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フランス人が愛する、100周年を迎えたちょっと意外なドイツのお菓子

100周年を迎えたドイツのお菓子、というと伝統的な焼き菓子を想像しませんか…? 1920年に生まれたドイツのお菓子「ハリボー(HARIBO)」は、フランスの老若男女に大人気のお菓子!

ハンス・リーゲル(Hans Riegel))がドイツのボン(Bonn)という都市で作ったので、それぞれの頭文字HA-RI-BOを組み合わせて、ハリボーと名付けられたそう。日本でもおなじみの、あのクマの形をしたカラフルなグミです。現在、クマたちは1日1億匹生産され、世界100カ国以上で愛されるまでになりました。世界で初めてグミを作り、今もなお、世界一のシェアを誇っています。

ボンボン(bonbon)とは、日仏辞書では「キャンディー、飴」とされていますが、フランスではまず思い浮かぶのはこのお菓子で、ボンボン=ハリボーといっても過言ではないほど。子どもたちの誕生会にはもちろんのこと、大人の仕事場まで、幅広いシーンにこのカラフルなグミは登場します。日本からフランスにきて驚くことのひとつといってもいいほど、大の大人がオフィスの引き出しに隠し持ったハリボーをモリモリと食べる姿には衝撃を受けます。「ハリボーは子どもも大人も幸せにする(Haribo c'est beau la vie pour les grands et les petits)」というスローガンに嘘偽りのないことを実感。

今はクマの形に留まらず、とても酸っぱい「Pik」というシリーズや、「Happy Life」というワニの形をしたものなど、バリエーションがとっても豊か。フランス人はみなそれぞれ、お気に入りのひとつというものがありますが、一番盛り上がるのは「Box」という色んな種類のグミがアソートされた半透明の箱に入ったもの。この箱でたまに出会う真っ黒なグミは「レグリス(Réglisse)」と呼ばれる甘草(カンゾウ)をつかったもので、独特な強い風味は、日本では「ハズレの味」とされることも。でも、フランスではそれだけを好んで食べる人もおり、特にお年寄りに人気の味です。

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ビジネスのコミュニケーションに使われることもあり、とあるフランス車の試乗会では、特注したと思われる車の形をしたハリボーが入った小袋が、車内の収納めいっぱいに詰め込まれていたことがありました。グローブボックスを開けると、たくさんの色鮮やかな小袋がこぼれ落ちるユーモラスさ。そこには「ご自由にどうぞ」という一言も。

また、世界的に注目されるフランスの自転車レース、ツール・ド・フランスのオフィシャルスポンサーにもなっています。例年、ゴール付近のシャンゼリゼ通りでは、宣伝カーがハリボーの小袋をバラまき、レースに華やかさを添えています。今はコロナ禍で、難しくなってしまっていますが…。

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やや硬めの噛み心地で、子どもが成長する過程で噛む力を高めることを目的にしていると聞くと、ドイツらしさを感じますが、自国のものを誇りに思うフランス人の中には、ハリボーがドイツ製だと認識していない人も。フランス人にとってドイツは、自分たちと相反する気質を持った、ちょっと気に入らない存在。そんなドイツ製のグミが、フランス人の咀嚼力を密かに下支えしているんですね。ハリボーがドイツのものだと知ったら、歯噛みする人もいるかも。

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