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【ご恵贈御礼】松浦年男、田村早苗 (2022)『日本語パラグラフ・ライティング入門』

東京に行っている間に、長崎のほうに送ってくださっていたとのことで、戻ってきてからようやく上記のご著書を手にすることができました。

さて、ライティングの大原則というものはあるでしょうか。

私個人としても文章を書くときに意識していることでもあるのですが、その大原則とは「読み手のことを考えて書く」という一言に尽きると思うのです。その理由は、「なぜ書くのか」ということを考えたときに、不特定多数の相手に向けての意思伝達を図ることが重要な目的の一つだと考えられるためです。

口頭発表やプレゼンテーションが「話す」タイプのコミュニケーションであるとすれば、文章は「書く」タイプのそれに相当する、と私自身は理解しています(ここが間違っていたら申し訳ありません…なのですが)。

もちろん、自分の思考を整理するためという目的も考えられますが、自分用のメモのようなタイプのものは別としても、自分以外の人もその文章を目にするという前提で書くのであれば、やはりコミュニケーションがスムーズに進行するにこしたことはないでしょう。そうであるとすれば、書かれた文章が読み手にとって読みやすいものであることが望ましいわけです。

では、そのために書く側はどうすればよいのか。ここの具体的な手法が書くための「技術」なわけで、その技術を具体的に身につけてみようということで教育機関の担当の先生方はいろいろと工夫しながら書く技術を伝えようとしているわけですね(かくいう私自身、日本のとある大学でライティングの授業を担当したこともありました。ずいぶん昔のことには感じられますが)。

ライティングというテーマでは、すでによい教科書が多数出版されていますが、テーマを「パラグラフ・ライティング」(段落構成の手法)に特化した教科書という点に松浦・田村(2022)のセールスポイントがあると思います。

第1章が「情報を整理しよう」(1つの段落に内容を「1つだけ」書く意識)、第2章が「まず要点を知らせよう」(中心文を最初に書く重要性)、第3章が「説得力を持たせよう」(パラグラフ内の中心文以外の支持文の内容について)と、章立ての順番としてもとてもよいなという感想を持ちました。第4章以下は「スムーズにつなげよう」、第5章が「見通しをよくしよう」、そして「総復習」という構成になっています。

なるほどこの1冊をこなすと、こういったブログやnoteなどの雑文を書く時にも応用できますし、なにより日本語のアカデミック・ライティングやビジネスでの文書(ある教科書ではこれらを総称して「仕事の文章」とも呼んでいたように記憶しています)の技術はかなり向上が期待できそうだという印象を持ちました。

両著者からの私への同封のお手紙には「教科書や参考書としてご検討いただくことももちろんながら、独習にも適していますので周りの方々にもお勧めいただければ幸いです」とのことです。

日本の教育機関で関連科目をご担当の先生がたにもぜひ勧めたいと思いますし、海外の日本語教育機関で学習者向けの作文の授業を担当されている先生方にも、中上級学習者向けのテキストとしてお勧めできるかと存じます。

私がもしまだアンカラで日本語教育に従事していたなら、Yazılı Anlatım(要するに、作文の授業です)の後期の授業あたりで本気で使用を検討したいと思っただろうな…という、松浦・田村(2022)のご献本御礼でございました。

とはいえここまでお読みいただいた方はおわかりと存じますが、私自身はまだざっと目を通したばかりというのが正直なところでして、これからじっくり読ませていただこうかなと思います。

でも、ざっくり目を通す限りでも、おそらくいい教科書ですよこれは。ぜひみなさん買いましょう。私も実はご献本いただく前に予約購入していたので、1冊余った分をとある知り合いにプレゼントすることになっています。

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