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【読書メモ】『伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ』(ジョッコ・ウィリンク&リーフ・バビン著)

▶今回の書評本『伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ』

・『伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ』
・ジョッコ・ウィリンク&リーフ・バビン著
・CCCメディアハウス

▶読後メモ

Part01 内なる戦いに勝つ

第1章 究極の責任感

どんな組織のどんなチームにおいても、成否の責任はすべてリーダーにある。リーダーは、自分の世界におけるすべてに、全責任を負わなくてはならない。ほかに責め負うべき人間はいない。リーダーはミスや失敗を認め、その責任を背負い、勝つための計画を立てなければならない。
リーダーはまず、鏡に映った自分の姿を見なくてはならない。リーダーは戦略的任務を説明し、戦術を練り、訓練とリソースを与え、チームにそれを正しく首尾よく実行させる、責任を負っている。
チームにいる個人がチームの成功に必要な働きをしないなら、リーダーはそのメンバーを訓練し、導かなくてはならない。しかし、そのメンバーがいつまでも基準を満たせない場合は、「究極の責任感」を実行するリーダーなら、個人よりもチームと任務に忠実でなくてはいけない。
失敗の全責任を負うなんて受け入れがたいことだし、うまくいかないときに責任をとるのには、とてつもない謙虚さと勇気が必要。

第2章 出来の悪いチームなどない。出来の悪いリーダーがいるだけ。

リーダーとして理解しておくべきことは、「重要なのは、あなたが説いていることではなく、容認していることだ」ということ。だから、リーダーは、基準を課さなくてはならない。達成できない責任を即座に問う必要はないが、リーダーは、期待されている高い基準が達成されるまで、繰り返し課題に取り組まなくてはならない。
「究極の責任感」の文化が、一度チームの隅々まで浸透すれば、チーム全体がうまく機能し、成績は伸び続ける。たとえ強いリーダーが一時的にチームを離れても。
リーダーは、決して満足すべきではない。常に成長を目指して努力し、そのマインドセットをチームに浸透させなくてなならない。残酷なまでに正直に、現実的に、自分自身やチームの成績を評価し、その現実と向き合わなくてはならない。よいリーダーは、弱点を見つけ、そこを強化し、試練を乗り越える計画を練ろうとする。
リーダーには2種類しかいない。有能なリーダーと無能なリーダー。優れたチームを率いて成功を収める有能なリーダーは「究極の責任感」を示す。それ以外の者はただ無能で、出来の悪いリーダーである。

第3章 信頼せよ

任務に従い、任務を達成してくれるよう、ほかの人たちを説得したり励ましたりするためには、リーダー自身が任務の正当性を心から信頼していなくてはならない。
リーダーが信じていなければ、勝つために避けられない試練を克服しようにも、必要なリスクをとれない。そして、ほかの人間、特に任務を遂行しなくてはならない前線部隊を納得させることもできない。
訓練や装備よりもはるかに重要なのは、任務に対する断固たる信頼である。それは、どんなチームや組織でも、勝利を収め、大きな成果を出すために欠かせないものなのだ。
どんな組織においても、目標は常に共有されていなければならない。目標が十分に共有されていない場合は、きちんと取り組んで、調整しなくてはいけない。
リーダーは何をすべきかだけでなく、なぜすべきなのかを説明しなくてはならない。理解できない場合に、連絡して質問するのは、部下のリーダーの責任だ。
リーダーシップとは、一人の人間がチームを導くことではない。指揮命令系統のあらゆるレベルにいるリーダーの集団が、力を合わせて導くこと。
自分が正しいと信じられない課題や指導や任務が下りてきたら、黙って受け入れてはいけない。なぜかを理解できるまで質問すること。そうして初めて、自分の仕事の正当性を信頼できるし、自信を持って情報をチームに伝えられる。そうすれば、みんなもしっかり任務を遂行してくれる。それがリーダーシップである。

第4章 エゴを抑えよ

エゴはすべてに暗雲をもたらし、全てを破壊する。計画立案のプロセス、よいアドバイスに耳を傾ける能力、建設的な批判を受け入れる能力。エゴは自己防衛本能すら抑えつけてしまいかねない。大抵の場合、とりわけ扱いにくいエゴは、自分自身のエゴである。どんなチームでも起こる、とんでもない問題の多くは、エゴが原因。
●「究極の責任感」を実行するなら、エゴを抑え、謙虚な姿勢で取り組まなくてはならない。ミスを認め、責任を負い、課題を克服する計画を立てることは、どんなチームの成功にも欠かせない。

Part02 戦闘の法則

第5章 仲間をカバーして動け

「仲間をカバーして動け」は、最も基本的な戦術で、唯一の戦術。
常に戦略的任務に目を向けて、「私たちはさらに大きなチームの一員だから、戦略的任務が最優先だ」とチームにくぎを刺すのは、リーダーの責任。
チーム全体が失敗すれば、たとえあるメンバーやある分隊が首尾よく任務を達成しても、全員が失敗したことになる。ほかの誰かのせいにして相手を責め立てても、チームと個人との不協和音を高めるだけ。
チームが成功すれば、チーム内のメンバーもチームを外から支えるメンバーも、全員が成功したことになる。チームのメンバーも、部署も、支援者たちも、常に「仲間をカバーして動く」必要がある。互いに助け合い、一丸となって取り組み、勝利を収めるために支え合わなくてはならない。この原則は、すべてのチームが勝利を達成するのに欠かせない。

第6章 シンプルに

計画や命令は、シンプルに、明確に、簡潔に伝えなくてはならない。
リーダーとして、自分がいかにうまく情報を提供し、命令や計画や戦術や戦略を伝えているつもりかは、問題ではない。チームが理解していないなら、物事をシンプルにできてはいないし、しくじっているのだ。
仕事上のよい関係ができていれば、前線部隊が任務や重要な課題を理解できない場合に、質問ができることが重要。リーダーはそうしたコミュニケーションを促し、チーム全員が理解できるように、説明する時間をとらなくてはならない。
「シンプルに」ーこの原則は、戦場だけに留まらない。計画やコミュニケーションをシンプルに保つことが重要。

第7章 優先順位を決めて実行せよ

「優先順位を決めて実行せよ」を言葉にするときは、「落ち着いて、周りを見回し、判断せよ」と指示する。
●圧倒されそうになったら、プレッシャーのもとでも「優先順位を決めて実行せよ」の原則を活用する。特に効果的な方法は、現実の問題より少なくとも一歩か二歩、常に先を歩くこと。常に先手を打っていれば、リーダーはプレッシャーのもとでも圧倒されず、決断力を発揮できる。
チームも不測な事態にどんな行動をとるべきかを説明され、理解していれば、問題が起こったときに、リーダーの指示がなくてもすばやく実行できる。これは、どんなビジネスや業界においても勝利を収める優秀なチームの大きな特徴である。
チームは、取り組みの優先順位を即座に決め直し、絶えず変化している戦場にすばやく適応する能力を保たなくてはならない。
リーダーがしなくてはならないことは次の通り
・最優先課題を見極める。
・最優先すべき取り組みを、シンプルで、明確で、簡潔な言葉でチームに伝える。
・解決策を見つけ、決定し、できる限り主要なリーダーやチームに意見を求める。
・その解決策の実行を指示し、最優先課題にすべての力とリソースを注ぐ。
・次の最優先課題に移る。先ほどのプロセスを繰り返す。
・チーム内で優先順位に変更が生じた場合は、上司にも部下にも状況認識を伝える。
・ある優先課題に集中するあまり、目標を固定してしまわないように注意する。ほかの問題の発生に気づき、必要に応じて目標を速やかに変更する能力を保つ。

第8章 権限を分散させよ

最前線のリーダーたちは、戦略的任務を明確に理解し、最終的に組織全体の目標達成に貢献できるような戦術的判断をしなくてはならない。また、幹部(上司)を信頼し、自分たちが判断の権限を与えられていること、その判断を幹部が必ず支えてくれることを理解していなくてはならない。
●チームは隊員4~5名で構成される管理しやすい分隊に分け、リーダーを1名、決めなくてはならない。リーダーは組織全体の任務とその任務の最終目標(指揮官の意図)を理解していなくてはならない。
●チーム内の小さなチームは、特定の任務に効率的に取り組むために組織され、リーダーの責任範囲が明確にされている。
戦術を担当するチームリーダーは、何をすべきかだけでなく、なぜそうするのかを理解していなくてはならない。
若手リーダーは、受け身ではなく主体的に行動しなくてはならない。与えられた意思決定の権限をうまく行使するためには、最前線のリーダーが自信を持って実行することが大切。戦術を担当する現場のリーダーは、「戦略的任務と『指揮官の意図』を明確に理解している」という自信がなくてはならない。そして、幹部が自分の判断を支援してくれるという絶対の信頼を寄せていなくてはならない。
●責任をいくつも背負い込みすぎるリーダーがいる。そのようなことをしたら作戦はあっという間に大混乱に陥る。解決策は「権限を分散させよ」の法則を使って、最前線のリーダーたちに権限を与えること、トップが細かく管理(マイクロマネジメント)せずに、現場のリーダーにチームを任せ、組織全体の任務に貢献させること。
リーダーは、一番必要とされている場所へ自由に動けなくてはならない。その場所は、戦闘活動を通じて変わり続ける。リーダーとして身の置き所をを理解することは、効果的に「権限を分散させる」ための重要な要素。
率直な会話は、信頼を生む。ストレスや困難な環境を克服することが、信頼を育む。非常事態に対処し、メンバーがどのように対応するのかを見ることで、信頼は育っていく。

Part03 勝利を維持する

第9章 計画を立案せよ

どんなビジネスや業界のどんなチームにとっても、計画立案のプロセスを標準化しておくことは、極めて重要。
●任務は、作戦の全体的な目標と望ましい結果、もしくは「最終状態」を説明するものでなくてはならない。
●幹部は、チームメンバーによる計画立案のプロセス全体を監督するが、細部にとらわれないよう、気をつけなくてはならない。計画の細かい部分にとらわれない高い視点を保つことで、戦略目標を達成しやすくなる。
●リスクを負わないものは、勝利を収められない。
最高のチームは常に自分たちの戦術を分析し、有効性を検証しているから、今後の任務のためにやり方を修正し、学んだ教訓を活かせる。
●何がうまくいったか、何がうまくいかなかったか、戦術をどのように修正すればもっと効果的に動け敵に対する優位性を高められるかを分析する。
こうした自己分析によって、再評価し、強化・改善し、常に向上していける。改善点を今後の計画に活かせば、同じ間違いを繰り返すことはない。
●リーダーの計画立案のチェックリスト
・任務を分析する(上層部の任務、「指揮官の意図」、最終状態(目標)を理解する。特定の任務についての、自分自身の「指揮官の意図」と最終状態を明確にし、言葉にする。)
・使える人材、資源、リソース、時間を明らかにする。
・計画立案のプロセスを分散化させる(チーム内の主要なリーダーに、検討中の行動方針を分析する権限を与える。)
・具体的な行動方針を決める(なるべくシンプルな行動方針を選ぶ。最善の行動方針に全力で取り組む。)
・主要なリーダーに、決定された行動方針に沿った計画を立てる権限を与える。
・作戦の各段階で起こり得る不測の事態に備え、有事の計画を立てる。
・抑制できるリスクは、できる限り抑制する。
・計画の一部とそのブリーフィングは、若手の主要なリーダーに任せる(距離を置き、戦術の天才になる。)
・計画を常に新たな情報に照らし、今の状況に即しているかを検討する。
・すべての参加者と支援資源に、計画をブリーフィングする(「指揮官の意図」を強調する。チームに質問紙、議論や対話をすることで、きちんと理解させる。)
・計画を実行した後に、「作戦後のデブリーフィング」を行う(学んだ教訓を分析し、今後の計画立案に活かす。)
●優れた計画は任務達成の鍵であり、その計画を部隊にブリーフィングすることで、計画は効果的に実行される。きちんと実行されなければ、最高の計画を練ったところで、何の価値もない。
●リーダーは、こまごまとしたことにきをとられてはいけない、大局から目を離してはならない。

第10章 上司にも部下にも、リーダーシップを発揮せよ

●優れたリーダーは、チームに戦略目標を達成させるために、課題やプロジェクトや作戦の計画立案と遂行に、夢中で取り組んでいる。こうしたリーダーは、大局をしっかりと見据え、なぜその課題を達成する必要があるかを理解している。
●リーダーとして「究極の責任感」を実行しているのに、チームがやるべきことをやってくれないなら、まず自分自身に目を向けなくてはならない。
「戦略的ビジョンを見ていない」を部下を責めるのではなく、部下が理解できるように、シンプルで、明確で、簡潔な言葉で、うまく伝える方法を見つけなくてはならない。それが、「部下を導く」ということ。
●リーダーシップは、部下に対してだけでなく、上司に対しても発揮すべき。自分の世界のすべてに、責任を持たなくてはいけない。それが『究極の責任感』。他人を責め、上司の質問に文句を言うのではなく、自分が問題の責任を負い、導かなくてはならない。
●上司がタイミングよく判断したり、あなたやチームに必要な支援を提供したりしてくれなくても上司を責めてはいけない。まず自分自身を責めることだ。上司が判断を下し、支援を割り振るのに必要な情報をもっとうまく伝えるために、自分に何ができるのかを分析しよう。
●必要なものを上司に理解してもらう努力をしながら、あなたも気づかなくてはならない。上司は、大局を見据えながら限られた資源を配分し、判断しなくてはならない。あなたやチームはその時点での優先事項ではないかもしれないし、最高幹部が別の目標を選んだ可能性もある。それを理解して受け入れる、謙虚さを持とう。
●すべてのリーダーにとって、極めて重要な仕事の一つは、上司をサポートすること。上司を導くときは、慎重に、敬意を持って行うこと。ただし、上司のリーダーが必要な支援をくれなくても、相手を責めてはいけない。その代わり、自分にできることを検討し直そう。どうすればもっと分かりやすく説明し、情報を伝え、影響を及ぼし、説得し、勝つために必要なものを与えてもらえるだろうと。

第11章 不透明な状況でも、決断力を持て

●不透明な状況でも、リーダーが果敢に決断することが大切。今ある情報だけを頼りに、最善の判断を下さなくてはならない。
●100%正しい確かな解決策を待っていたのでは、遅れが生じ、判断がつかず、任務を遂行できない事態に陥る。
●リーダーは、過去の経験、敵の作戦に関する知識、起こりそうな結果、今使える機密情報などに基づいて、根拠ある推測ができるよう、日頃から備えていなくてはならない。
●リーダーの初期設定は、積極果敢であること。後手に回るのではなく、先手を打たなくてはならない。決断を状況に左右されるのではなく、自分が状況を左右しなくてはならない。

第12章 規律=自由 ーリーダーシップの二元性

●リーダーは、極端なもの同士の一見正反対なさまざまな資質(二元性)のバランスをとらなくてはならない。
●リーダーは導くと同時に、従う準備もできていなくてはならない。時にはチームの他のメンバーの方が、ある状況では、計画立案や意思決定や指導にふさわしい立場にいるかもしれない。ある分野については、若いメンバーの知識や経験が勝っているかもしれないし、部下が任務達成のよりよい方法を思いつく場合もあるだろう。優れたリーダーなら、それを歓迎し、自分のエゴや利益を脇において、チームの戦略目標達成のチャンスを最大にしなくてはならない。真のリーダーは、自分以外の者が積極的にリーダーシップを発揮することにおびえたりはしない。
●優れたリーダーは、以下のリーダーシップの二元性を認識し、慎重にバランスをとらなくてはならない。
・自信をもっていなくてはならないが、思い上がっていてはいけない。
・勇敢でなくてはならないが、無謀であってはいけない。
・競争心を持たなくてはならないが、潔い敗者であることも大切。
・細部に気を配らなくてはならないが、こだわり過ぎてもいけない。
・強くなくてはならないが、心身共に辛抱強さも必要。
・導く者であり、従う者でなくてはならない。
・謙虚でなくてはならないが、受け身であってはいけない。
・押しが強くなくてはならないが、威圧的であってはいけない。
・物静かでなくてはならないが、黙っていてはいけない。
・冷静でなくてはならないが、ロボットのようであってはいけない。
・論理的でなくてはならないが、感情を全く見せないのもよくない。
・部下と親しまなくてはならないが、
(あるメンバーがほかのメンバーやチームの利益よりも大切になるほど、また、誰が責任者かを部下が忘れてしまうほど)親しくなりすぎてもいけない。
・「究極の責任感」を実行しなくてはならない、同時に、「権限を分散させよ」の法則を活用し、部下のリーダーたちに指揮権を手渡さなくてはならない。

・むきになって自分の力を証明する必要はないが、すべてにおいて評価されなくてはならない。チーム全員が「リーダーは適切な判断を下し、冷静さを保ち、肝心な時に正しい決断をしてくれる」という信頼を寄せていなくてはならない。チームを大切にし、メンバーの長期的な利益と幸せに心を砕いていることを行動で示し、尊敬を勝ち取り、自らの価値を証明しなくてはならない。

あとがき

●「究極の責任感」とはマインドセット、つまり、姿勢である。リーダーが「究極の責任感」を示し、チームや組織内に「究極の責任感」の文化を育てれば、あとのことは自ずとうまくいく。
●学ぶ意欲があり、成長のために建設的で正当な批判を求める謙虚な姿勢を持ち、規律ある練習や訓練を積むなら、たとえ天賦の才能に恵まれなくても、優秀なリーダーになれる。
●すべてのリーダーの目標は、「自分がいなくてもよい状態をつくること」であるべき。つまり、リーダーは若手のリーダーが成長して大きな責任を背負う準備ができるよう、訓練と指導に邁進しなくてはならない。
●人間のあらゆる試みの中で、人を導くことほど困難だがやりがいがあって、喜びを感じさせてくれる仕事はない。

▶感想

リーダーシップに関する本でしたが、特に心に残ったフレーズが多く、とても良い本でした。特に「リーダーシップの二元性」と「上司にもリーダーシップを発揮する」という考え方は、今後の自身のリーダーシップ発揮、戦略・戦術・計画立案に是非とも活かしていきたいです。

以上です。

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