自作短編小説『ため息の彼方』 第8話「ダイアローグ」
「え、、、。えっと、その、私たちは日本語を話しているんじゃないんですか、、、?」と私は完全にたじろいだ。どういうことだ。全くわけが分からない。彼女は私を困惑させることばかり言う。
「違うわ。私はフランス語を話し、同時にあなたは日本語を話しているの。私たちは最初からずっと異なる言語同士で会話をしているのよ」と彼女は微笑んで言った。
私は混乱を体現したような表情をしていた。そのことは窓に映る自分の顔を見て、よく分かった。私はフランス語を話せない。まともに学んだ経験もない。そ