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紙の本はやはりよいものですな

今日の私の話題は、もうこれに尽きます。

先月末、年度末ぎりぎりに印刷していただいた言語研修の教科書。印刷版が本日、こちらに届きました。内容については、いずれオンラインでも公開される予定ですが、それはそれとしてやはり紙版で賜りますと実感がわいてきます。

ずいぶん長くかかってしまい、関係者各位にもずいぶんご迷惑というかご心配をおかけしました。おそらく内容としてももっと改善の余地はあるでしょう。しかし度々書いておりますように、その点については今後また機会をいただいたときによりよいものにするとお約束させていただくということで、まずはひとまずの完成を喜びたいと思います。

せっかくですので、『文法教本』のほうで私吉村が書いた前書きを引用してみましょう。最後、自分の名前の前の部分はは我ながらやや大仰だなとは思いつつ。

 アゼルバイジャン語(北アゼルバイジャン語)はアゼルバイジャン共和国の国家語・公用語で、コーカサス地域やイラン、トルコなど、アゼルバイジャンとその周辺地域を中心に話されています。イラン北西部などで使用されている南アゼルバイジャン語の話者をあわせると、すくなくとも2000万人以上の言語話者を擁します。この話者数は、テュルク諸語の中でも最大話者数を擁するトルコ語に次ぐ規模の多さであるといえるでしょう。
 すでに日本国内では言語系統上ではきわめてアゼルバイジャン語に近いトルコ語の教材が数多く出版されていますし、中央アジアなどのテュルク諸語についても近年ウズベク語やカザフ語などの入門書や文法書が出版されています。テュルク諸語に関心のある人々にとっては好ましい状況になってきたと言えるでしょう。もちろんアゼルバイジャン語についてもすでにいくつかの語学書が市販されており、ある程度手軽に利用できるようになっていますが、独学で使用可能な教材の開発が現在でも喫緊の課題である状況には変わりありません。
 本書は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所主催の2022年度夏期言語研修にむけて準備した教材の一つで、アゼルバイジャン語の文法を概略的に参照するために用意したものです。さまざまな文法項目についての解説が主な内容になっていますが、体系的に記述した文法書というよりは、ある程度実用性を重視して順番に読み進めていくことで学習がより効率的になるような構成も意識して作成しています。聴解・発音などに関する項目は別冊の教材に委ねてあります。本教材も少しでも学習者のみなさんのお役に立つならば、共著者の一人としてこれ以上の喜びはありません。
 本書の執筆にあたっては、全体の構成と文法項目の解説、練習問題の作成を吉村が、アゼルバイジャン語の例文チェックおよび巻末の講読テキスト「補遺1. 実践読解問題」はグリエヴァが担当しています。
 本書の執筆、完成にあたって、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の各先生方をはじめとして、個々のお名前は挙げませんが、執筆を日頃から応援してくれた日本・アゼルバイジャン・トルコ各地在住の友人たちに、心よりの謝意を表明いたします。語学書、文法書としてのクオリティとしては加筆・改善の余地が多々あることを筆者自身も自覚していますが、各氏のご協力、機関の助成がなければ、本書は輪郭すら生まれていなかったにちがいありません。

2023年3月
日本における「洋学」ゆかりの地 長崎にて
吉村 大樹

(吉村大樹、グリエヴァ・カマラ(2023)『2022年度言語研修「アゼルバイジャン語」研修テキスト1:アゼルバイジャン語文法教本』p. i)

この教科書の原型の執筆は、実はアンカラに滞在していた2018年ごろから開始していました。

その後私自身の仕事が遅かったもので、結局なんだかんだしながら最終的に印刷・製本に至るまでに5年くらいはかかってしまったということになるのですが。それだけの時間がかかった割には…と自分ではどうしても思ってしまう部分もあるのですが、ひとえに吉村の力不足によるものであること、また同時に共著者のグリエヴァ先生のお力添えのおかげで、吉村単独で仕上げるよりははるかによいものになったはずだ、ということを強調しておきたく存じます。

ということで、近い関係者には別途送付させてもらいます。それ以外の方も、近いうちに内容公開されると思いますのでその時をしばしお待ちいただきたく。

小さい夢ながらも、2014年にアゼルバイジャン語を始めてからずっと願っていたこと、「自分の名前が入ったアゼルバイジャン語の教科書を作る」という希望をかなえてもらいました。今日は何はともあれ、この喜びを書き残しておきたいと思います。

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