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また私が読み返したいと思える記事をまとめています。
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#短編小説

【詩】指をさせ

やり直しの効かない人生 笑いながら指をさせ 大人なんだからなんて うるさいほど耳の奥で こびりついて 離れないほど 聞いてる もう諦めなよ 笑いながら指をさせ 掴めない可能性を 決めつけるのは 一体誰だ 耳を貸さないのは こっちだ いい加減にしな 笑いながら指をさせ 口を出さないでただ見てろ バカにされてる人生を いま生きてんだ 夢なんて消えたと言われても 大人なんだからなんて いい訳言いながら 煮え切らない 人生に夢があるなら そんなの見たくない こっち

「ショートショート」初恋のギフト。

私の視線は天邪鬼だ。 見る。視線を逸らす。そしてまた見る。 自然と。でも時々故意的に。 見てる時はだいたい無意識。 無意識だけど、気持ちは暖かい。 寒い冬を暖かくするのは凄い事だと思う。 教室の机に肘を置いて手に顔を載せる。 こうした方が見つからない。凄く自然。 展望台になったかのように目を光らせる。 でも、あまり光が強いと気づかれてしまうから、 そっと悟られないようにそっと。ただただ見てる。 誰かと話している。女の子だ。 笑顔を向けないで。こう思う自分は嫌な女だ。 で

【空白小説】『コンテストにチャレンジだぜ!その2(アマギフも貰えるらしいよ...前も言ったけど)』

どうも、お疲れ様です。ミックジャギーでございます! GW真っ只中。皆さんいかがお過ごしですか? ワタクシは相変わらず賞金が振り込まれないので(上の前回投稿を読んでケロ)コツコツと空白小説を作ってましたよ。【吾輩は猫である】から始まり、【名前はまだない】で終わる掌編小説です。その中身を埋めるんですな。 でも、先立つものが無いとどうにもならないですな。この金の無さをバネにして新たな賞金をゲットしたいなぁ..お腹いっぱいご飯が食べたいんです、って今はいつの時代なんですかね。まだ昭和

空白小説Twitter投稿まとめ1~8【ショートショート(500字)×8作】

1. ”猫には9つの命がある” 2. ”あの猫の名前” 3. ”猫じゃなかった” 4. ”本屋にて(A面)” 5. ”本屋にて(B面)” 6. ”ワレワレと猫” 7. ”ワガハイといえば悪魔” 8. ”本屋にて(C面)”

【空白小説】『コンテストにチャレンジだぜ!(アマギフも貰えるらしいよ)』

どうもお疲れ様です、ミックジャギーでございます。 あの、いきなりなんですけどワタクシ、少し前に某公募に入選したんですよ。 それで、ちょっと賞金を頂ける事になったんです!ありがたいですよねえ。 で、思わず財布のヒモが緩んじゃいましてね。 賞金が入るから、欲しかったアレを買っちゃおうとか、たまには美味しい物食べたいなぁ.. 賞金入るから食べちゃうか!って。 ちょっと普段より出費が増えちゃいまして。 賞金が入るから、まあいいじゃないですか。 でも、一週間経っても、二週間経ってもお相

美しい というものに

 美しい  という感情は いったい どこから湧いてくるものだろうか。  いや、そもそも、何をもって 美しい とし、その言葉を伝えるのだろう。  ……そこに、何か、理由がいるのか?  僕は今、目の前のそれを 美しい と思い、心が感動に震え、自然に何か 何かが湧き上がってくるのを、感じている。  それはたしかなことだ。疑いようもない。  ではそれは、どこに、なにを、どうして、感じていることであろう。それを、言葉に表すことが、できるのだろうか? 言葉に表す必要が、あるの

【詩】救済

心の深いところにある 誰にも話さない痛みに 苦しむことがある 誰も傷つけたくないし 誰にも傷つけられたくない 忘れていない痛みが 置き去りのまま たまに疼くけど そっと蓋をする 天使でもなければ 悪魔でもない 太陽があれば 月もある 見るのは奥じゃなくて 表面でいて 傷が私を呼び起こすから 心の奥を見ないで 本当は君がそっと 傷に触って優しい気持ちで 雲一つない空に向かって 癒し給えと言って欲しい 邪悪な色をした言葉が 取り囲んで 仕方なく言うことを聞いた時 自分

【詩】残された手紙

あの頃は自分の言うことが正義で 当たり前のように人を断罪して 胸を張って間違いを犯していた そんなことも思っていなかった きっとそんなことだ 振りかざす頑固で硬すぎる正しさは 人を傷つけるには十分 謝るなんてこと頭になかった きっと間違っていない あなたはなぜ一人 全身から溢れる振りかざされた 正しさはメッキのようだ その正義には根拠が見えない ねえ父さん 自分に自分の正義が正しいか 聞いてみてよ 振り回されて聞きかじったことを信じて 誰よりも饒舌に分かっ

【詩】つくる手

ろくろを回して作る器 何回やっても上手くいかなくて 途中でぐちゃぐちゃになってしまう そっとあなたが手を添えると 美しい曲線の器が 目の前にあらわれる わたしが何かをすると あなたは静かに眺めて 見守ってくれる 転げるように 繕っていたものが 剥がれ落ちてゆく もがけども 望んでいた方向とは 逆の方向に流されてゆく 座り込んで空を見ている ただのわたし そんなわたしをあなたは 名を呼び 引き寄せ 抱きしめ 温め 赦して 涙をぬぐってくれる あなたが行

【詩】Scene

震える心の独り バス帰りの中から見る朝日 後ろから聞こえる溜息 空気が凍る家族のリビング 後ろ指をさされる片足の少年 飲みたくないのに飲むアルコール 暗闇に光るスマホの画面 画面に映る自分の顔 冷え切った弁当 シンクにあるのはコップだけ いつまでも来ない返事 眠れない時間を文字で埋める指 部屋に転がるペットボトル 履きつぶした靴 すがるのも無駄な偽者 見覚えのある横顔 違う世界が交叉する瞬間 冷え切った空気の月 忘れていた温もりのある手

【短編】『おもかげにたつ』

マリオの事を思い出す時、必ず浮かんでくる姿がある。 《こんばんは。同窓会来られそうですか?》 マリオからそうメールが来たのは、異常な程暑かった八月後半の夜九時、車両点検の為、電車が遅れて混み合う帰宅途中のJR総武線の中だった。 暑さと混雑で苛立つ周囲を刺激しない様、気を付けながら、スーツのポケットからスマホを取出して画面をタップした。 この二週間程前に同窓会が開かれる旨のメールをマリオからもらっていた。 一ヶ月程前、仕事の都合で、それまで全く興味が無かったSNSを始めた僕