脱線こそ語学の醍醐味でしょ
以下、昨晩のストーリーです。
アゼルバイジャン語の語彙をまとめていたら、「ダイエットをする」という意味らしき、こんな語句に出くわした。
へー。トルコ語と違う言い方だな(と思っていたらトルコ語にも当該語彙があったという話は後述)という感想をもつ。pəhrizか。pəhrizね…
pəhrizって、どこから来た単語だろうかこれ。ペルシア語っぽい響きがあるな。ところでオレ、ペルシア語全然詳しくないのに、単語見て「ペルシア語っぽい」って思う感覚は確かに持ってる気がするけどなんだろうなこれ。
まあそれはいいや。ちょうど先日、ペルシア語辞典の話したばっかりじゃん。ここでペルシア語の辞書を引かない手はないわな。 …
えーと、アレフ、ベ、ペだから…3番目か。それにしてもこの辞書、せめて語頭の文字だけでもひきやすいようにインデクスつけといてくれてもええもんやんな…まあええけどさ…
んで、ぺの子音の次にヘが来てそうな並びを見たらええんやんな…それにしてもオレのペルシア語辞書引くスピード、絶対遅いよな…ペルシア語ガチ勢が見たら鼻で笑うレベルやろなこれな…
おお。あったやんけ。
1) 節制;禁欲;断つこと
2) 摂生;養生法;ダイエット
…これかー。へー。ペルシア語からねえ。
いや待てよこれ。メタセシス(音位転換)起こってるなこれ?
アゼルバイジャン語、この音位転換のパターンよく見るんだよな~。たとえば「橋」とか、トルコ語がköprüなのにアゼルバイジャン語は"körpü"だし。あとほかにも…あれ?思い浮かばんな。
まあええか。さてさて…
せっかく脱線したし、ツイッター民、メタセシスの話とか多分スキやんな?よっしゃ、ツイッターに投げたろ。
…おお。さっそくリアクションいただいたやん。
!?トルコ語にもperhizあった?
しかも、トルコ語ではメタセシス起こってないんだ。えーちょっと待って…Redhouseのトルコ語辞書引かなあかんな…
perhiz. あったやん。
トルコ語はperhiz "yapmak"(摂生を「する」)で、動詞はyapmak「する」を使うってことか。とすると、diyet yapmak, rejim yapmak(いずれもトルコ語で「ダイエットする」)と同じ感じで使えるってことか…だけどあゆ美ねえさん、今はあまり使われない語とわかってて使ってらっしゃるってことか…でもあるよね~そういうの。遊び心的な。
なんででしょうねえ…フランス語がスキな時代があったってこととかですかねえ。
ほほう。こういうコメントもあるのか。ある母語話者、かく語りきってとこやな。
一方で、このpehrizって、キリスト教徒(あるいはRedhouseの辞書によればユダヤ教徒も含めて)宗教的な目的での斎戒(「さいかい」って言葉、人生で初めて見たかもしれん!)、精進って意味もあるらしいから…
コーパスでもまあまあ用例出てきとんな。なるほど。perhizか。よしよしトルコ語の勉強になった…
…ってオレ、アゼルバイジャン語の勉強してたはずやのに!!
かようにして、アゼルバイジャンとイラン(ペルシア)とトルコを行ったり来たり。
テュルクの語学に境界線も、ましてやきれいな線路もないってことなのです。きっとね。脱線しまくりながらその都度何かを拾って、また正気に戻って元の道に戻っていく。
こういった寄り道、脱線の連続を楽しいと思えるかどうかっていうのがしかし、語学のキーワードなのかもしれませんね。かようにして、語学の醍醐味というか楽しさというのは、脱線に(こそ)あるというビリーフを私は持っているというわけです。
だから…あれかな、トルコ語の授業とかやっても脱線が多いのかもしれませんね…しらんけど…時間なんぼあっても足りやしまへんねん…
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