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パリ蚤の市で出会ったお皿が導いてくれた焼き物のお城

我が家のキッチンを管理するのはミニマリストの夫。日々の料理をするのも、調理道具やお皿を選ぶのも彼ですが、家のモノが増えることを恐れいているので、なかなかモノを買いません。私が気に入って買ったお皿も、端の方に追いやられてしまいます。私は料理しないので文句はいえませんが…。

さて先日、パリの中心地で開かれていた蚤の市に、たまたま出くわしました。

ふだん蚤の市に全く興味を示さない夫が、珍しく足を止めて眺めているお皿。アンティークのものに紛れて、作家モノの作品が並んでいるのかなぁ? というぐらいのフルセットでの品揃え。聞けば、1940年代に俳優として活躍したノルベール・ピエロ(Norbert Pierlot)が引退後、1950年頃に始めた陶芸作品とのこと。

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レストランでも使える業務用で、食洗機対応という言葉に惹かれていた夫。値段を聞いたらお皿1枚25€(約3300円)で、高いのか安いのか…。近くにある作家物の食器を扱うお店「Empreintes(※以前の紹介記事)」を偵察。一般的にそのぐらいの価格ということを確認し、買うことにしたのでした。

夫は、とっても気に入った様子なのに「必要なのは2枚だけ」。お店の人に、2枚分の値段で3枚にしてくれるといわれても、モノが増えるのは嫌だと気が進まなそう。一方、洋食器だったら6客は欲しい私。渋々、3枚受け取る夫を横目に、残り3枚をどうやって手に入れようか、密かに考え始めました。

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家に帰ってからネットで調べると、どうやらノルベール・ピエロの娘さんが、跡をついで焼き物を焼き続けているではありませんか! しかも、シャトー・ド・ラティリー(Château de Ratilly)というお城を工房にして! 焼き物のお城なんて気になります。

ネットで見たところ同じ形のお皿はありそうだけど、時代によって質感が違いそう。そもそも、私たちが買ったものは、本当に50年代のものなのだろうか…、など頭をぐるぐる。蚤の市は翌日までなので、この機会を逃したら、同じ時期に生産されたお皿はもう手に入らない! と翌朝、夫に内緒で追加で3枚買いに行きました。買ってきたお皿は隠しておいて、登場の機会を伺うことに。

それからしばらくして、友人たちと週末旅行にブルゴーニュ地方に出かけることになりました。その帰り道に、例のシャトー・ド・ラティリーを通ることができそうということで、行ってみることに。要塞の城といった無骨な風貌のお城ですが、当時から窓は大きく作り変えられ、中庭からの光が降り注ぐ、とても気持ちの良い空間でした。

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そこで見たものは、まさしく同じお皿! でも我が家のものと比べると、釉薬が均一で、薄くて軽いのです。お店の人に我が家のお皿の写真をみてもらったところ、確かにシャトー・ド・ラティリーで作られたもので、たぶんノルベール・ピエロ自身が制作したものだろうとのこと。最近作られたものにはフクロウのサインが入っていて、古いものにはサインが入っていないそう。

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「やった! フクロウついてない! 追加で3枚買っておいてよかった!!」と内心ガッツポーズしつつも、小皿を購入。新旧並べてみました。

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シンプルな形に、白、青、緑と、寒色系の食卓で使いやすい色の釉薬が特徴的。

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そこから、友人たちと我が家に戻り、みんなで晩ごはん。これは、隠していた3枚のお皿を出す良い機会! ジャジャーン!と、夫の前に出したら「え、このお皿、うちに6枚もあんの!?」と嫌そうな顔。でも、もう買っちゃったもんねー。

その後、収納の使い勝手上、やはり追加で買った3枚はキッチンから退散するはめに。ミニマリストの夫と、物欲にまみれた私の闘い、今回も完敗です…しくしく。

▼今回訪れた、シャトー・ド・ラティリーはコチラ


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