【読書メモ】『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』(岩田松雄著)
▶今回の書評本『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』
・『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』
・岩田松雄 著
・アスコム
▶読後メモ
■スターバックスのミッション
スターバックスのミッションステートメント
「人々の心を豊かで活力あるものにするために――
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」お互いに尊敬と威厳を持って接し、働きやすい環境を作る
事業運営上での不可欠な要素として多様性を積極的に受け入れる
コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、常に最高級のレベルを目指す
お客様が心から満足するサービスを常に提供する
地域社会や環境保護に積極的に貢献する
将来の繁栄には利益が不可欠であることを認識する
スターバックスには、サービスに関するマニュアルがない。代わりに「Just Say Yes!」という原則がある。これは「道徳、法律、倫理に反しない限り、お客様が喜んでくださることは、何でもして差し上げる」ということ。「Yes」が一番強力な言葉、「Yes」は自由と感動、「Yes」は許し。自分と他人に夢見るチャンスを与えること。「Yes」と言えば心が豊かになる。
同様に、旅館の加賀屋も「お客様にはできませんとは言わない」。
■会社のミッションの大切さ
ミッションを持っている企業は活力があり、顧客を楽しませ、驚かせ、感動させる。ミッションを持っている人は、たとえ厳しい現実に直面しても、常に前向きで、いきいきとしている。
「私たちは偉大なことはできません。
偉大な愛で小さなことをするだけです。」 ――マザー・テレサお客様を満足させるとか、ニーズを満たすとか、そんな目標では、人々を感動させることはできない。大きな愛を持って、大きく期待を超えていかなけれればならない。
ビジネススクールでは「企業の目的は利益の最大化」であると教えるが、本質は「企業は世の中を良くするために存在している」の方が大事。
ミッションさえしっかりしていれば、良いビジョンが描け、強いパッションは自然と湧き上がってくる。
研修の教育では、「何をやりなさい」ではなく、「なぜそれをやるのかを考えなさい」というスタンスを貫く。その成果は、異常発生時にこそ実感できる。
ミッションがあるから、エクスペリエンスが生まれる。優れた商品にエクスペリエンスがセットされているから、ブランドになる。モノがあふれた成熟社会では、お客様はそこにこそ価値を見出す。
社員の自発性を引き出すためにリーダーがやるべきことは、「なぜそうるするのか?」を、しっかりと理解してもらうこと、あるいは常に自問自答することの徹底。
ミッションを徹底教育した後は、権限委譲(エンパワメント)をして、その実現のための自主性と創造性を発揮してもらう。
社員を大切にしない企業は、決してブランドにはなりえないし、ミッションの実現はできない。
ブランドは、お約束。お客様の期待を裏切ってはいけない。
「成功を金銭で測ることはできない。
どのように人生の旅をし、
人間としてどれだけの成長をしたかが問われるのだ。」
――ハワード・シュルツ「世に生を得るは事を成すにあり。」 ――坂本龍馬
「日本を今一度せんたくいたし申候。」 ――坂本龍馬
ミッションの大切さ(4つ)
社会は常に変化しており、想定外の連続。全てのケースを事前に想定してマニュアルを作成することは到底不可能。想定外の時にむしろ重要なのは、原理原則である。
同じ企業と言っても、そこに集まる人は様々な価値観を持っている。みんなを同じ方向に向かわせるには、目印となる明確なゴールが必要となる。
ミッションを高く掲げることによって、それに共鳴する人たち、つまり最初から目指し方向が同じ人たちが入社してくる。
ミッションとは、通常とても崇高なもの。それを目指していると、社員のモラルが高くなっていき、離職率が減る。
京セラの稲盛和夫氏の公式「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
■自分のミッションを作る
自分のミッションを作る7つのヒント
働き方ではなく、働く目的を考える
「人間は努力する限り悩むものだ」 ――ゲーテ自分、ミッション、会社は三位一体で成長する
「私」を無くす(=無私)
「私」とは自分の出世のためや、お金儲けをしようといった気持ち「ハリネズミの概念」の3つの軸は何か考える
→3つの輪が重なる部分がミッション情熱を持って取り組めること=好きなこと
世界一になれること=得意なこと
経済的原動力になるもの=何か人のためになること
ミッション探し、自分探しの旅はずっと続く
ミッションは、一度構築したら終わりではない。働き続ける限り、いや生きている限り、ずっと考え続けるものであり、また考え続けることが大切。
個人のミッションは、会社のミッションと必ずしも100%イコールである必要はない。自分の存在を肯定する
「自分はまだまだ」の気持ちが成長を加速する
一度構築したミッションを成長させ、進化させていく原動力は謙虚さ。
謙虚さこそが、勉強し続け自分を磨いていくために必要な栄養素。
経営者やリーダーは「素直な心」が一番大切 ――松下幸之助。
■火花を見逃さないリーダーの8つの習慣
「成果を上げる人と上げない人の差は才能ではない。
いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を
身につけているかどうかの問題である。」 ――ピーター・ドラッカー8つの習慣
リーダーは御用聞きと心得る
「最近どう? 元気? 何か困ったことはない?」
現場に聞いて回る。それこそがリーダーの仕事。リーダーにしかできないことをする
(例)名刺交換したすべてのお客様にお礼状を書くラブレターのようにマネジメントレターを書く
できるだけ詳しく会社の現状を記し、最近あったいいこと、そして現状の問題と取り組みを書く背景と意義を必ず説明する
相手はモチベーションが湧き、仕事の優先度合い、要求されているクオリティのレベルを判断できる
良きリーダーは良き説明者褒めるときはみんなの前で、注意するときは個別に
開口一番怒らない。悪い部分がある人、ミスをしてしまった人にも、ほかの良い部分を褒めたり、頑張っていることに対する感謝を述べたりすることから入る。こうすることで、より深い部分に言葉が届く。結局は相手の成長を促し、能力を引き出すきっかけをすることが目的だから。会議や朝礼では「いい話」から入る
意思決定するときにポジティブな状態で判断すると、そうではないときに比べて40%正解率が高まる結果ではなく過程を褒める
一生懸命もがいたこと自体に光を当てる。結果ではなく、過程をしっかり見る。それはリーダーの度量。補欠の気持ちを理解する
自分を「普通のおっちゃん」とみる。
社員か、契約社員かアルバイトかといった身分は関係ない。会社にどれだけ貢献してくれたかによって評価すべき。
面接で人を見抜く方法
「あなたの強みを3つ、弱みを3つ教えてください」
→弱みの1つめには素直な本音が隠されている「あながた今までの人生の中で一番光り輝いていたのは、どのようなときですか?」
経営者の就職面接「もしも宝くじで3億円当たったらどうするか?」
→「社員が、宝くじで3億円あたったあとでも働き続けたいと思う会社を作りたい!」
経営者の2つの喜び「業績が良くて特別賞与を払うとき」と「人を育てる喜び」
リーダーとして実施するプレゼンテーションで実施すべきこと
100%話す内容を理解していても、事前に十分準備し原稿を作成する
必ず会場を下見し、予行演習をしておく
数字を大きく書く
場の雰囲気を読みながら、その場その場で言葉を選び、ゆるぎない自信を持って話す
■ミッションを育てる時間術、勉強法、読書術
時間を有効活用する7つのポイント
時間の記録をつける
切り替え時間を早くする
細切れの時間はインプットに充てる
まとまった「考えごと」の時間を作る
スケジュールの刻み方をパターン化する
曜日、時間帯によってアポイントのパターン、色合いを決めるどんなに多忙でも、睡眠時間・リズムは常に一定
会議は2時間以内と決める
インプットとアウトプットを続けるための5つの習慣
自慢話がバロメーター
勉強をし続けることやインプットを持続することは極めて大切。知らないことを知る、最先端のニュースや情報に触れる、自分とは違う考え方に親しむ、こうした良い習慣を絶えず続けていられるかどうかが大切。
自慢話をするということは、現状に満足してしまっている証拠。こうなるとインプットや勉強がおろそかになる。
伸び続ける人は自慢話をしない。部下や後輩に「教えて」と言えるか
上に立つものが謙虚さと向上心を持ち続けると、組織全体が成長し続ける目標は細かく設定する
英語を学び、海外で勉強する。社内制度があれば最大限活用する
アウトプットを始めると、インプットのレベルも上がる
人に教えるということは、自分が学ぶより3倍ぐらい勉強しなければならない。
読書術
仕事の成果がでなければ、代わりに本を読む
いい本は何回も読み返す
読むたびに、毎回線の色を変える
テーマや著者を深掘りする
複数の本を併読し、時には見切る
心に響いた本は、必ずその場で買う
おすすめ書籍
『ビジョナリー・カンパニー』シリーズ
『坂の上の雲』/『竜馬がゆく』 司馬遼太郎著
P・F・ドラッカー
小室直樹
『企業参謀』大前研一
『競争の戦略』マイケル・ポーター
フィリップ・コトラー
『言志四録』『菜根譚』『十八史略』
▶感想
前半の会社のミッションの大切さ、自分のミッションの作り方の部分だけでも読みごたえがあり、おススメです。
(逆に、後ろの方は「ミッション」とは少しかけ離れた?時間術、勉強法、読書術だったので、読み飛ばせます)
以上です。
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