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自作短編小説集

77
これまでに書いた自作の短編小説を載せています。
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#創作

短編小説「アンディ・ブラウンを探せ」

 依頼人は突然やってきた。  その男はいかにも尊大な態度で革張りのソファに腰を下ろし、私…

植木意志
1年前
44

短編小説「夢のトリクルダウン・地下世界への片道切符・溶ける氷主義者」

 水曜日の夜、私は同僚と日本橋にあるバーにいた。  我々はカウンターに隣り合って座り、ワ…

植木意志
2年前
32

短編小説「僕は知らないし、気にしない」【後編】

 火曜日、ジェームスとトーマスとパーシーの見舞い帰り、僕はジョージ・ストリートを西に歩い…

植木意志
2年前
25

短編小説「海水浴」

 予想通り、海水浴は退屈だった。  と言っても、僕自身は泳ぐわけではないから、それは厳密…

植木意志
2年前
25

短編小説「少年たちの秘密基地」【後編】

 秘密基地の外に、誰かがいる。  その事実は、一瞬にして僕らに緊迫感を与えた。  シーツ…

植木意志
2年前
22

短編小説「少年たちの秘密基地」【前編】

「そう、誰がこのクラスの給食に勝手にプリンを追加したのか、ほんまに誰も知らんということや…

植木意志
2年前
28

短編小説「夜のハイウェイ」

 サービスエリアで夕食を済ませた後、俺は再びアウディを発進させた。  時刻は午後九時四十六分。時速は百キロを超えている。 夜の闇に覆われた高速道路を、俺が運転するアウディは疾走していた。  三日間の盆休みを利用して、俺は三年振りに地元の神戸に向かっていた。 神戸の高校を卒業した後、東京の大学に進学し、今は同地の電機メーカーに勤めている。  以前は毎年夏になると実家に帰省していたのだが、二年前から流行した新形コロナウイルスの影響で、この二年間は帰省を自粛していた。  だ

ユウヒ飲料の自動販売機【ショートショート】

 自動販売機の扉を開けると、その向こうには『昭和40年代の世界』が広がっていた。 * * …

植木意志
2年前
17

短編小説「ドーナツショップ」

 放課後、私と莉奈は駅前のドーナツショップ、『ゴールデンドーナツ』にいた。 窓際のテーブ…

植木意志
2年前
49

短編小説「部活終わりの銭湯」

 日が沈み、空は夕焼けから薄明に変わりつつあった。 季節が初夏になると、この時間帯でも肌…

植木意志
2年前
6

短編小説「空想少女と風のリアリスト」

『そうして人類は滅亡し、宇宙に真の平和が訪れることになった。』  私が数日かけて読み終え…

植木意志
2年前
7

短編小説『未来の自分』⑤(最終話)将来の夢

「嘘、、、そんなの嘘よ。鈴江君が、、、。そんなこと、そんなことあるわけがない」と先輩は言…

植木意志
3年前
4

短編小説『未来の自分』②未確認飛行物体の正体

 野上先輩の家は、図書館から少し離れた小さな港町にあるらしく、僕らはバスに乗ってそこまで…

植木意志
3年前
7

『屋上から見つけた事件』(掌編小説)

 昼休み、学校の屋上で昼食を食べている時だった。  不意に凪沙が言った。「ねえ、見てよあれっ!」 「え、何、何」私と恵梨は、凪沙の突然の言葉に少し驚いた。 「ほら、あそこっ! あれ事件じゃないっ?」 「事件っ!?」 私達の高校の前には新築の大きなマンションが建っており、凪沙は手すりに乗り出してそちらを指差していた。  私と恵梨も同様に手すりに乗り出して、そのマンションの方を見た。 「どこっ?」 「上から3番目の、右から2、4、6、、、8番目くらいにある部屋よっ」  私