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フランス式マーケティング法で詩的に自己紹介

フランスにはportrait chinois(ポートレートシノワ:中国人の肖像)という言葉遊びがあります。

もし私が色だったら…
もし私が動物だったら…
もし私が国だったら…
もし私が絵画だったら…
もし私がスポーツだったら…
もし私が一週間の曜日だったら…
もし私がお菓子だったら…
もし私が果物だったら…
もし私が植物だったら…
もし私が数字だったら…
もし私が季節だったら…
もし私が香りだったら…
もし私が乗り物だったら…

「もし私が◯◯だったら…」という質問を埋めていくことで、自己表現ができるのです。
主に子どもの遊びで使われるものですが、自己紹介をよりポエティックに柔らかくしたいときに効果的です。書き方に、正解不正解はないので、自分自身と雰囲気が近いと思うものでも、単純に自分が好きなものでも良いのです。
逆に、有名人を想像して埋めていってた項目だけをみて、それが誰を表しているのかを当てるという遊び方もあります。

企業のマーケティング手法として使われることもあります。特にブランドイメージを再確認する際などに用いられます。
例えば「もしシャネルが花だったらカメリア」「もしエルメスが色だったらオレンジ」というように。そこからブランドを変化させていきたい場合は「今はオレンジだけど、何色にしていこう」というような議論になっていきます。

ちなみに、なぜ「中国人の肖像」と呼ぶのでしょうか。実は、中国は全く関係ありません。フランス語で「tu parles chinois(中国語を話す)」という慣用表現があり、「複雑でよくわからないこと」という意味があります。やや差別的なニュアンスも感じますが、中国はフランスから文化的に遠いので複雑というイメージがあるのです。複雑なものを明らかにするために書き出していくので、「中国人の肖像」と呼ばれています。

また、この構文は、フランス語の半過去と条件法を勉強されている方にはオススメ!
「もし私が◯◯だったら…」は、フランス語で「Si j'étais ◯◯, je serais…」となります。
文法用語的には、Si + 直説法半過去の従属節、条件法現在の主節です。
英語でいうところの「if I were ◯◯, I would…」と同じですね。

試しに私も日本語でやってみました。

もし私が色だったら、青:好きな色
もし私が動物だったら、カツオ:止まると死ぬ
もし私が国だったら、ベトナム:よく間違えられる
もし私が絵画だったら、具象の細密画:ガッツリ書き込んだわかりやすく上手い絵が好き
もし私がスポーツだったら、相撲:立ち会い本番頑張るけど太り気味
もし私が一週間の曜日だったら、金曜日:一番よく働ける日
もし私がお菓子だったら、シフォンケーキ:作るのが難しいところが好き
もし私が果物だったら、レモン:そのままでは酸っぱくて食べれない刺激物
もし私が植物だったら、カラパイア:歩く植物
もし私が数字だったら、36:中学入試の受験番号でラッキーナンバー
もし私が季節だったら、夏:暑苦しいところ
もし私が香りだったら、Soupline:フランスの柔軟剤で好きな香り
もし私が乗り物だったら、ブルドーザー:気にいったものがあるとガガガーッと…

少し私のキャラクターが伝わりましたか…?
フランス語でなくとも、自己紹介をするとき用のストックに、いかがでしょうか?

オマケにマクロン大統領が子ども達に向けて、自分のportrait chinoisを披露している様子の動画をご紹介します。「もし自分が料理だったら…」など、面白いやり取りがあります。

フランス語学習法はこちらにまとめています。


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