチを押してくれた。

桜の開花には、冬の寒さが必要なのだそう。
気温が低くなると、開花準備のためのスイッチが押されるのだそう。

余談だけど、
子どもの頃、自分の父親から何度も
「おまえは男に生まれればよかったのに!」と言われた。
優しい兄、ほんわかした弟に挟まれた私の根性の悪さは、
よけいに目立っていたのかもしれない。

今より遙かに男尊女卑の色濃く残る時代に生まれた私の父にとっては、
男を差し置いて一番目立っている娘が目障りだったのかもしれない。
父が何をどう思っても、私は自分が男に生まれればよかったなんて一度も思ったことはない。
女に生まれたことに、私はなんにも困っていない。
つくづく、よけいなお世話だなと思う。

人と話していると、脳のスイッチが起動するのか、頭の中がクッキリとしてくることが多い。
最近は文章を書いているときも似たようなことが起きる。
少しずつ靄が晴れて、次第に頭が軽くなる。
なので、いつも取り憑かれたように私は何か書いているのだろうな。

「人と話をする」のと似たようなシチュエーションを
無意識に作り出そうとするのかもしれない。

またまた病気の話。

悔しい思いをしてよかったと思う。(私の場合は)

双極性障害とPTSD。この二つについて
いろいろ本を読んだりしてみたけどやっぱりハッキリしたことはわからない。

脳の中のどの部分にどんな障害があり、
それによりどんな不具合が起きているのかを解明されるのは、難しいのかもしれない。

どの部分にどんな障害のあるのかが見えてこなければハッキリした病気の像は摑めないだろうし
明確な治療法も形成されないものなのだろうなと思う。

「医療」を一度否定し、誰かによる治療を拒んできた私。
その方法が「いい」とは思っていない。

病気を抱えている人、何かにより日常生活に不便をきたして苦しんでいる人は、
積極的に「治療」に乗って欲しいし、信頼できる治療者を探し続けて欲しい。

私の場合は、治療を否定してしまったため、とにかく自分で自分の状態を知るしかなかった。
必死に観察し記録し、必死に情報を集め、考察するしかなかった。

治療を受けないと決めたのは自分。
何が起きても自分で全部の責任を負うしかない。

私には、無駄ではなかったと思う。
今後もこの方法を続けていくと思う。

でも人にオススメしたいとは思えない。
病気や障害を抱える人は、信頼できる治療者や専門家の方と、二人三脚で進んで欲しいなと思う。
そのほうが無駄なエネルギーを消耗しなくて済むし、確実に治療が進む。

治療を受けることは拒絶してしまったけど、
お医者さんや研究者の方の書かれた本にはずいぶん助けもらった。
テレビの中からたまたま聞こえてきた専門的な情報にもずいぶん助けられた。
たくさんの貴重な情報やヒントをいただけた。

直接な治療は拒んできた私だけど、やっぱり専門家の方たちに支えられてきた。
遠回しに医療や研究の恩恵を受けてきたんだなぁと思う。

私にとっての10年の節目。
私も医療の恩恵を授かっていた。そう気づけてよかった。

ぼんやりとした頭で書き始めたので、書こうと思っていた内容とは
全く違うものになってしまった。
まあ、いいか。

なかなかうまくいかないことばかりの人生だった。
苦しいことばかりだった。

でも、そんな人生をなにより私が楽しんでいる。
なんだかえらく面白い物語の中にいる。

これから先の展開はもちろん全く見えないけど。

どんな人生が待っていても、面白がれる自分でいられたらいいなと思う。

最近、しっかりと私の人生の中心にいられるようになったなぁと思う。

ドラマの中心にいながら、同時に「観客」でもいられるようになってきた。

観客になって、ハラハラドキドキ、ときにはどうしようもなく怒り、
ときにはウルウル涙して、けっこう面白がりながら自分のドラマを見ている。

私が私の物語の一番のファンでいたい。

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